|
米Warner Bros.Entertainmentとワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社、NTT、NTT西日本、東宝株式会社は11日、次世代の映画上映システムとして推進されている「デジタルシネマ」に関連して、配給から興業までのサービスモデルの確立や技術検証を行なうため、共同トライアル「4K Pure Cinema」を10月22日から約1年間実施すると発表した。 このトライアルは、ハリウッドの映画スタジオメンバーで構成される「デジタルシネマイニシアティブ(DCI)」の仕様に準拠した4K/2Kスペックの機器などを利用し、デジタルシネマを複数の商業用映画館にネットワーク配信。継続的かつ常態上映するという世界初の取り組み。第1弾作品はティム・バートン監督の「コープス・ブライド」。 現在、映画業界ではフィルムを用いずにHDDなどに保存した映画データをDLPプロジェクタなどで上映する「デジタルシネマ」への移行が進んでいる。DCIはこの映写、および配給に関する技術仕様を制定するために、2002年に7大メジャースタジオによって設立された業界団体。2005年7月に技術仕様(DCI仕様)が発表されている。
トライアルの目的はDCI仕様デジタルシネマの配給から興業までのプロセスについて総合的な評価を実施すること。そのため、DCI仕様の最高水準となる4K規格(4,096×2,160ドット/800万画素クラス)と、2K規格(2,048×1,080ドット/200万画素クラス)の2方式での上映を予定。 映像の品質や運用体制、セキュリティ、ネットワーク配信や劇場運営のコストなどについて、映画鑑賞者の評価も交えながら実用性を検証するという。 具体的なトライアル・システムは、米WarnerとNTT横須賀研究開発センターを高速光ファイバで接続。送られて来た映画のデータをNTTで加工した後、NTT西日本の大阪データセンターへ配信。横須賀研究開発センター、および大阪データセンターから劇場に配信を行なう。その際、大阪データセンターでは暗号鍵を生成。劇場へと配信する。
作品が配信/上映されるのは東京では「VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ」と「シネマ メディアージュ」の2カ所。大阪は「TOHOシネマズ高槻」の1カ所。トライアルは2005年10月22日から2006年8月31日まで実施され、10月22日からは「ティム・バートンのコープス・ブライド」(4K版/六本木ヒルズを除く)、11月19日からは「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(4K版/シネマ メディアアージュを除く)が上映される。2006年2月以降のタイトルは未定。
なお、米WarnerとNTT横須賀研究開発センター間の光ファイバ伝送に関連しては、トライアルに先立ち、慶應義塾大学とNTT、カリフォルニア大学サンディエゴ校、イリノイ大学シカゴ校、Pacific Interfaceが共同で、4K映像を慶應義塾大学からカリフォルニア大学サンディエゴ校まで、太平洋を横断して伝送させるリアルタイム配信実験を成功させている。
□米Warnerのホームページ
(2005年10月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|