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ソニーは27日、2005年度第2四半期(7~9月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比横ばいの1兆7,030億円、営業利益は51.9%増の659億円、税引前利益は50.8%増の954億円、当期純利益は46.5%減の285億円となった。
営業利益の大幅な増加の背景には厚生年金基金の代行部分の返上完了に伴う利益735億円が含まれている。また、税引前利益の増加は、従来、ソニーの持分法適用会社であったマネックス・ビーンズ・ホールティングスの株式を一部売却したことによる持分変動益が207億円影響している。さらに、サムスン電子とのアモルファスTFT液晶パネルの合弁会社であるS-LCDにおいて28億円、MGMにおいて44億円、ソニーBMGにおいて32億円の持分法損失を計上している。 注目されるエレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比0.3%減の1兆2,161億円、外部顧客向けの売上高は7.8%減の1兆1,821億円となる。また、営業利益は144.6%増の173億円となった。だが、ここでも代行返上益として639億円が含まれており、これを除くと、引き続き赤字のままという結果となる。
売上高のプラス要素としては、液晶テレビおよびビデオカメラの好調ぶりがあげられる。とくにビデオカメラは、今年7月に発売したハイビジョンハンディカム「HDR-HC1」が好調で、最新週となる10月第3週の国内販売店のデータでは、金額ベースで約40%のシェアを獲得しているという。
マイナス要素としては、需要が減少しているブラウン管テレビや、競争が激化しているプラズマテレビやテジタルカメラが減収となった。
■液晶テレビは依然として赤字
一方、利益面では、依然として液晶テレビが赤字となっており「液晶は、2006年度下期での黒字化を見込んでいる。今は、売り上げがあがっていても、利益が出る段階にはない。統一シャーシの導入や、S-LCDからの大型パネルの調達によって、コストアドバンテージが出ることになり、それによって利益体質に転換できる。ただし、現時点でも液晶の赤字幅は改善している」(ソニー執行役EVP兼CFO・大根田伸行氏)としている。
ビデオは、売上高が0.3%減の2,479億円、営業利益は1,365%増になる214億円。「DVDビデオカメラが全世界で好調であったのに加え、HC1の日本での好調で大幅な増益となった」。 テレビは、19.1%減の1,717億円、営業損失はマイナス377億円の赤字。「第2四半期はブラウン管の工場閉鎖などで約200億円強の減損が含まれる。テレビ事業は、まだ構造改革が追いついていない」とした。 パソコンが含まれる情報・通信事業は、売上高が2.7%減の1,859億円、営業利益は366%増の93億円。米国ではVAIOシリーズが減収要因となったが、日本国内向けのノートパソコンを中心とした堅調な売れ行きと、コスト削減効果がプラスに影響した。 オーディオ、ビデオ、テレビ、情報・通信を含めたAV&IT事業は、売上高が8%減の7,353億円、営業損益はマイナス80億円の赤字と、損益では前年同期に比べて60億円悪化している。 半導体およびコンポーネントは、売上高が前年同期比12%増の3,819億円、営業損益は183億円悪化のマイナス135億円の赤字となった。 ゲーム機向けの半導体とメモリースティックの売り上げがブラス効果となったが、CCDの価格下落の影響、低温ポリシリコン液晶の新工場立ち上げ、新たなプロセスを採用したチップの開発投資などがマイナスに影響したいという。
なお、携帯電話のソニー・エリクソンは、売上高が前年同期比22%増の20億5,500万ユーロ、当期純利益が11%増の1億5,100万ユーロと、いずれも四半期としては過去最高を達成した。 2メガピクセルカメラ内蔵のGSM端末の「K750」や、UMTS対応端末の「K600」、ウォークマン携帯電話の第1弾モデルとなる「W800」がヒット。第2四半期の出荷台数は、全世界で前年同期比29%増となる1,380万台となり、市場シェアは7%に拡大したという。同社では、スイベルデザインの「W600」や「W550」、年末に向けて発売予定の第3世代対応端末のW900など、ウォークマン携帯電話のラインアップを強化する考えを示している。 ゲーム事業は、PSPの日米欧、アジアでの成功とともに、PS2が欧米で好調な売れ行きを見せたこと、さらにソフトでもPSP用ソフトの貢献で、大幅な増収となった。売上高は77%増の2,142億円、営業利益は82億円と、前年のゼロから黒字に転じた。 これに伴い、同社では、今年度のPSPの販売計画を1,300万台から1,400万台へ、また、PS2も同じく1,300万台の販売計画を1,400万台へ上方修正した。
映画事業は、売上高が18%減の1,589億円、営業損失は前年同期の274億円の黒字から一転してマイナス66億円の赤字となった。前年同期に「スパイダーマン2」の劇場興行収入が好調だったのに対して、今年は「ステルス」が興行不振に陥ったこと、さらに今後の公開予定作品に向けた広告宣伝費が増加したことなどが減益の要因となっている。 金融ビジネスは、ソニー生命の増収により、収入は39.7%増の1,759億円、営業利益は169.1%増の400億円。ソニー・ミュージックエンタテインメントなどの音楽事業が含まれるその他事業では、売上高は前年同期比11.4%減の1,000億円、営業利益は972.7%増の77億円となった。
同社では、「代行返上分によって、当初見込みよりも営業利益で135億円も上ぶれしたことや、第2四半期が想定を上回った実績だった。しかし、下期の競合企業の出方や、価格攻勢がどうなるのかわからず、むしろ、いまの状況が続くという方が楽観すぎる。コンサバティブと言われるかもしれないが、9月22日に発表した通期見通しは変更しない」(大根田氏)と慎重な姿勢を見せた。
□ソニーのホームページ
(2005年10月26日) [Reported by 大河原克行]
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