|
キヤノンは、液晶プロジェクタの新モデル5製品を5月中旬より順次発売する。SXGA+解像度のLCOSを搭載した上位モデルSX6/SX60、XGA解像度のLCOSを搭載したX600、高温ポリシリコン液晶を搭載したLV-7255/LV-7250の5モデルが用意される。各モデルの発売日や価格は以下の通り。
■ シアターモードを搭載した「SX60」
反射型液晶パネルのLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を採用したプロジェクタ。 日本ビクター製の0.7型/1,400×1,050ドットLCOSパネルを採用し、独自の光学エンジン「AISYS(Aspectual Illumination System)」を搭載するなど、従来モデル「SX50」の特徴を継承。さらに、家庭内での映画鑑賞などに向けた「シアターモード」を搭載したほか、静音性の向上や、「オートセットアップ」機能による使い勝手の改善などが図られた。 デバイスの特性として画素間の格子が少ないLCOSを採用したことで、滑らかな映像を実現。輝度は2,500:1ルーメン(標準モード)/2,200;1ルーメン(静音モード)、コントラスト比は1,000:1。ランプは180Wの超高圧水銀ランプを採用する。 レンズは光学1.7倍の電動ズームレンズ(F1.6~2.1)で、フォーカス調整も電動で行なえる。2枚の非球面レンズと1枚のUDレンズ(特殊低分散ガラス)を採用。独自の光学エンジン「AISYS」は、水平方向では光の集束を高め、垂直方向では光軸に対して平行に近い光でコントラストを向上させるなど、独自の光制御を行ないランプの小型化と光の集束効率を向上。全長の短縮化や、本体の小型化にも寄与している。 新たに「シネマフィルター」を内蔵。「シアターモード」選択時に同フィルタを適用するとともに、絞りを固定。輝度を500ルーメン程度まで落とすとともに、コントラスト比を2,000;1まで向上させ、家庭内での映画鑑賞時などに活用できる。
ホームシアターのほか、プレゼンテーション/スタンダード/sRGBなどの各モードを搭載。さらに、RGBの3原色に加え、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(黄色)の合計6色の色合いや色の濃さを調整できる6軸色調調整機能を搭載。階調を自動補正するダイナミックガンマ機能や、人の記憶に近い色再現を行なうという「記憶色表示モード」なども備えている。 新開発の「オートセットアップ機能」も搭載。ワンボタンで「ピント合わせ」、「台形歪み補正」、「入力信号選択」、「スクリーン色補正」の4つの機能を自動的に設定する。10秒程度で全ての設定が終了するため、モバイル用途でも活用できる。スクリーン色補正では、スクリーンや壁の色の違いを自動検知し、最適な白色を出力でき、ランプの経年劣化などもスクリーン色補正時に検出して、色再現の違いを最小限に抑えるという。
また、冷却風の抵抗を減らす吸排気口の形状や、大型で低回転数の冷却ファン採用などで、静音性能を向上。通常モード時で30dB、静音モード時27dB(SX50は37dB/34dB)まで低減。さらに、冷却ファン回転用のコンデンサーを内蔵。投写終了後にすぐに電源ケーブルを抜いても、約2分間冷却ファンが動作するため、使用終了後すぐに片づけることができる。 入力端子はDVI-I(HCDP対応)×1、アナログRGB(D-Sub15pin)×1、S映像出力×1、コンポジット×1、ステレオ音声×1を装備。出力はアナログRGB×1。USBやRS-232Cも備えている。消費電力は250W。外形寸法は266×366×114mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.6kg。
■ SX6/X600 SX6は、SX60と同じ1,400×1,050ドットのLCOSパネルを搭載したフロントプロジェクタ。 最大の特徴は、照明光学系に新開発の「Adobe RGBフィルター」を搭載したこと。プレゼンテーション/スタンダード/sRGBなどの映像モードに加え、緑色などの色空間を大幅に拡張したAdobe RGBモードを新搭載した。
Adobe RGBモードの搭載により、EOS-1Dシリーズなどハイエンドデジタルカメラで撮影したAdobe RGB画像を、最適な色空間で再現できる。「CGやCADなどのグラフィック市場に加え、フォトスタジオや写真館向けのソリューションとしてSX6を提案していく」(キヤノンマーケティングジャパン 山田文隆常務取締役)。 また、ランプも270Wの超高圧水銀ランプを搭載し、輝度も3,500ルーメン(静音モード時2,800ルーメン)に強化。騒音レベルは標準モード時35dB/静音モード時31dB。
その他の基本仕様はSX6と共通で、独自の光学エンジン「AISYS」や電動ズームレンズを搭載する。ただし、シアターモードは備えていない。外形寸法はSX60と共通だが、重量は100g重く、4.7kgとなる。 「X600」は、1,024×768ドットのLCOSパネルを搭載した下位モデル。搭載パネル以外の仕様はSX6と共通だが、Adobe RGBモードは省かれている。 ■ LV-7255/LV-7250 いずれも1,024×768ドットの高温ポリシリコン液晶パネル(HTPS)を搭載したポータブルタイプの液晶データプロジェクタ。
LV-7255は、0.7型のXGAパネルを搭載し、200Wの高圧水銀ランプを内蔵。輝度は2,500ルーメン(標準モード)/2,000ルーメン(静音モード)。動作音は35dB(標準)/30dB(静音)。外形寸法は296×273×110mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.3kg。 LV-7250は、0.6型のXGAパネルを搭載し、190Wの高圧水銀ランプを内蔵。輝度は2,000ルーメン(標準モード)/1,600ルーメン(静音モード)。動作音は35dB(標準)/29dB(静音)。外形寸法は310×265×109mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.0kg。 ともに光学1.6倍のズームレンズを搭載。入力端子はD-Sub15ピン(アナログRGB/コンポーネント共用)×2、S映像×1、S映像×2、アナログ音声×2など。アナログRGB出力や、アナログ音声出力、RS-232Cなども装備する。 ■ 「SXGA+市場で盤石の体制を築く」
キヤノンマーケティングジャパン株式会社プロフェッショナル機器カンパニープレジデントの山田文隆常務取締役は、プロジェクタのマーケティング戦略について説明した。 デジタル放送の普及や、薄型テレビの普及率が年末には23%になるとの予測、さらにはWindows Vistaの発売によるPC画面の高精細化について言及。「あらゆるソースがハイビジョン化され、当たり前のものになりつつある。環境が高画質へのニーズを後押ししている。プレゼンテーションを中心としたプロジェクタ市場でも、2006年はハイビジョンの導入期、2007年は急速拡大期になる」と市場拡大を予測した。 2004年のSX50投入以来、SXGA以上のクラスに注力して製品展開しているが、2005年のシェアは77.7%を獲得。「市場参入時の目標である80%をほぼ達成できた」という。 新製品は、「“より明るく、より静か、より身近、使いやすく”をモットーに5製品を投入。現在のSXGA+上の78%というシェアを盤石のものにするだけでなく、XGA/3,000ルーメン以上の市場で20%を獲得し、シェアトップを目指す。キヤノンにしかできない、価値ある製品をお届けし、市場での確固たる地位を築いていきたい」と、意気込みを語った。
□キヤノンのホームページ ( 2006年4月26日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|