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松下電器産業株式会社は、2005年度連結決算を発表した。
売上高は、前年比2%増の8兆8,943億円、営業利益は34%増の4,143億円、税引前利益は50%増の3,713億円、当期純利益は164%増の1,544億円となり、4期連続での増収増益となった。 今回が最後の決算発表となった中村邦夫社長は、「2005年度で、大規模な構造改革は打ち終わったと認識している。また、2005年度は自分が意図した決算内容になった。2006年度は、3カ年の“躍進21計画”の総仕上げの年であり、5%の営業利益率達成に向けて、全社員で激しい競争に打ち勝ってもらいたい」とした。 AVCネットワークの売上高は、前年比3%増の3兆9,861億円、営業利益は50%増の1,909億円。白物家電のアプライアンスは売上高が1%増の1兆2,412億円、営業利益が3%増の772億円。デバイスは売上高が7%減の1兆3,683億円、営業利益が40%増の811億円。電工・パナホームは、売上高が4%増の1兆7,472億円、営業利益が9%増の727億円となった。日本ビクターは、売上高が4%減の7,031億円、営業損失がマイナス58億円の赤字となった。
2005年度の国内市販商品の実績は、パナソニック商品は前年比13%増、ナショナル商品は前年比5%増、ドライヤーなどのナショナル小物商品は前年並み。川上徹也副社長によると、「量販実需で、この3つの領域の商品すべてがトップシェアになったのは初めてのこと。 パナソニックでは、プラズマテレビが93%増という大幅な伸びを達成したほか、ビエラリンクの提案により、パナソニック商品のまとめ買いといった動きも出てきた。ナショナル製品は、エアコンがトップシェアに返り咲いたのに加え、オール電化による提案、松下電工とのコラボ商品の成果もある。小物商品に関しても、小さな池の大きな魚として、この分野におけるシェア5割という強みを生かした展開ができた」とした。 ■ 2006年度は営業利益率5%を目指す
一方、2006年度の業績見通しとして、売上高は、前年1%増の8兆9,500億円、営業利益は9%増の4,500億円、税引前利益は8%増の4,000億円、当期純利益は23%増の1,900億円とし、5期連続での増収増益を目指す。 中村社長は、2000年11月に発表した「破壊と創造」のなかで、売上高9兆円、営業利益率5%、社内指標であるCCMでゼロ以上を中期的な目標として掲げたが、2006年度は、売上高では9兆円に500億円届かないものの、営業利益率5%およびCCMゼロ以上を具体的な目標として初めて掲げることになる。
同社が戦略的製品として掲げるV商品は、2006年度には82品目、1兆8,000億円の売り上げを目標とするが、「そのうち、6割以上を6月のワールドカップ前までに投入し、力強いスタートダッシュをかけたい」(川上副社長)とした。 セグメント別の見通しは、AVCネットワークの売上高が前年比3%増の4兆1,000億円、営業利益は18%増の2,260億円。営業利益率は5.5%を目指す。「プラズマテレビを中心としたデジタルAV機器の需要拡大が見込めるほか、携帯電話事業の改善も影響する」とした。 AVCネットワークの主要ドメイン会社のなかでは、パナソニックAVCネットワークス社が、売上高で前年比17%増の1兆7,800億円、営業利益が55%増の890億円を見込んでいる。 「プラズマテレビでは、大型化、HD化を加速させ、グローバルシェア40%の獲得を目指す。また、デジタルカメラも、DMC-FX01が発売1週間でトップシェアを獲得するなど出足がいい。デジタルカメラ事業を太い柱へと成長させ、広角、高倍率ズームなどの新コンセプトの訴求、デジタル一眼レフカメラ市場への参入などによって、グローバルシェア10%へ挑戦したい」(川上副社長)とした。
また、白物家電のアプライアンス事業は、売上高が1%増の1兆2,500億円、営業利益が4%増の800億円。デバイスは売上高が2%増の1兆4,000億円、営業利益が12%増の910億円。電工・パナホームは、売上高が1%増の1兆7,700億円、営業利益が20%増の870億円。 「松下電工とのコラボ商品では、開発、製造、販売網などのすべての面でリソースを共同利用するなど、シナジー効果を最大限に発揮させる。2年間で1,000億円以上の増販を目指したい」(川上副社長)と語った。 日本ビクターは、商品戦略の立て直しなどにより、売上高で2%増の7,200億円、営業利益は95億円と黒字転換を目指す。
■ 「スーパー正直」でグローバルエクセレンスカンパニーを目指せ 今回の会見は、中村社長が出席する最後の会見ということもあり、質問は中村社長に集中した。中村社長は、これまでの経営を振り返り次のように語った。 「窮地は脱したが危機は続くという考え方に変化はない。私流の言い方をすれば、デジタル時代の競争はオセロゲームであり、今日は勝っても、明日は敗れるということが起こりうる。これからも、顧客にとって、本当になにが正しいかということを常に考え、スーパー正直な経営をしていかなくてはならない。松下電器は、2010年にはグローバルエクセレンスカンパニーを目指すが、常に高い改革の意識と成長を求める体質を持つ事業体にしていくことが、21世紀の優秀な企業の条件だといえる。松下電器もぜひ、その仲間入りをしたい。改革は一人でやれるものではない。松下の全社員と経営者が一丸となって取り組んできた成果だといえる。これからも構造改革を続けないと成長は見込めない。製造業の原点である技術立社の考え方に立ち返り、2010年の営業利益率10%の達成を目指して進んでほしい。新たな経営陣は必ずやってくれるものと考えている」 また、中村社長が自らIT革新本部長を務め、陣頭指揮を振ってきたIT革新についても言及。「IT革新なくして、経営革新なしと考えてきた。ITは、経営革新の重要な武器となる。ただし、IT革新は一度止めると、そこで経営革新も止まってしまう。今後も継続的に年間400~500億円の投資を続けていく」と語った。 □松下電器産業のホームページ ( 2006年4月28日 ) [Reported by 大河原克行]
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