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Microsoftは17日(現地時間)、Windows Media Playerの次期バージョン「Windows Media Player 11 beta」(WMP11β)を公開した。WMPといえば、Windows OSの標準メディアプレーヤーということもあり、ユーザーに最もなじみ深いビデオ/音楽プレーヤーソフトのひとつと言えるだろう。 さらに近年では、gigabeat Sなどの例に見られるように、デジタルオーディオプレーヤー用の転送ソフトとしての利用も増えている。MicrosoftもPlayforSureなどのロゴ認定プログラムを行なっており、WMPをメディアプレーヤーのPC側プラットフォームとして利用できるよう、プロモーションに努めている。 その最大のライバルと言えば、AppleのiTunesだろう。昨今のオーディオプレーヤーの世界で、iPodの独走状態を招いた大きな要因として、iTunesというパソコン側プラットフォームの完成度の高さが挙げられる。WMP9/10は、iTunesに比べ、利点もあるが、プレーヤーとの同期方法や、ライブラリ管理がわかりづらいなどの問題もあった。 しかし、今回公開されたWMP11βは、インターフェイスの一新に加え、大幅に機能強化している。年内発売の次世代OS Windows Vistaには正式バージョンとなって搭載される予定だが、既にサポート対象外のベータ版として無償ダウンロード可能となっている。 ■ 黒を基調にしたインターフェイスに変更 プログラムサイズは22.9MB。対応OSはWindowds XP SP2以降。なお、インストールすると従来バージョンのWMPを上書きしてしまう。あくまで今回のWMP11はβ版となっているので、WMPを安定して利用したい人や、WMPをオーディオプレーヤーの転送用ソフトとして利用している人は、予備のPCなどにインストールしたほうがいい。 プログラムは英語版で、起動すると、インターフェイスのデザインが一新していることが確認できる。Library/Rip/Burn/Syncなどのタブが上部のメニューに用意される(WMP10の日本語版ではライブラリ/取り込み/書き込み/同期)のは共通だが、ブルーを基調にしていたメニュー部がブラックとなっており、かなり印象は異なっている。
スキンもクラシックスタイルを選択可能。また、左上部に階層移動可能なBack/Forwardボタンを備えたほか、左下中央部に再生系のボタンを集めている。左下部はステータスエリアとなっており、再生中の曲名や、縮小版のアルバムジャケットなどが確認できる。
1月のInternatinal CESで発表された時は、米国の報道を中心に「iTunesに似ている」といった声がかなり聞かれたのだが、使ってみると操作体系も操作感もかなり異なっているように感じる。 ■ 大幅に使いやすくなった楽曲検索機能
使い勝手の向上が感じられるのがライブラリ機能。従来はテレビ/ビデオ/音楽など全メディアがツリー状に表示されていたが、WMP11βでは左上のアイコンでMusic/Video/Photo/メディアを選択する形に改められた。現在の階層もタブ下に表示される項目で確認できる。 最も大きな変更が行なわれているのは、音楽関連のライブラリ機能。ライブラリの検索メニューの構成が一新されており、ライブラリ全体の他、最近の追加楽曲/アーティスト/アルバム/楽曲/ジャンル/リリース年/レーティングの各項目を選んで、楽曲検索できる。 アルバムはジャケット写真(アルバムアート)付で表示される。アーティスト検索で、複数のアルバムを含む場合は、ジャケットをまとめた形(Stacking)で表示されるなど、視認性が向上している。
ジャケット画像の登録機能も使い勝手が向上。リッピング時に画像登録がなされない場合でも、アルバム検索画面でジャケット画像をドラッグアンドドロップするだけで登録できる。 さらに、画像の自動取得機能も強化され、WMP上のアルバムアート部を選択し、右クリックでFind Album Infoを選択すると、windowsmedia.comのサーバーにアクセスを開始し、ジャケット画像を取得。サーバー情報と照合しながら、ジャケットとして登録できる。
また、WMP以外のソフトでリッピングした際のデータなどが間違えている場合でも、アルバム情報取得時に修正される。これらの楽曲情報取得/補正機能には、GracenoteのMusic IDのような、楽曲データの波形を解析し、Web上のDBと照合して楽曲情報を取得する機能を利用しているようだ。 WMP10でもジャケット登録機能を備えていたが、ややわかりにくかっただけに、嬉しい改善だ。日本国内版のデータが少ないため、邦楽ファンには物足りないかもしれないが、輸入盤中心のユーザーであれば、かなりの確率で、ジャケットや曲情報を取得できる。WMPを転送ソフトに採用し、大型液晶を備えるgigabeat Sのようなプレーヤーの魅力もより一層向上するだろう。 また、プレイリスト機能も改善。右ペインのプレイリスト欄に楽曲をドラッグ&ドロップ、もしくは楽曲を選択し、右クリックで「Add To (プレイリスト名)」に登録できる。さらに、自動プレイリスト作成機能も強化され、アーティストやタイトルから絞り込んでリストを作成したり、エンコード日時やビットレート、ファイル種別のプレイリストなども作成できる。
ビデオはサムネイル付で表示され、アルファベット順で並べられる。長さや発表年、ジャンルごとの検索も可能。Actor(俳優)などの、メタデータを元に検索できるが、これらのデータが入ったデータを持っていないので、今回はあまり利用できなかった。WMP11ではメタデータの拡充に力を入れているようなので、おそらく、WMV対応の各配信サービスなどで活用される事となると思われる。また、写真機能も撮影年ごとの検索や、キーワードごとの検索などが行なえる。
これらのメディアの検索機能も大幅に強化。インクリメンタルサーチを取り入れたことで、検索窓に入力した文字を元に検索結果を出力してくれる。例えば[i]という文字を入れると、14アルバム/123曲という検索結果を表示。さらに、[in]とすると10アルバム/54曲と、絞り込んだ検索結果を表示してくれる。しかも、この検索結果の出力が非常に高速で、0.5秒とかからないので、非常に使いやすい。
■ WAVリッピング対応。同期機能も強化
そのほか、音楽関連ではCDのリッピング機能を強化。従来のWindows Media Audio(CBR/VBR)やMP3、WMA Losslessに加え、Windows Media Audio Pro、WAV形式のリッピングに対応している。 なお、WMP11βの公開にあわせて、米国ではMTV Networksによるオンライン音楽配信サービス「URGE」がスタートしている。URGEのプログラムをインストールすると、WMP11βにURGEへのアクセス機能が追加され、ダウンロード/サブスクリプション型の有償音楽配信を利用可能。
当初は日本からアクセスできなかったが、19日現在、購入はできないもののURGEのブラウズは可能となっている。 URGEでは、Green Day、Rihanna、Rosanne Cash、Tony Hawkといったアーティストによるセレブレティ・プレイリストなど、500以上の独自プレイリストを用意するほか、専用BLOGや、ネットラジオ、URGE独自のチャート、ビルボードのチャート情報などの音楽関連情報/楽曲購入機能も用意している。 さらに、WMP上の楽曲と関連付けて、ユーザーにあった楽曲をレコメンドする機能なども導入予定で、URGEの導入でWMPの魅力はさらに高まりそうだ。しかし、日本では、現在のところ楽曲購入やサブスクリプションサービスを受けることはできない。非常にユニークなサービスだけに、日本での展開にも期待したい。
また、同期機能も強化され、接続したプレーヤーのデータにWMP11からアクセス可能となったほか、検索にも対応。さらに、接続したプレーヤーの容量を確認し、容量にあわせて自動的にプレイリストを作成/同期する「Shuffle Sync」、複数PCで同一デバイスの管理を可能にする「Guest Sync」などの機能を追加。携帯電話などで購入した音楽や写真データなどををデバイス側からPCに同期する「Guest Sync」機能も新搭載した。 とりあえず、WMP9/10からの転送が可能なirver「T10」を接続したところ、問題なく認識され、HDD上のデータと同様にT10上のデータブラウズが行なえた。また、T10上のMP3ファイル(DRM無し)のPCへの転送も可能だった。ただし、Shuffle Syncでの転送を試みたところ、β版ためか転送に失敗することもあった。
■ 正式版に期待 βバージョンではあるものの、動作は安定しており、大きな問題を感じるようなことはなかった。なお、プレーヤーとの同期時の問題などは同社のリリースノートにも記載されているので、インストール前に読んでおく必要がある。 新機能を簡単に試しただけだが、特に音楽ライブラリ機能は大幅に使い勝手が向上したと感じる。 また、URGEに見られるように、新サービスのプラットフォームとしての期待も高く、プレーヤーなどの周辺機器の使い勝手に寄与する部分も多い。そうした意味では正式バージョンのリリースとそれにあわせた国内サービス展開にも期待したい。 □Microsoftのホームページ(英文) ( 2006年5月19日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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