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CODA、’05年度のアジア海賊版押収は228万枚
-総額約30億円。「CJマーク」は映像内にも展開


CJマーク入りの正規版を持つ角川歴彦代表幹事

6月1日発表


 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は1日、香港、中国、台湾において2005年4月から2006年3月までの1年間、著作権法違反に基づいた計1,091件の摘発を実施したと発表。日本の映画やアニメ、ゲーム、音楽などを収録したDVD/VCD/CDなど約228万枚を押収し、515名が逮捕(うち懲役刑20名弱)された。仮に1枚の市場価格を1,300円とすると、押収物の総額は29億6,000万円となる。

CJマークの後藤健郎委員長

 海賊版対策の成果について、「CJマーク」(コンテンツ海外流通マーク)の後藤健郎委員長が説明。東アジアで特に重点的にエンフォースメント(権利行使)活動を行なった香港では、当初80カ所以上存在したという海賊版販売店舗が約25カ所にまで減少。

 取締は155件、逮捕者158名、押収DVD/CD等は24万7,172枚に上った。海賊版販売を続ける店舗については引き続き現地機関へ摘発を要請する。


2005年度の成果

 特に日本コンテンツの海賊版が横行するとされる香港・旺角にあるショッピングセンター「信和中心」内の店舗に対しては、2005年1月時点で16カ所あった海賊版販売店が5カ所にまで減少、残った店も取締りを避けて夕方から数時間営業する程度になったという。

 そのほかの国や地域では、中国(北京、上海、広州、深センなど)が取締666件、逮捕者26名、押収DVD/CD等185万511枚、台湾(台北、台中、桃園など)が取締270件、逮捕者331名、押収DVD/CD等が17万8,497枚。

 地域による格差は、現地の取締機関の協力体制などによるもので、香港税関は水際だけでなく、上陸後の製品に関しても権利行使できるため、摘発率が高いという。


「信和中心」における海賊版販売店は16店舗から5店舗に


■ 上映作品へのCJマーク表示も

 海賊版対策の中核とCODAが位置付けている、海外で販売される国内製DVDなどに添付される「CJマーク」については、既にアニメDVD「ブラック・ジャック」や「焼きたて!! ジャぱん」などで採用されており、日本/香港/台湾/EU諸国で商標登録が完了、中国/韓国/米国では出願中となっている。

 CJ(CONTENT JAPAN)マークは、マークごとコピーすれば商標法違反として、マーク無しで販売すれば著作権法違反として摘発可能となる著作権保護対策。商標法違反の場合は、著作権保護違反に比べ立証などの手間が省けるという。アニメ、映画、テレビ、ゲーム、玩具などのコンテンツ関連企業が参加し、現在の正会員は29社、賛助会員は9社/団体。対象となる著作物や製品は、CD/DVD/ゲームソフトや、出版物、玩具、オンラインで扱われる電子出版物/映像/画像など。

アジアで販売されていた海賊版DVD。既に判決が出た事例では、販売者に懲役10カ月程度の実刑が言い渡されているという

CJマーク入った正規のDVD、ゲーム、玩具など DVDジャケットに入ったCJマークの例

 さらに、オンライン上で取引される海賊版への対策として、CJマークはパッケージ以外にも、映画のエンドロールにも追加されることが決定。4月29日より公開されている「小さき勇者たち~ガメラ~」や、6月10日公開の「TRICK 劇場版2」、6月24日公開「着信アリFinal」などで採用されている。

映画のエンドロールにCJマークが入った例

 CODAでは、香港、中国、台湾の主要都市9カ所で、現地の取締機関の担当者に計11回のセミナーを実施。さらに、海賊版の見分け方などに関するセミナーを計9回、約870名に対し行なうといった権利保護基盤の構築に向けた活動を展開している。



■ 角川氏「アジアには意識の変化」

角川代表は、「香港をはじめ、著作権保護意識は浸透している」とコメント

 海賊版の現状についてCODAの角川歴彦代表幹事は、「香港に住む知人から、ネットでダウンロードした『サムライチャンプルー』は面白いと話され、それは海賊版だろうと指摘したことがある」という。

 「海賊版販売を行なう店でも単に“安いDVD”として扱われ、売る人は無邪気だ。だが、作っている人はプロ。このアンバランスが問題」と述べた。さらに、パッケージメディアに代わって顕著になったP2P(Peer to Peer)ソフトによる被害も取り上げて行かなければならない問題とした。


ライセンス展開されていない製品が棚に並んでいるという現状も

 一方、意識の変化として、中国政府も協力したという映画「HERO」においては「ビデオを作ったことで海賊版の現状を自覚した」(角川氏)事例もあったという。さらに、角川氏は「日本も’80年代には、欧米から同様に指摘されていた。今は自己を振り返りつつ、アジアに対して指導していく姿勢」という。

 また、アジアにおける変化の1つとして、「ケロロ軍曹」の映画版に関するエピソードを紹介。海賊版対策も兼ねて、同作品は世界同時公開を考えていたが、香港の担当者から「香港では著作権保護の意識が高まっているから必要ない。香港では時期をずらして子供たちのために夏休み公開を」という意見も出たという。

 CODAは、今後10年間の行動指針として、権利行使の「継続」と、海賊版に挑戦する「果敢」、ビジネス展開に対する「希望」をキーワードに決定。2010年度末の中期ビジョン、2015年度末までの長期ビジョンを策定した。

 中期ビジョンでは、中国やアジア近隣諸国の市場を開拓し、欧米市場への展開を拡大することや、そのための海賊版排除、日本コンテンツの海外認知度向上のための活動支援といった内容を掲げている。

 また、海賊版と正規版の価格差や、リリース時期のタイムラグといった問題については、現地で流通する正規版価格の引き下げや、海外で行なわれている世界同時リリース戦略の採用など、新たなビジネスモデル研究・構築を支援するという。さらに、東アジアにおける著作権関連の法制度について、コンテンツ業界としての意見をパブリックコメントなどで申し入れるなどの活動も行なう。

 長期ビジョンについては、2015年度までの10年間における目標を設定。日本コンテンツの安定した海外流通を実現するビジネスモデル構築や、日本文化、ブランドのイメージ向上戦略などに取り組む。

 海賊版問題以外にも、中国では、AV製品と電子出版物に対する外国資本の規制といった、コンテンツ企業に対する参入規制や、輸入手続の不透明性などの問題もあるが、これらについては個別企業により対応しているのが現状。CODAは官民一体となる規制緩和へ努力するとした。


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( 2006年6月1日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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