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ソニーは、AVCHDに対応した世界初のビデオカメラ2機種を発売する。価格はいずれもオープンプライス。記録メディアに8cm DVDを採用した「HDR-UX1」が9月10日発売で、店頭予想価格は17万円前後、30GB HDD採用の「HDR-SR1」が10月10日発売で18万円前後の見込み。 AVCHDは、1080iや720p方式のHD信号をH.264/MPEG-4 AVC方式で圧縮し、8cmDVDディスクに記録するビデオカメラ用規格。5月11日に発表され、7月13日には仕様を拡張し、記録メディアとして8cmDVDだけでなく、メモリーカードやHDDも追加。AVCHD規格 Ver.1.0として策定された。 「UX1」は記録メディアに8cmのDVD±R/RW、DVD+R DLを採用。「SR1」内蔵の1.8型30GB HDDに録画する。同日には2.6GBの8cm DVD+R DLメディア「DPR55DL」も発表している。
解像度はHDVと同じ1,440×1,080ドットの1080iで、720pはサポートしない。また、従来のDVDカム、HDDカムと同様にSD解像度での録画も行なえる。なお、HDDモデルはSD/HDの両方を録画できるが、DVDモデルの場合は1枚のディスクに両モードを共存させることはできず、SDモードで撮影を開始すると、そのディスクはDVDビデオモードで作成され、その後はSD解像度のみの撮影となる。
HD映像はMPEG-4 AVC(H.264)フォーマットで、SDはMPEG-2で録画する。エンコーダ/デコーダは自社開発のコーデックLSIを採用する。なお、HD撮影時の画質モードとビットレートはモデルによって異なる。各モデルの撮影モードと撮影可能時間の目安は下表の通り。なお、SD解像度での録画モードは共通で「HQ」(約9Mbps)、「SP」(約6Mbps)、「LP」(約3Mbps)の3モードとなる。
カメラ部の主な仕様は共通で、撮像素子には1/3型総画素数210万画素のクリアビッドCMOSセンサーを搭載。動画撮影時の有効画素数は16:9で143万画素、動画撮影中に3枚の静止画を199万画素(4:3)で撮影できる。静止画撮影モードでは「新エンハンスドイメージング プロセッサー」を利用して、倍密度の最大400万画素相当(4:3/2,304×1,728ドット)の静止画が記録できる。なお、静止画はメモリースティック Duo/PRO Duoに保存するが、HDDモデルはHDDにも記録が可能。
レンズは光学10倍のカール ツァイス「バリオ・ゾナーT*」で、F値は1.8~2.9。焦点距離は35mm換算で41.3~485mm(16:9時)となる。電源をONにすると自動的に開くオートレンズカバーを内蔵。新アクティブイメージエリア方式を採用した電子式の手ブレ補正も内蔵する。 液晶モニタは16:9の3.5型で、21.1万画素のクリアフォト液晶プラス。ビューファインダーは0.27型の12.3万画素。1秒間に240フィールドで最長3秒間の「なめらかスロー録画」が行なえるほか、ナイトショット/スーパーナイトショット撮影も可能。インテリジェントフラッシュも装備する。
連続撮影時間は、付属のバッテリ「NP-FM50」を使用した場合、DVDモデルで1時間35分(実撮影時間50分)、HDDモデルで1時間40分(同55分)。外形寸法と付属バッテリ込みの重量は、DVDモデルが76×165×89mm(幅×奥行き×高さ)で約740g、HDDモデルが78×165×84mm(同)で約720g。なお、既発売のHDVカムは「HDR-HC3」が82×139×78mm(同)で560g、「HC1」が71×188×94mm(同)で780gとなっている。
■ 撮影した動画はPS3でも再生可能 AVCHD規格で撮影したHD動画は本体以外にパソコンでも再生可能。DVDモデルはディスク経由で、HDDモデルはUSB 2.0経由でパソコンに取り込み、付属の専用ソフト「Picture Motion Browser」で再生する。なお、同ソフトをインストールしてもWindows Media Playerでは再生できない。また、HDDモデルはUSB経由で内蔵HDD内のコンテンツを再生することもできる。HD映像を再生する際の推奨スペックはPentium 4 3.6GHz以上/Core Duo 1.66GHz以上、メモリ1GB以上。 「Picture Motion Browser」は簡易編集機能も備えており、AVCHD動画のカット編集が可能。ただし、トランジションやエフェクト、文字の追加などは行なえず、メニュー作成もサポートしない。また、12cm DVDメディアにAVCHD形式で動画を書き込んだAVCHDディスクも作成でき、HDDモデル「SR1」にはワンタッチで本体HDDからパソコンのDVDドライブに設置したDVDメディアへコピーできる「ワンタッチディスク」ボタンを備えている。
なお、現時点でAVCHD再生に対応した据え置き型プレーヤーは存在しないが、同社は「Blu-rayとAVCHDの技術的な親和性が高いため、今後リリースする予定のソニー製Blu-ray Disc(BD)プレーヤーや、BD対応VAIO、PLAYSTATION 3では対応する。他メーカーの対応予定は不明だが、AVCHDに賛同しているメーカーからは対応機器がリリースされると考えており、他のBD対応機器を予定しているメーカーに対してもAVCHD対応を呼びかけていく」という。ただし、Blu-rayの規格そのものにAVCHD規格を内包する可能性については「現在のところ考えていない」としている。
編集面ではVAIOに内蔵するAdobe PremiereでAVCHD動画を扱うようにするプラグイン「VAIO Edit Components 6.1」を開発中。6.0のユーザーには無償アップデータとして提供を予定している。エフェクトやトランジションの追加や各種変換も可能になるが、AVCHDディスク用メニューを作成する機能や、AVCHDディスクそのものをライティングする機能は備えていない。そのため、AVCHDディスクを作成する際には編集後にファイルとして書き出し、Picture Motion Browserでライティングする必要がある。 音声面では、AVCHDD規格はドルビーデジタル/リニアPCMをサポートしているが、今回の2モデルでは内蔵の4chマイクでドルビーデジタル5.1ch形式で録音する。2chなどに変更することはできないが、別売の2chマイクを接続した際は2chで録音する。 本体に出力としてHDMI、特殊D3端子、特殊コネクタを使ったコンポジット、S映像、アナログ音声出力を備えているが、本体から5.1ch音声出力は行なえず、2chのみとなる。また、パソコンで再生する際も「Picture Motion Browser」が2ch出力しか対応していないため、5.1ch再生は行なえない。
そのため、撮影したデータには5.1ch音声が含まれているものの、5.1ch再生を行なうためにはAVCHD対応のBDプレーヤーを利用するか、SD解像度で撮影、もしくは解像度変換し、DVDビデオとして再生する必要がある。
□VAIOでの「AVCHD規格」対応について
■ 8cmのDVD+R DLメディア
「HDR-UX1」で利用可能な8cm DVD+R DLメディアとして「DPR55DL」が9月10日に発売される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は1,300円前後の見込み。片面のみのメディアで、容量は2.6GB。ハードコートを施している。
■ 「2006年末、国内向けハンディカムのHD構成比を50%に」
執行役EVP デジタルイメージング事業本部長の中川裕氏は、HDVカムのHC1/HC3が市場に与えたインパクトや、好調なセールスを振り返り「ソニーは業界に先駆け、家庭用ビデオカメラのHD化を手掛けてきたと自負している。そして今回、新たにAVCHDに対応したモデルを、SD対応モデルの上位機種としてHC3とともにラインナップする」と説明。
さらに「今後もHD対応のテレビなどと含め、撮影/編集/観るというトータル・ソリューションとしてHD化をフルスイングで進めていく。ソニーとしては、年末におけるビデオカメラビジネスにおけるHDモデルの構成比50%を目指している」とした。
今回の2機種は順次海外でも発表/発売される予定だが、国内の販売戦略についてソニーマーケティングの取締役 執行役員常務の鹿野清氏は「9月からの運動会シーズンは、他の月と比べて需要が数倍に跳ね上がるため、その時期を目指して開発した。店頭でのプロモーションについては、これまで好評だった、SD/HD画質がボタン1つで切り替えられる“感動チェンジ台”をリニューアルし、HD対応3モデルをまとめたものを設置していく」と説明した。
□ソニーのホームページ
(2006年7月19日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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