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キヤノン株式会社は、CMOSを採用した縦型HDVカメラ「iVIS HV10」を発表した。光沢感のあるブラックをベースにシルバーとのツートンカラー「グラナイトブラック」と、高輝度メタリック塗料にハードコート塗装を施した「バーニッシュシルバー」の2色をラインナップし、それぞれ9月上旬、9月中旬に発売する。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は15万円前後の見込み。生産台数は15,000台/月の予定。
バッテリパック「BP-310」や、コンパクトパワーアダプタ「CA-570」、ワイヤレスコントローラ「WL-D87」、専用D端子ケーブル「DTC-100」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」などが同梱されるが、HDV対応編集ソフトなどは付属しない。
また、同社では今回発表の製品から、家庭用ビデオカメラの新ブランド「iVIS」(アイビス)を立ち上げる。iVISは、「i(eye=瞳、愛) + VISion(映像)」を意味し、「見たままに撮影できること、感じたままに記録できることを共通コンセプトにする」という。なお、今後は、従来の「IXY DV」ブランドや、「写真DV」、「ダブルOK」といったキャッチコピーは使用しない。 iVIS HV10の外形寸法は56×106×104mm(幅×奥行き×高さ)/重量440gで、同社のDVカメラ「IXY DV M5」(約51×102×101mm/約410g)から、あまり変わらない外寸と重量に、HDV機能を搭載した。同社では、「HDVカメラでは世界最小・最軽量」としている。
撮像素子には、同社のデジタル一眼レフカメラ「EOS DIGITAL」のCMOS技術を応用し、デジタルビデオカメラ用に新開発した、動画用CMOSセンサー「キヤノン HD CMOS」を採用。1/2.7型総画素296万画素の単板原色CMOSとなっている。
さらに、EOS DIGITALで利用されているオンチップノイズ除去回路も搭載しており、CMOS特有のノイズを低減している。なお、ソニーのHDVカメラ「HDR-HC3」で採用している「クリアビッドCMOS」のような特殊な配列ではなく、ベイヤー配列となっている。 また、HDVの規格上、記録解像度は1,440×1,080ドットとなるが、iVIS HV10ではCMOSから1,920×1,080ドットで映像を切り出し、そこから1,440×1,080ドットに縮小している。同社ではこれを「1920 CMOSハイビジョン」と定義。ロゴも作成し、他社のHDVカメラに対する優位点として訴求していく。 映像エンジンは、同社のHDVカメラの最上位モデル「XL H1」と同じ、「DIGIC DV II」を採用している。 搭載レンズは、ハイビジョン撮影に対応した、新開発の光学10倍ズーム「キヤノン HDビデオレンズ」。高精度なガラスモールド非球面レンズを採用したことで、レンズユニットを小型化しながら、水平解像度800本を達成している。
手ぶれ補正は光学式で、同社の業務用モデルで採用されている「ワイドレンジ周波数検知」となっており、「検出が難しい低周波の手ぶれや、車に乗って撮影する際の速いゆれなど、幅広いぶれを検出できる」としている。家庭用ビデオカメラでは初採用となる。
レンズには同社独自の特殊コーティングが施されているほか、グラデーションNDシステムも改良が加えられている。さらに、電源と連動して開閉するレンズカバーも内蔵した。なお、ワイドコンバーションレンズやテレコンバーションレンズは、従来から発売されている「WD-H37C」/「TL-H37」(各18,900円)が対応する。
AFは、従来の撮像素子を利用したコントラスト検出方式と、レンズ下に配置された「外測センサー」の2種類を装備。2種類の方式を併用した「スーパークイックAF」と、コントラスト検出のみの「ノーマルAFモード」を選択できる。 スーパークイックAFでは、最初に外測センサーで被写体までの距離を測定して、高速フォーカシングを行なった後に、コントラスト検出でフォーカス精度を高めることで、従来の約2倍のAFスピードを実現したとしている。 そのほかにも、ワンボタンで中央の映像を拡大し、輪郭強調表示する「フォーカスアシスト機能」や、中央に横線を表示する「水平マーカー」、水平垂直に2本ずつ表示する「グリッド表示」機能も装備。さらに、ミニビデオライトとストロボも内蔵している。 また、本体にminiSDカードスロットを内蔵し、JPEGで静止画記録も可能。静止画モードでの記録解像度は2,048×1,536/1,920×1,080/1,440×1,080/640×480ドット。動画撮影中にも1,920×1,080ドットでの静止画同時記録も可能で、miniSDカードの容量いっぱいまで、連続して撮影できる。さらに、HDVテープから1,920×1,080ドットで静止画を切り出すことも可能。
なお、最終的な記録解像度は同じになるが、HDVは1,440×1,080ドットで記録されているため、HDVテープから切り出す際は1,440×1,080ドットから1,920×1,080ドットに補間される。そのため、CMOSから切り出した1,920×1,080ドットを直接記録する動画撮影中の静止画撮影より、HDVテープから切り出した静止画の方が、画質は劣化する。
□キヤノンのホームページ
( 2006年8月2日 ) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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