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ソニーは、映像コーデックにH.264を採用した新「ロケーションフリー」ベースステーション「LF-PK20」を10月20日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33,000円前後の見込み。
H.264映像を受信可能なWindows PC用ソフト「LFA-PC20」も10月20日に発売、店頭予想価格は2,000円前後。また、LF-PK20の映像を家庭内で受信可能なTVボックス「LF-BOX1」も10月27日に発売、店頭予想価格は22,000円前後の見込み。 ロケーションフリーは、インターネットを介して、外出先から自宅で受信したテレビ放送やハイブリッドレコーダ内のコンテンツをワイヤレスで表示できるネットワークテレビ受信ユニット。 新たに映像コーデックにMPEG-4 AVC(H.264)を採用。従来機(LF-PK1)より画質を向上させ、字幕の視認性などを高めたという。また、家庭内でTVボックスLF-BOX1と接続する際には、MPEG-2を利用し、より高画質な映像再生が可能となっている。
H.264の画質モードはオートのほか、1~6までの6段階で選択可能。解像度は160×120~640×240ドット、ビットレートは200kbps~3Mbpsで、カスタム設定も行なえる。なお、MPEG-2での受信はLF-BOX1を家庭内ネットワークで利用するときに限られ、外出先からのテレビ視聴についてはH.264となる LF-PK20のチューナは地上アナログ(VHF/UHF/CATV)。入力端子はS映像×1、コンポジット×2、アナログ音声×2、出力端子S映像×1、コンポジット×1、アナログ音声×1を装備するほか、EthernetやIEEE 802.11b/g対応の無線LANを内蔵する。また、DVDレコーダやスカパー!チューナなどとの連動動作用のAVマウス端子を装備している。
新たに、外出先から見るためのセットアップを簡略化。アンテナや外部入力機器を接続して、LF-PK20をルータに接続だけで、初期設定が可能となる。 また、ベースステーションのリモコン受光部でDVDレコーダなど外部入力機器のリモコンデータを認識させて、操作を学習する「学習リモコン」機能を搭載する。 また、ルータと有線LANで接続して「LF-PK20」をアクセスポイントとして利用するほか、無線LANルータのクライアントとしてLF-PK20をネットワーク内に設置するクライアントモードを新搭載した。スタンド込みの外形寸法は約85×128×197mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約0.51kg。
なお、ベースステーションには、PC用ソフト「LFA-PC20」のお試し版のみ付属。利用時にはLFA-PC20、もしくはLF-BOX1などの対応クライアントソフト/機器を購入する必要がある。従来より発売されているPC用クライアントソフト「LFA-PC2」でも、LF-PK20にアクセスし、MPEG-4での視聴が可能となる。 PC用ソフトの「LFA-PC20」は、H.264での受信に対応したほか、バッファ容量を増やし、操作レスポンスを大幅に改善。H.264の採用により、表示画質も向上しており、特に「低ビットレートではその差が顕著」という。会場では約200kbpsのMPEG-4(ASP)と、H.264の比較デモも行なわれ、ブロックノイズの低減や確かな輪郭表現などの違いをアピールした。
TVボックス「LF-BOX1」は、家庭や外出先のテレビにLF-PK20の映像を出力するための製品。LF-PK20の映像をMPEG-2で受信する「画質優先」モードと、H.264で受信する「通信優先」モードを用意する。 画質優先モードは家庭内のネットワークのみで利用可能。MPEG-2のビットレートは最高約12Mbps。通信優先モードは、H.264での視聴となり、画質モードはLFA-PC20と共通。LF-BOXのビデオ出力を、出張先のホテルのテレビの外部入力などに接続して、どこでも家庭内のテレビを受信/視聴可能とする。 Ethernetを備えるほか、S映像出力、コンポジット出力、アナログ音声出力を各1系統装備。スタンド込みの外形寸法は約165×85×198mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約0.43kg。専用のリモコンが付属する。
■ ロケフリワールド拡大へ、専用モニターなどを投入予定
ソニー テレビ・ビデオ事業本部 LFX事業室の前田悟室長は、ロケーションフリーのコンセプトや製品概要を説明した。 「テレビの大型/薄型化という大きな流れが進行中だが、家でテレビで見る、視聴スタイルは変わっていない。電話やオーディオの世界ではモバイル/パーソナル化が進行しており、テレビも新しい視聴スタイルに移るだろう。それが我々の提案する新しい市場」と、ロケーションフリーの目標を解説。 さらに、「新しい技術が新しいライフスタイルを作り出す。“今までできなかったことを、できるようにする”ことが必要だ」と訴え、「“通信と放送の融合”といわれるが、その例は“テレビのドラマを見ながら、クリックすると同じ服が買える”とか。私はドラマを見るときは集中して見たい。服を買いたいと思ったことはない。ユーザーが望んでいること、“パーソナル化”、“どこでも化”を実現する“プレイスシフト”がロケーションフリーのコンセプト」と説明した。 TVボックスについては、「今回の目玉」と切り出し、「いままではPSPやパソコンなど既存の端末にプレーヤーを実装していた。今度はいま使用している“テレビ”をロケーションフリー化する。これが大きな特徴」とコンセプトを説明。現在の購入層は技術者や30~40代の男性が中心となっていたが、年末に向けてテレビのセット商品としても提案し、ユーザー層を拡大していくという。同社のロケーションフリーの潜在需要調査でも、外出先よりも家庭内での「プライベートテレビ」として注目されていることから、年末にかけてテレビとのセット提案を行なう予定で、「BRAVIAとのセット展示など、テレビコーナーでテレビの購入者向けにも積極的に提案していきたい(ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 田中良則統括部長)」。 また、ロケーションフリーのライセンスについては、「現在20社以上から問い合わせを受けている」とし、既に発表済みのWindows Mobile用ソフトに加え、専用のモニターも「年内に発売したい」という。さらに新製品/領域の構想については、「いくつかある。何をいつ出すとは言えないが、期待して欲しい」と、ロケーションフリーのさらなる対応製品拡大を示唆した。
さらに、技術、製品企画、マーケティングの3つの要素が製品の成功に必要と力説した上で、「商品に全く関係ないですが……」と前置きし「私の宝物」と、ソニー創業者盛田昭夫氏の直筆の文書を紹介した。 20年以上前にDCT(JPEGで利用される圧縮技術)を利用した通信を披露した際に取引先のJCPenneyに早速同技術を利用して文書を伝送したエピソードを披露し、優れたものづくり、マーケティングへの思いを語った。 なお、デジタル放送の対応については、「外部入力を利用して、デジタルチューナ搭載のレコーダなどと連携できる。本体にデジタルチューナを内蔵すると、コストが跳ね上がる。検討は進めるが、現段階では買いやすい価格を優先した」という。
□ソニーのホームページ ( 2006年9月6日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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