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PSPに対応した「ロケーションフリー」を試す
-PSPが無線LANテレビに。チャンネル戦争に終止符?



■ ロケーションフリーがPSPに対応

 無線LANを利用したワイヤレステレビ「エアボード」初代機(IDT-LF1)が発売されたのが、2000年12月。以来ソニーは、ワイヤレステレビを継続して製品開発し、外出先でも利用できる「ロケーションフリー」とブランド変更されたのが、2004年3月発売の「LF-X1」だ。

 しかし、10万円を超える価格ということもあり、実際にその利用イメージを描けた人は少ないだろう。LF-X1で「海外で国内の番組が見られます」と言われても、その機能を魅力と感じる人は、どれくらいいるだろう? 正直、ニッチ製品というのが「ロケーションフリー」に対する印象だった。

 そのイメージを一新させたのが、10月に投入されたベースステーション「LF-PK1(実売価格33,000円)」。パソコン用ソフト「LccationFree Player(LFA-PC2)」を利用して、ノートPCなどで屋外や家庭内の至る所で、テレビを視聴でき、レコーダも制御できる。しかもディスプレイが不要で、従来より大幅に安い33,000円程度の売価ということもあり、高い人気を集め、発売直後もかなりの品薄状態になった。

 その品薄を一層加速したのが、13日に発表された「LF-PK1」のPSP対応。全世界で1,000万台という出荷台数を誇るPSPで「どこでもテレビ」が実現できるとあって、俄然注目が高まった。

 と、同時にPSP対応発表直後には各所でLF-PK1の売切が続き、どの店舗でも入荷待ちという状態。いままで、ロケーションフリーのコンセプトはわかっていても、価格や利用スタイルにあった用途を見いだせなかった人たちが、PSP対応で一斉に飛びついたということだろう。ソニーでも大幅増産をかけてはいるが、11月過ぎまでは品薄状態は続きそうだという。

 PSPを持っていれば、3万円程度の投資で、ワイヤレステレビを実現できる。PSPとLF-PK1を一緒に購入しても5万円と、他社のワイヤレステレビと比較しても割安(そもそもワイヤレステレビ自体の新製品がほとんど無いわけだが……)。ディスプレイサイズは4.3型とやや小型ではあるが、PSPに対応することで、ロケーションフリーの世界はどう広がるだろうか?


■ 小型化したベースステーション

 新ファームの特徴はなんといってもPSPから、LF-PK1の映像が見られるようになったこと。もちろん、従来通りWindows PCでも専用ソフト「LocationFree Player(LFA-PC2)」でも視聴できる。ただし、同時に同じベースステーション(LF-PK1)を利用できるのは1台ずつとなる。機器の登録は5台まで可能。

 発表時には、なぜプレーヤーソフトが別売なのかわからなかったが、PSP対応が明らかになったことでようやく合点がいった。

 本体の外形寸法は46×128×183mm(幅×奥行き×高さ)。重量は470g。スタンドも付属する。従来のベースステーションから比較すると、大幅に小型化されている。地上アナログチューナを内蔵し、チューナーに入力された信号をMPEG-4エンコーダでリアルタイムに変換し、IPネットワークに配信する。

 本体内蔵のチューナはVHF(1~12ch)/UHF(13~62ch)、CATV(C13~C63ch)を受信可能。ビデオ入力端子を2系統、S映像入力を1系統装備。また、ルータ接続用のEthernetや、AVマウス出力、セットアップ用のボタンなどを背面に備えている。

前面に利用モードを確認できるLEDを搭載 背面。S映像やビデオ入力、Ethernet、AVマウス端子などを装備 奥行きは128mm。薄型テレビの脇に置けるサイズだ


■ とにかく簡単なベースステーション設定

PSPのロケーションフリープレイヤーを選択

 実際に使用するには、LF-PK1とPSPのファームウェアを最新バージョンに更新しておく必要がある。PSPのファームウェアをバージョン2.5に上げると、PSPのネットワークの項目に[ロケーションフリープレイヤー]が現れる。ここで、ロケーションフリープレーヤーを起動するとセットアップ画面が表示される。

 本体を起動して、ロケーションフリープレイヤーを起動すると、セットアップを促す説明文が現れる。ここで、ベースステーション背面のSETUP MODEボタンを押し込むと、セットアップモードになるので、あとはPSPの指示に従い、決定ボタンを2度押すだけで自動的に通信設定が行なわれる。拍子抜けするぐらいシンプルかつ簡単に設定完了してしまう。

 PC用ソフトの「LFA-PC2」では、PCからSSIDやWEPキーを入力するだけで、基本設定が行なえたが、PSPではさらにシンプル。キーボード入力をする必要が一切無く、説明書を使わずともPSPのガイドに従うだけで設定完了してしまう。もちろん、ソフトウェアキーボードでSSIDや、WEPキーやを入力する手間もない。

 あとは、そのままテレビウィンドウが起動し、無線LANネットワークのどこでもPSPでテレビが見られるようになる。とにかく導入にかかる手間がほとんど無いのが嬉しい。


プレーヤーの初回起動時にベースステーションを検知すると、セットアップを促すダイアログが表示される あとはPSPのボタンを押し込むと、設定完了

ロケーションフリープレイヤーの設定画面でベースステーション設定を選択

 このままでも家庭内で無線LAN対応ポータブルテレビとしてPSPを使えるのだが、外出先からのアクセス用に「NetAV」の設定を行なう必要がある。ちなみに、このNetAVを導入した製品から「エアボード」でなく、ロケーションフリーと呼ばれるようになっている。PCソフトでは、ソフト上のブラウザからベースステーションにアクセスして、各種設定が行なえるのだが、これがPSPの画面上で可能となっている。

 ロケーションフリープレイヤーを立ち上げて、[設定]から、ベースステーション設定を開く。ここではさすがにボタンを押すだけと言うわけにはいかず、IDとパスワードを入力する必要がある。ユーザーIDはデフォルトでIfxで、4文字のパスワードがベースステーション脇のシールに記されているので、それを入力する。なお、入力したIDとパスワードはキャッシュされ、次回設定時にも引き続けるので、一度入力してしまえば何度も入力を繰り返す手間はない。

 設定画面を開くと、NetAVの設定画面が現れる。[かんたん設定]と[詳細設定]、[ベースステーションのバージョンアップ]の3つが用意されるが、通常の環境であればかんたん設定で全てのNetAV設定が行なえる。このかんたん設定では、ダイナミックDNSの設定に同意、NetAVテストと、PSPの○ボタンで決定を押していくだけで、NetAV設定が完了する。

 ロケーションフリーの実現には、ダイナミックDNSを使ったネットワークの設定が必要となるのだが、IPアドレスやDNSの入力などの面倒な設定は一切無く、外出先からのベースステーション接続が可能となる。とにかく設定が簡単なのはNetAVでも同じだ。


ベースステーションの設定画面。かんたん設定と詳細設定が用意される かんたん設定で決定ボタンを押し続けるだけでNetAVのテストまで終了する

リモコンの初期設定時にブラウザを起動し、ネットからリモコンコードをダウンロード

 さらに、屋内や外出先からのHDD/DVDレコーダなど外部機器の操作も可能。AVマウスの設定も必要だが、リモコン設定を押すと、メモリースティックDuoにリモコンコードをダウンロードするよう促すダイアログが現れ、ブラウザを起動してメモリースティックDuoにリモコンコード情報を保存できる。

 このコード情報をダウンロードしてから、2つの外部入力接続機器にあわせて設定すればいい。なお、リモコンコードは、本体メモリではなく、メモリースリックDuoに保持されているので、メモリースリックDuoを抜くと、リモコンが使えなくなってしまう。

 リモコンコードはパソコン用のロケーションフリープレイヤーより対応機種が少なく、ソニー/アイワ/松下/東芝/パイオニア/日立/ビクター/シャープ/NEC/マスプロ/ユニデン/DXアンテナなどのDVDレコーダやCSチューナのコードが収録されている。これらを選択して入力に割り当てる。主要な国内メーカーのレコーダには対応できるが、NECのAXシリーズなど、一部の機種のコードは選択できない。対応リモコンコードは同社ホームページで公開されている。

 どのリモコンコードを適用するかという点だけわかれば、ここも設定に悩むことはない。個人的にはリモコンコードダウンロードという仕組みの斬新さが印象に残った。またインターネットからダウンロードするという形式を採用したことで、レコーダなどに新機種が出てリモコンコードが新しくなった場合でも、アップデートで対応することが期待できる。

メーカー名や機種を選択する


■ 表示品質は良好。選局のタイムラグは少し気になる

 まずは、シンプルにLF-PK1に直接接続して、室内で利用してみた。ロケーションフリープレイヤーを起動すると、約5秒程度で出画される。配信映像は320×240ドットのMPEG-4が中心となるが、PC画面ではやや解像度が足りないと感じることもあったが、PSPのワイド4.3インチ/480×272ドット液晶で近接距離で見ると十分な臨場感が味わえる。

テレビの視聴画面。□ボタンでリモコンが立ち上がり、選局作業が可能

 ロケーションフリープレイヤーを立ち上げると、接続先を選択後、自動的にベースステーションに接続。テレビの映像が出画される。△ボタンを押すと操作メニューが立ち上がる。PSPのメモリースティック動画やUMDの操作メニューとほぼ共通のデザイン/操作性で、リモコン/画面モード/音声切替/入力切替/接続/設定/レート変更/接続状態表示/画面表示/ヘルプが用意される。

 十字キーの上下でチャンネル切替、PSPのボリュームボタンでボリューム変更を行なえる。また、□ボタンを押すとリモコンが立ち上げる。画質の設定はレート変更から行なえる。


△ボタンでメニューを起動し、各種設定が可能に

 PCでは、自動と1~6までの6段階の画質設定が用意されていたが、PSPでは自動はなく、1~5までの5モードとなる。最高画質の5では若干のモスキートノイズと輪郭の乱れこそ見られるが、大きな破綻はなく、十分細部まで確認できるクオリティ。パソコンの液晶解像度に依存してしまうPCでの視聴より、液晶ディスプレイに適した表示がされているため、画質的にもPSPのほうがアドバンテージがあると感じる。

 4ではブロックノイズがやや目立つようになるモノの、解像感は維持され、フレームレートも変化がないようだ。スポーツなどある程度の応答速度を要するコンテンツは4までが限界という感じだ。

 3になると、解像度はキープしているが、画面のざわつきが目立つ。映画の字幕は一応判別できるが、数分で目が疲れてしまうほど崩れている。ただし、時刻表示のような動きの少ない表示はまだしっかり判読できる。いずれにしろ映画を見るならば4以上がいいだろう。

 2になると、一応解像度的にはQVGAあるようだが、大きなブロックノイズが面で感じられ、さらにフレームレートも落ちている模様。クローズアップなければ、顔の判別が難しく、階調表現と言う意味でもほぼ無くなり、油絵調の動画が再生される。音声を中心としたニュースでは何とか使えるといったところか。

 1では解像度が下がり、160×120ドット程度となっているようだ。フレームレートも10fps出ていないようで、紙芝居のよう。動画らしきものがついているラジオという感じだ。テレビとそこそこ遜色ないクオリティで見たい場合は、4か5、最低でも3以上で視聴したいところだ。

5種類の画質モードを用意 プレーヤー起動時に接続先を選択

 [アスペクトモード]はアスペクト比を変えずに画面いっぱいに拡大表示する「ズーム」、アスペクト比の変更を伴う拡大表示「フル」、画面サイズにあわせた「ノーマル」、元サイズのままの「オリジナル」の4モードを用意している。通常はノーマルで問題ないだろう。

 内蔵チューナは、□ボタンを押してリモコンを立ち上げて選局できるほか、十字キーの上下でもチャンネル選択できる。局の切替自体は瞬時に行なわれるが、映像は3秒ほど途切れた後に、局が切り替わる。PCソフトとほぼ同等と考えていい。

 さすがにチューナ内蔵のテレビと比べると、レスポンスは劣ってしまうが、リアルタイムでチューナ入力をMPEG-4エンコードしていることに起因する問題だろう。ただし、テレビ視聴において、この程度のタイムラグは許容できる範囲。二昔前のデジタル放送対応テレビでも選局がかなり遅かったが、いまやアナログテレビと遜色ないレスポンスを実現できているので、時間が解決してくれる問題なのかもしれない。

 チャンネル切替のレスポンス以外の点では、普通のポータブルテレビとしてPSPを利用できる。家族とのテレビチャンネル争いに敗北しても、PSPとLK-PK1があればPSPやPCでライブ視聴できるし、自分は録画番組を見たいのに、子供はライブ視聴を楽しみたいといったシチュエーションでも、2つの番組を平行して見られるなど、テレビの取り合いを避けることができる。しかもPCとPSPさえあれば3万円程度でその環境を実現できるという点が最大のポイントだ。


■ AVリモコンも活用できるレベル

 AVマウスによる外部入力機器の操作にも対応。今回は入力1にPSXを接続したが、リモコンコードからメーカー名と対応機種タイプを選ぶだけで、登録できた。入力が2系統あるのだが、AVマウスは一つしかないので、2つの機器を外部から制御するのは難しい。また、リモコンコードはPCソフトでは大宇などの海外メーカーも入っていたが、PSPでは国産のDVDレコーダ、CSチューナが中心となっている。

PSPのリモコンからPSXのコントロールが可能に

 外部入力の切替はメニューを立ち上げて、入力切替を選択。するとテレビのほか、入力1/入力2を切り替えられる。テレビと同様に□ボタンを押すとリモコンが立ち上がる。

 このリモコンメニューも良くできており、PSXの場合はPSXのリモコンを模したUIのリモコンソフトが立ち上がり、ほぼPSXの全機能が利用できる。もちろんカーソルキーと決定ボタンを組み合わせて操作するので、PSXと同等の操作感とは行かないが、リモコンのデザインが完全にPSPに統合されており、見た目も非常に格好いい。

 ソニー製品以外の他社製品でも、シンプルなリモコンインターフェイスを装備し、トップメニュー表示やカーソルキーの操作で一通りの操作は可能だ。PSXで録画予約をしてみたが、カーソルキーを操作しながら決定を押すだけで番組の録画予約も可能。できればPSP本体のカーソルキーがPSXのカーソルに連動するといいのだが、それはさすがにできない。PSP上のソフトウェアリモコンのカーソルキーをPSPのカーソルキーで選択してカーソル移動、○ボタンで決定動作を行うというもので、インターフェイスが近いだけに、間違えてカーソルキーでクロスメディアバー操作を試みてしまう。とはいえ、PSPからレコーダの制御ができるというのは非常に使用シーンの広がる機能といえるだろう。

 ただし、レスポンスはスムーズとは行かずに、操作の後3~5秒程度のタイムラグがあって、PSPの画面上でカーソル移動などが反映される。そのため、2つ下の番組を選んで決定、としたつもりが、実は3つ移動してしまった、といった操作ミスも起こりうる。大量の番組を一括して録画予約するにはストレスが貯まると思うが、録画を忘れてしまった番組を放送直前に予約すると言った用途であれば、十分活用できるレベルだ。

 また、録画予約を行ないたいのに、家族にテレビを確保されてしまった場合などに、文句を言われずに予約をするというソリューションとしてもなかなかいいだろう。ただしPSXの場合ビデオ出力が一系統しかないので、LF-PK1を接続すると、テレビ出力ができなくなってしまう。

PSPの各種操作が可能 番組表から録画予約もできる

 リモコンでほぼ全てのPSX操作が可能だったが、なぜか録画番組の早送り/戻しはできなかった。タイムラグが5秒弱あることもあり、任意の場所で停止するのが難しいからなのかもしれない。ただし、15秒スキップなどの機能は利用できた。また、PSX以外はメーカー名とHDDレコーダなどの機種ごとに3つほどのリモコンコードが用意され、レコーダ1/2/3のいずれかを試しながら、リモコン登録しなければいけないのはやや面倒ではある。

 なお、外部入力したパイオニアのDVDプレーヤー「DV-585」の映像も、PSPに伝送可能なほか、PSXのゲームも表示可能だった。ただし、PSXのゲームについては、映像を出力できるものの、コントローラ形状は同じとはいえPSPがプレイステーションのコントローラを兼ねるわけではないので、このままゲームをするのは現実的ではない。


■ 外出先でもテレビ。ベースステーションを意識しない「NetAV」

 製品の最大のウリでもある外出先からのテレビ視聴も、NetAV設定さえ終了していれば何の問題も無く利用できる。外部からのアクセス方法は、LAN内接続と同じで、プレーヤーを立ち上げてブロードバンド接続の無線LAN環境にアクセスすれば、自動的にベースステーションに接続してくれる。

 ただし、高画質での視聴には、2Mbps程度の上り回線を確保する必要がある。幸い編集部に用意したBフレッツ回線で、上り側は問題ないが、自宅のADSLは下り速度が実効で900~1.1Mbps程度。それでも、画質モードの5でも視聴できたが、5分に1度ぐらい映像が一瞬が途切れてしまうことも。画質モードを3にしたところ、特に問題なく映像再生できた。

 ネットワーク経由と言うこともあり、チャンネル切替やレコーダ操作のタイムラグも大きくなるかと思ったが、体感的にはほとんど直接接続と変わらず、3~5秒程度で操作後の結果が画面上で反映される。あとは、ベースステーションに直結するのとほぼ変わらない使用感で、特にどこにベースステーションがあるかを意識させられるようなこともない。

 家庭にベースステーションを導入して、外出先で見ることを考えればやはり光回線が欲しいところ。下り回線については、最低環境を「インターネット回線の下りの実効速度が300kbps以上」とのことで、大抵のブロードバンド接続環境ではクリアできそうな数値ではある。ただし、海外のホテルなどではブロードバンド接続を謳っていても、実効100kbps程度のところもあるので、そうした場所での利用は難しいだろう。

 バッテリ駆動時間は、PSP満充電で最高画質の5で連続視聴したところ4時間弱で再生停止した。PSPでは交換バッテリも用意されているので、長期のストリーム利用などの際には換えのバッテリも用意した方がいいだろう。一点気になったのは、PSPの仕様で無線LAN使用中には、ACアダプタを接続しても本体充電が行なえないこと。自宅で、ロケーションフリーを使っていると充電されないため、自宅と外出先で日常的に使うとなると、充電器も用意したほうがいいかもしれない。


■ ソニー流の「放送と通信の融合」

 低価格なワイヤレステレビとしてPSPを応用できるという点では、マルチメディアプラットフォームとしてのPSPがより一層魅力的になった、現在もっとも低価格な無線テレビとして、非常に完成度の高いソリューションが完成したと言える。

 PC、そしてPSPでの対応を果たしたことで、いままでコンセプト先行だった「ロケーションフリー」の可能性が可視化され、魅力的が多くの人に伝わった。と同時に、家庭内のチャンネル争いの解決法としても非常に有効な選択肢が登場したといえるだろう。

 難点としては、リモコン操作やチャンネル切替のレスポンスがもう一段高速化して欲しいところ。現状3~5秒程度かかるこのタイムラグが消えれば、本格的に誰にでも扱いやすいプラットフォームになっていく可能性は高い。

 気になるのはチューナが地上アナログのみと言う点。今後のデジタル放送対応については、「今までのコンセプトの延長上で対応していける(ソニー ビデオ事業本部LFX事業室・前田悟室長)」とのこと。さらに、「最近“放送と通信の融合”がしきりに言われているが、融合して、いままでできなかったことができなければれば意味は無い。ロケーションフリーは、放送の地域格差を、通信を活かして解消する。利用者の利便性の向上につながってこそ融合の意味がある」とする。

 そういった点でも、期待されるのは他製品への広がり。たとえば、動画対応ウォークマンがクライアント化したり、DVDレコーダの機能としてロケーションフリーを実装するなどの展開にも期待が持てる。ソニー製品はもちろんのこと、他社製品へのライセンスも考えているとのことで、こうした側面から「ロケーションフリー」をプラットフォームとして積極的に展開して欲しい。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□製品情報(LF-PK1)
http://www.sony.jp/products/Consumer/locationfree/LF-PK1/
□ロケーションフリープレーヤーPSP向けページ
http://www.sony.jp/products/Consumer/locationfree/PSP/index.html
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
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(2005年10月28日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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