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2006年末の本放送開始を目指していた地上デジタルラジオだが、そのロードマップに大きな変更が生じたことが明らかになった。 送信にVHF帯を利用する地上デジタルラジオは、テレビ放送が2011年にUHF帯に完全移行し、空いたVHF帯を利用して本放送を開始する予定だった。しかし、ワンセグ放送の開始や携帯電話の多機能化などにより、本放送開始の前倒しを求める声がラジオ局からあがったことなどから、大幅な前倒しとなる2006年末の本放送開始を目指していた。 ロードマップとしては2011年以前を「先行普及時期」、それ以降を「本格展開時期」と位置付け、先行普及時期はVHF帯の使われていない隙間である7ch(地域によっては8ch)を利用(現在も実用化試験放送で利用)。同帯域を8個のセグメントに分割し、NHKに1セグメントを割り当て、残りの7セグメントを全国で1つだけの民間免許主体(以下マルチプレックス事業会社)が受け持つ計画となっていた。
しかし、総務省が2011年以降の周波数割当について、ラジオだけに留まらず、産業界全体で総合的に割り当てを行なうという方針を提示。2011年以降のプランが不透明になり、先行普及時期に例えば7chを使って本放送を開始し、7ch受信に対応したチューナが販売されても、2011年以降の本放送でチャンネルが変更になった場合、これまでのチューナで受信できなくなる可能性も生じる。 こうした状況を踏まえ、在京民放ラジオ局5社(エフエム東京、TBS R&C、文化放送、ニッポン放送、J-WAVE)は、マルチプレックス事業会社として設立する予定だったマルチプレックスジャパンの発起人会を一旦解散する方針を決定。2006年後半の本放送開始は難しい状況になっている。 マルチプレックスジャパンは、地上デジタルラジオの普及期というビジネス的に厳しい時期を、1つの全国実施主体という体制で乗り越えるという目的で考案された。ラジオ局5社に代わって放送免許を取得し、デジタルラジオのチャンネル編成権を保有。放送の維持・運行も担当。番組を提供するラジオ局各社は、電波や施設などの利用料をマルチプレックスに支払い、自社のコンテンツを放送する予定だった。 同計画が白紙に戻ったことで、デジタルラジオの本放送でも、アナログラジオと同様にラジオ各局がそれぞれ個別に放送を行なう方式になると思われる。しかし、エフエム東京では「本放送がどのような形で行なわれるかは未定。マルチプレックスジャパンのような会社を、また合同で設立する可能性もある」という。 さらに「マルチプレックスは一旦白紙になったが、本放送開始への動きが止まったわけではない。デジタルラジオ推進協会も東京で行なっている実用化試験放送の出力を引き上げる方針を固めている。実際の本放送がいつになるか現時点では未定だが、エフレム東京でも出力以外は本放送とほとんど変わらない本格放送を2006年12月にも開始できるよう準備を進めている」としている。
また、ワンセグ/デジタルラジオ/FMラジオ対応モバイル受信機「Prodia(プロディア)」を、9月中旬から法人向けに限定100台を販売するピクセラは「Prodiaは放送の仕様変化に対応するため、ファームウェア・アップデートのサポート費用なども含めて15万円という価格になっている。試験放送を受信したいという法人からの問い合わせもあり、予定通り販売する。本放送への具体的なプランが決定次第、コンシューマ向けの販売も検討したい」という。
□デジタルラジオ推進協会のホームページ
(2006年9月22日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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