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フラットパネルディスプレイの総合展示イベント「FPD International 2006」が18日に開幕した。会場は神奈川県・パシフィコ横浜。入場料は2,000円で、事前登録者は無料。 液晶ディスプレイや、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネルをはじめ、製造・検査装置、部材、設計支援、応用製品などフラットパネル関連業界の各社が出展している。出展社は11カ国360社超、主催は日経BP社。 株式会社SEDは、FPD Internationalに初出展したほか、福間和則社長の基調講演も行なった。 ■ SEDは2007年の発売に向けコントラスト性能を向上
株式会社SEDはFPD Internationalに初出展。2週間前のCEATEC JAPAN 2006から、さらにコントラスト性能を向上した新55型パネルを導入し、デモンストレーションを行なっている。 CEATECに引き続き100人程度が入れる専用ブースを設け、10分強のデモを実施しているが、業界関係者向けイベントながら毎回ほぼ満員となるなど、高い注目を集めている。 CEATECで初公開した55型の1,920×1,080ドット/フルHDパネルは、コントラスト値を約5万:1としていた。実際のコントラスト値は8万:1程度のものもあったが、全ての試作機で最低限確保している値として5万:1を謳っていた。 今回のパネルでは製造行程における改良などにより、コントラストを10万:1に改善。2007年7月のパネル量産開始に向け、着々と開発や製造工程の改善を図っているという。 デモの内容は、CEATECとほぼ同じだが、新たに2005年のNHK紅白歌合戦の映像を追加。家庭でのテレビ利用における、コントラスト性能や十分な輝度性能と、高画質をアピールしている。
また、消費電力値も新たに公開。55型で270W(APL 0.3)を実現したという。特に、ディスプレイ本体の発光レベル(APL)が10%~40%弱の実用領域の消費電力が少なく、現在の試作機でも、プラズマや液晶と比較して、「映画視聴時は約半分、ニュース視聴時でも2/3(SED福間社長)」の低消費電力性能を実現しているという。 □関連記事 【10月6日】【大マ】SEDに高画質の未来を見る ~ 「SEDは全てフルHD」。暗部発色にも注目 ~ http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061004/dg71.htm 【10月3日】【CEATEC 2006】【ディスプレイ編】 2007年製品化に向け55型フルHD SEDが初公開 -パイオニアは高コントラストPDPを展示 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061003/ceatec05.htm ■ 4Kなど今後の高精細化を示唆
東芝執行役常務 兼 SED株式会社代表取締役の福間和則社長は、「新たな映像空間を提供する“SED”と題して基調講演を行ない、SEDの特徴を紹介するとともに、SEDに採用された製造技術や特性について解説した。 まず、「CRTの構造をフラットにしたもので、CRTの長所を継承している」とSEDの概要を簡単に紹介。カソードプレートとアノードプレートからなるSEDパネルの構造について説明した。 SEDは、CRTと同様に電子を蛍光体に衝突させて発光させる自発光型のディスプレイで、ブラウン管の電子銃に相当する電子源を画素の数だけ設けている。そのため、55型/1,920×1,080ドットのSEDテレビの実現にあたり、600万個の電子源が必要になる。 この形成プロセスについては「ナノテクノロジーを駆使した」とし、リソグラフィによる配線/絶膜層形成や、インクジェット技術による素子膜形成、ナノテクノロジーを使った電子源ギャップの形成などの形成プロセスを説明。また、蛍光体の素材は、CRT用素材をSED用に改良して採用している。
画質面では「リアリティ」をキーワードに技術的な特徴とあわせて解説。「電流特性で輝度を制御できるので階調をリニアに、多階調で表示できる。また、バックライトなどに依存しないため、超低輝度領域でも良好な色再現が可能」という。 また、信号処理回路を高ビット化。10bitの入力信号をさらにハイビット処理し、「滑らかな質感再現や、高い階調性、広い輝度レンジを実現している」という。さらに、1ms以下の高速な立ち上がり/立ち下がり性能を例に挙げ、動画ボケが皆無なほか、「画素に猛烈なエネルギーがある。ダイナミックな光の表現が可能」と、リアリティの再現にこだわるSEDの高画質をアピール。「臨場感、迫力、没入感など、大画面化により感動を追求していく」と画質へのこだわりを訴えた。 さらに、映画やニュース番組の視聴時における実用領域における低消費電力性能をアピールした。
今後の展開としては、「画質性能をさらに高める。あらゆる性能をもっともっと改善していく。さらなる大画面化に加え、高精細化として800万画素(4,000×2,000ドット)を目指していく」と説明。また、「量産に備え、基板サイズの大型化や、大量生産向けの生産技術を確立する。SEDは現在、独特のプロセス、生産技術、装置を使って、孤独の旅をしている。一部メーカーとコラボレーションして高生産技術を導入していきたい」という。 会場ではSEDのロードマップも提示。2007年からの平塚工場での55型パネル製造開始と、2008年の姫路工場での量産開始については、すでに発表済みで、提示されたロードマップも55型フルHDのみとなっていたが、「2010年には半数が40インチを超える。大画面、高精細化を進めていくが、小さいサイズも市場環境としてはチャンスがかなりあると考えている」と言及した。
□FPD Internationalのホームページ ( 2006年10月18日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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