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フラットパネルディスプレイの総合展示イベント「FPD International 2006」が18日に開幕した。会場は神奈川県・パシフィコ横浜。入場料は2,000円で、事前登録者は無料。 液晶ディスプレイや、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネルをはじめ、製造・検査装置、部材、設計支援、応用製品などフラットパネル関連業界の各社が出展している。出展社は11カ国360社超、主催は日経BP社。 ■ 高速応答や広色域化が液晶のトレンド。高精細化は一段落
テレビ向け液晶パネルのトレンドとしては、高精細化が一段落。各社が37型までは1,920×1,080ドット/フルHDパネルを出展しているが、32型以下に取り組むメーカーは少ないようだ。 一方、液晶の課題とされる応答速度の向上に向けて、120Hzの高速駆動など、各社が独自の改善技術を展示している。SamsungやAUO、CMO、Philipsらが、高速応答パネルを出展。従来は高画素化に伴う発熱や、パネルドライバの問題から対応製品がほとんどなかった1,920×1,080ドットのフルHDパネルでも、各社から高速応答パネルを出展されている。 また、Philipsは、120Hz駆動に加え、走査型のバックライトシステム「Aptura」を組み合わせた応答速度改善技術のデモを行なっている。
また、LEDバックライトも多くのメーカーが展示し、広色域化などのLEDのメリットをアピールしている。AUOは画面を8×8の64箇所に分けてバックライト輝度を調整するデモを行なっており、来場者の注目を集めていた。 LEDバックライトのほかにも、従来のCCFL管を利用した広色域技術なども、AUOなどの海外メーカーが多く展示しており、液晶テレビの高画質化に向けたアプローチが目立っている。
東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)のブースは、32型OCB(Optically Compensated Bend)液晶パネルの新モデルを出展している。 1,366×768ドットの32型パネルで、コントラスト比を1万:1まで向上。コントラスト向上の技術的な詳細については明らかにしていない。輝度は500cd/m2、応答速度は6ms。 なお、同社では新パネルから「Purezza(プレッツァ)」のブランド名で製品展開を図るという。Purezzaは、イタリア語で「純粋、滑らかさ」を表し、OCBの画質イメージやスピード感(応答速度)への思いを込めたという。今後、採用セットメーカーでも「Purezzaパネル採用」など、事例を増やし、パネルのブランド展開を図る。 なお、32型以上の大型化については、「TMDのラインで取れる最も大きなサイズが32型。近日中に大きなサイズへの展開は予定していない」という。また、フルHDパネル化についても、「32型以下でフルHD化の要求はあまり強くはない」としている。
三洋エプソンイメージングデバイスは、17日に発表した7.1型で1,920×1,080ドットの解像度を持つ低温ポリシリコンTFT(LTPS)液晶や、2.6型XGA液晶などを出展している。いずれも開発表明段階で、発売時期や価格については未定としている。
■ 韓国メーカーも50~60インチのフルHD PDPを出展
プラズマディスプレイパネルについては、国内メーカーは新製品発売後ということもあり、目立った出展はない。 一方、Samsung SDIやLG電子などは超大型に加え、50~60インチ台でのフルHDパネルを出展。Samsung SDIは63/60/50型のフルHD PDPを出展している。リブ構造のスリム化などで、発光効率を向上し、フルHD化を実現しているという。
また、42/50型HDパネルの新シリーズ「W1」を出展。50型の解像度は、1,366×768ドット、コントラストは8,000:1、輝度は1,000cd/m2。特徴は画面の映り込みを抑えたことで、リブに茶色の素材を採用したほか、青色の絶縁層を利用することで、映り込みが減り、コントラスト向上も実現できるという。
LG電子では60型のフルHD PDPを出展。輝度は1,000cd/m2、コントラストは5,000:1、消費電力は500W。 また、画面の前面フィルターからガラスを取り除いた「Intergrated Film」技術も出展している。前面ガラスを省くことで、パネル部の軽量化が行なえるほか、映り込みの低減や視野角特性の向上などが図れるという。
APDC(次世代PDP開発センター)のブースでは、従来の4倍の発光効率を実現したプラズマ技術の展示を行なっている。2005年のCEATECで発表したものどほぼ同で、11型パネルで発光効率5.7lm/Wを実現しているという。 また、液晶との比較でプラズマの「動画解像度」をアピールするデモを実施、さらに動画解像度の測定基準の提案を行なっている。 解像度チャートをスクロール表示させ、カメラで追従撮影。その映像からパターンが識別できる限界の解像度を求め、約5秒/秒の動画を動画解像度の代表値とするという。同社ブースで手法を提案するとともに、「プラズマは目が疲れない」と積極的にアピールしている。
■ 階調表現やコントラストを改善した業務向けPDP/液晶モニター また、ブラウン管の新規開発や生産が収束に向かう中、プロフェッショナル向けの業務用モニターとして、液晶やプラズマの活用が提案されている。 松下電器では、プロフェッショナル向けのフルHDプラズマモニター「TH-50PH9RK」を出展。ピーク輝度を現行製品の約6割程度の100~200cd/m2弱に抑え、パネルのフロントエンド部を階調表現の向上に振ったチューニングを行なうことで、忠実な色再現と高い階調表現性能を実現したという。
放送用のマスターモニターやデジタル広告、美術館などへの導入を見込んでおり既に販売も開始している。また、現行のPZ600シリーズとほぼ同じ輝度性能を出せるモードにも切替できるため、明るい環境などでの応用も可能という、 なお、民生用のVIERA PZ600シリーズなどでのモニター画質設定の搭載については、「マスターモニター用の画を目指しており、民生向けの“Panasonicテレビの画作り”と印象が異なってしまう」とのこと。 また、シャープも亀山工場をフィーチャーした専用ブースを設営。コントラスト比100万:1を実現したという「メガコントラスト液晶」を出展している。
CEATECと同様に37型と65型を出展しており、コントラスト向上技術の詳細については明らかにしていないが、光学フィルタやドライバICなど総合的な取り組みで高コントラストを実現しているという。 2007年度には発売を見込んでおり、プロフェッショナル向けモニターなどでの採用を目指す。まずは65型が先行する見込みで、価格については「デバイスの価格として通常のパネルの1.5~2倍程度になるのでは」という。 ■ その他 有機EL関連ではCMOがテレビ向けの25型/1,366×768ドットパネルを出展。そのほか、車載向けやモバイル向けの中小型液晶や、3D液晶など多くの新型ディスプレイが出展されている。
□FPD Internationalのホームページ ( 2006年10月18日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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