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国内最大の映像機器展「Inter BEE 2006」が、幕張メッセで11月15日から17日まで開催されている。放送業界向けの展示会となっており、最新ビデオカメラや、デジタル放送用の送出システム、放送局用のスイッチャーなどが出展されている。
入場は無料だが、事前登録もしくは会場での当日登録が必要となる。主催は社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。
放送のデジタル化が進む中、放送機材やソリューションでもHD対応製品が続々と登場。さらに松下電器がMPEG-4 AVC/H.264を利用した放送・プロダクション用フォーマット「AVC-Intra(イントラ)」を発表するなど、HDをより効率良く録画/編集するソリューションの提案も行なわれている。
■ 松下電器
P2メモリーカードを使用したHD放送ソリューションを展開している松下電器は、米国のNABで発表していたP2HDカメラ「AJ-HPC2000」の国内向けモデル「AJ-HPX2100」を展示している。2007年2月の発売を予定しており、価格は315万円。 2/3型で100万画素のプログレッシブ3CCDを搭載。P2カードが5枚装着可能。デジタルスーパーゲイン(フレーム蓄積モード)により、ゲインアップ特有のノイズ増が無く、高いS/Nの高感度撮影が行なえるという。なお、米国向けの「AJ-HPC2000」はフィルタを1枚搭載しているが、国内向けのHPX2100は2枚搭載となっている。それ以外の仕様は共通。 また、HPX2100の上位モデルとして、カメラ部を200万画素にしたモデルも参考展示している。レコーダ部は共通で、2007年夏の発売を予定。価格は500万円~600万円程度になる見込み。
さらに、PS2HDシリーズの低価格モデルとして「AG-HPX500」を発表した。こちらも2007年夏の発売を予定しており、価格は決定していないが、200万円以下で登場するという。画素数は明らかになっていないが、2/3インチの3CCDを搭載。P2スロットを4基搭載。2/3型放送用レンズマウントを採用したレンズ交換式となっている。
HVCPRO HDコーデックを利用し、1080i/720p/480i/576iでの撮影が可能。SDではDVCPRO 50/DVCPRO/DVのマルチコーデックが選択できる。フレームレート可変に対応し、フィルムのようにコマ落としやハイスピード撮影も行なえる。 また、MPEG-4 AVC/H.264規格をベースに、放送・プロダクション用途に開発したという新しい録画フォーマット「AVC-Intra」が公開された。MPEG-4 AVCを利用したHD撮影用フォーマットでは、民生用としてAVCHDが展開されているが、AVCHDがLong GOPを採用しているのに対し、AVC-IntraではDVCPRO HDと同様にフレーム内圧縮(Intraフレームのみ)を採用しているのが違い。MPEG-2と比べても、スポーツなどの動きの激しい映像や、1フレーム単位での編集でも画質劣化が少ないという。 1,440×1,080ドット、サンプリングは4:2:0、10ビットで記録する50Mbpsモードと、1,920×1,080ドットの4:2:2、10ビットで記録する100Mbpsの2モードを用意している。コーデックとしては既に完成しており、ブースでは100Mbps映像のデコードデモを実施。前述のP2カメラ「AJ-HPX2100」を利用し、AVC-Intra形式で録画するためのオプションボードを2007年夏に追加販売する予定。
ほかにも、P2に対応したメモリーカード・ポータブルレコーダー「AJ-HPM100」(1,575,000円)や、P2デッキことメモリーカード・レコーダー「AJ-HPS1500」などを展示している。AJ-HPS1500はHD/SDのマルチフォーマット/コーデックの記録再生に対応し、P2カード用スロットを6基搭載。回線収録、プレイリスト作成、再生送出に使用する。 また、Blu-ray Discを記録媒体として利用した、P2データのバックアップ&素材管理用チェンジャーシステム「AJ-CM50BD」も参考展示。2007年春の発売を予定しており、価格は70万円程度になる見込み。最大30枚のBD/DVD/CDが収納可能で、1.5TBのデータが蓄積可能。BDへの書き込み速度は2倍速。 PCとUSB 2.0で接続し、PCに接続したリーダでP2カードを一旦HDDに読み込み、そこからBDなどへバックアップする。Windows/Macintoshi対応の素材管理ソフトウェアを同梱しており効率の良いバックアップが行なえるほか、ディスクの中心部に貼り付けるドーナツ型シールタイプのRFIDを使用することで、ディスクをRFIDリーダにかざすだけで中身がわかるなど、検索性に優れた管理ができるという。
□松下の出展概要
■ ソニー ソニーブースでは、CineAlta(シネアルタ)シリーズの最上位モデルとして、映画フィルムと同様の毎秒24フレームでの1080/24P撮影に対応した「F23」を発表。2007年5月の発売を予定。HDCAM-SRのポータブルレコーダー「SRW-1」(約546万円)を直接接続する構成となっており、カメラ部「F23」の価格はオープンプライス。実売は1,800万円程度になる見込み。 頻繁なレンズ交換にも耐える耐久性や、フィルムカメラ用アクセサリとの高い互換性を持たせるなど、フィルムカメラスタイルの操作性・運用をデジタルで追求したという。「SRW-1」の撮像/記録コマ数を可変速させることで、スローモーション・クイックモーション・コマ撮り・残像効果などの映像表現を、フルHD解像度で実現する「SR Motion」に対応。フィルムカメラの「早回し」、「遅回し」の感覚で利用できるという。
2/3型プログレッシブ3CCDと、新規CCD駆動回路、14ビットA/Dコンバーターなどを搭載。HD RGB 4:4:4での記録に対応。プログレッシブでは1080/23.98PsF、24PsF、25PsF、29.97PsF、50P、59.94P、インターレースでは1080/50i、59.94iのマルチフレームレートに対応する。 「F23」の発表に伴い、同社のブースでは映画「UDON(うどん)」の撮影現場を再現したという、うどん屋のセットをブース内に設置。同作品の撮影でも使用されたというスローモーション・クイックモーション・残像などの各種効果を実際に再現するデモを行なった。
ほかにも、3クリアビッドCMOSセンサーを搭載したHDVカムコーダ「HVR-V1J」(567,000円)や、その周辺機器などの新製品を紹介。マルチフォーマット液晶モニター「LUMA」シリーズでは未発表の24型「LMD-2450W」(1,920×1,200ドット)、20型「LMD-2050W」(1,680×1,050ドット)を参考展示。いずれも2007年春の発売を予定しており、価格は未定。
□ソニーの出展概要
■ カノープスはグラスバレージャパンと共同出展
Thomsonが買収したカノープスは、今回のInter BEEで初めて、Thomsonのグラスバレージャパンと共同で出展。ビデオコンバータの新モデルや、ハイビジョン映像編集ソフト「EDIUS Pro」の最新版「4.1」などを展示している。 「ADVC-HDM1」は、HD-SDIから入力された映像をリアルタイムでHDV/MPEG2-TSに変換するコンバータ。HDV/MPEG2-TSをデコードしてHD-SDIから出力することも可能。12月下旬発売予定で価格は95万円。「ADVC3000」はアナログ/デジタルコンバータの最上位モデルで、アナログコンポーネント/SD-SDI/DV間で相互変換が可能。12月下旬発売で価格は598,000円。
EDIUS Pro 4.1では、XDCAM HDやP2に対応。XDCAM HDではプロキシ編集も可能で、編集中にバックグラウンドでオリジナルファイルを自動的にコピーすることも可能だという(オプション機能)。また、グラスバレーのK2サーバーとの連携なども実現している。同ソフトウェアはノンリニアワークステーション「HDWS-3000MIP」で使用される。
□カノープスの出展概要
■ 富士通など、その他 富士通のブースでは、MPEG-4 AVC/H.264を採用し、FTTHクラスの光ネットワークでHD映像のリアルタイム配信を可能にする伝送装置「IP-9500」を展示。HD放送の中継や事業者間での伝送に利用するもので、HD-SDIやHDMIの入出力を備え、符号化した映像/音声を装置内に蓄積。任意のタイミングで伝送できるという。 H.264 HP@L4 1080iに対応し、ビットレートは6~20Mbpsをサポート。データ量を抑えることで、FTTHなどの回線も利用できるため、ハイビジョン映像伝送に必要な通信費用を従来の10分の1程度に低減できる。
□InterBEE 2006のホームページ
(2006年11月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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