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第283回:来た! もう一つのBlu-ray、ソニー「BDZ-V9」
ソニーのBDはハイビジョンワールドの中核を担うか?



■年末商戦に間に合ったソニーの「ブルーレイ」

 新世代のハイビジョン記録フォーマットとして注目を集めるBlu-ray Disc(BD)。今年11月に発売された松下電器の「DMR-BW200」も好調に売れているようだ。機能がシンプル過ぎて若干拍子抜けするところもあったが、製品版ではRec-POTからのムーブにも対応するなど、ユーザーからのニーズを上手く吸い上げている。

 また来年早々には、多くのユーザーから不満が上がったチャプター機能も、ソフトウェアのアップデートで追加されるなど、着実に足場を固めつつあるようだ。

 そして年内に発売されるもう一つのBDレコーダが、ソニー「BDZ-V9/V7」である。BW200に比べ、BD-R/REが1層記録のみ対応ということでガッカリ感も聞こえてくるが、同社ハイビジョン戦略の中枢と言われる機種なだけに、HDVやAVCHD対応、PSPへのおでかけ・おかえり転送など、独自機能を多数備えている。

 以前BDZ-V9の試作機をお借りしたときにも簡単なレビューを行なっているが、今回は製品版とほぼ同等レベルの機材をお借りすることが出来た。DVD時代の「スゴ録」ではなく、「ブルーレイレコーダ」という新ブランドで攻めるソニーの新作を、早速試してみよう。



■ すっきりしたスクエアデザイン

 いつもなら外観チェックから入るところだが、すでに前回のレビューで細かく触れているので、今回は全体的な印象のみに留めたい。

 BW200に比べると、アルミ天板など外装に高級感がある機体だ。BDレコーダ Ver.1時代は気合い入りすぎて、重さ14kgってどうなの? 的なことで大変だったが、さすがにあれから3年も経てば落ち着いてくる。Blu-ray Disc仕切り直しの初号機としてもふさわしい、すっきりしたデザインだ。だが電動スライドのフロントパネルにこだわったあたり、ユーザーへのくすぐりを忘れないといったところだろうか。


アルミを潤沢に使った天版が目を引く 電動スライドパネルを装備


前面右側の端子類。フタが開いているときはフロントパネルは閉じない

 一見すると前面には何にもない印象だが、ドライブの右にフタがあり、アナログAV入力ほかHDVカメラなどを接続するためのi.LINK、デジカメ接続用のUSBといった外部接続端子が隠れている。ここにケーブルを接続したときにフロントパネルが閉まっちゃうと、ケーブル挟んじゃうんじゃないかと心配になるが、端子部分のフタが空いているときは電動パネルはボタンを押しても閉じないようになっている。

 ちなみにこのi.LINK端子は、Rec-POTなどの外部HDDはサポートしない。ソニーのレコーダは以前からD-VHSをサポートしていなかったので、その流れから考えれば今回ですぐに対応というのは難しいだろう。


2基の大型ファンが目を引くが、廃熱量は少ない

 背面に回ってみよう。2基の大型ファンを備えているのが目に付く。ファンノイズはそれほど大きくなく、稼働中に手を当てても、さほど熱風が出るわけでもない。高さにも余裕があるため、全体を大きくゆっくり廃熱しているようだ。

 RF入力は、デジアナ地上波を1本にまとめてすっきりさせているのは昨今のトレンドだ。HDMI出力は1080pまで対応しており、同社BRAVIAでは「X2500/1000シリーズ」、「V2500シリーズ」の40型以上、HDリアプロ「A2500シリーズ」で対応している。なお下位モデルのV7では、1080iまでしかサポートしていない点は注意して欲しい。

 ただHDMI端子は今後オーディオ出力端子としても期待されることから、ハイエンドモデルならばもう1つぐらいあっても良かっただろう。というのも、BDソフトの新オーディオフォーマットであるドルビーデジタルプラスやDolby TrueHD、DTS HDなどは、HDMI経由で出力されるからだ。



■ 中味は「スゴ録」ベース

 では中味のほうを見ていこう。製品ネーミングは「スゴ録」ではなくなっているが、GUIは従来どおりのクロスメディアバー(XMB)である。これもまたDIGAと同じように、DVDレコーダ時代の資産をそのままBlu-rayへ移行させたという作りになっている。


GUIはお馴染みのXMB

 本機はダブルチューナ搭載機なので、予約システムとしては11月に発売されたDVDレコーダ「RDZ-D900A」と同じだ。予約の重複は手動で「録画1」、「録画2」と設定を変更しなければならない点も変わっていない。一方D900Aで特徴的だった検索の速さは、そのまま継承されている。このあたりの使い勝手に関しては、D900Aのレビューを参考にしていただきたい。

 ここでは現在のBW200にはない、チャプタ編集機能に注目してみよう。XMBの「ビデオ」で録画番組を選んだのち、「オプション」ボタンで「チャプター編集」を選択する。録画時に自動でチャプタが打たれているので、それを利用する場合は消去したいチャプタをマルチ選択して、一括で「消去実行」できる。


チャプタ関連の機能は充実している その場でチャプタ設定なども行なえる

 ただ自動チャプタも、全部がうまくCMポイントに打たれるわけではない。自動判定がうまく行かない番組は、定期的に打たれているだけだったりするので、自分でチャプタを打ち直す必要がある。この場合もいったん別モードに行くのではなく、この編集モードのままでチャプタの結合、チャプタ設置(分割)ができるのはラクだ。もちろんこれとは別に、A-B間消去もできる。

 肝心のBDへのムーブは、「HDD→DISCダビング」から行なう。BDメディアはドライブにセットするだけで自動的にフォーマットされるので、DVD時代のようにどのフォーマットを選ぶかといった手間がない。ムーブを実行しようとすると、その間予約録画ができない旨の警告画面が表示される。自動録画の「おまかせ・まる録」が設定されていると、かなりの頻度でこれが出てくることになる。


BDへのムーブはDVD時代と同じで「HDD→DISCダビング」から行なう 選択の総量に注意してマルチ選択する 作業時間内に録画予約がある場合は、警告画面が出る

 ムーブする番組は、複数選択が簡単にできる。右上には選択した番組の容量が表示されるようになっている。本機では1層メディアのみ使用できるわけだが、合計25GBになるまで選択できるというわけだ。

 基本的にメディア1枚に何分入るというわけではなく容量で決まるだけなので、DR記録の場合は放送波によって記録時間が微妙に変わることになる。資料によれば、地デジでは約3時間、BS/110度CSデジタルでは約2時間10分となっている。民放局の場合、番組枠が決まっているので、映画も実質2時間以内にカットされる場合が多い。大抵の映画は1枚に入るだろう。

 ただWOWOWのような映画専門チャンネルやNHKの場合は、番組枠がフレキシブルなので、長編をノーカットで放送する場合もある。あるいは年末年始特番などは、やはり2時間を超えるケースも多いだろう。この場合に1層のみというのは、キビシイことになる。ただハイビジョンにこだわらなければ、SDにダウンコンバートしてBDに長時間書き込むという選択肢がある。

 BW200との違いは、ここにあるとも言えるだろう。というのも本機では、最初からDRではなくSRやLRといったSD解像度にダウンコンバートして圧縮するモードで録画しておけば、BDメディアへ高速ムーブが可能だ。ただしDVDメディアへムーブする場合は、等速となる。一方Panasonic機では、圧縮モード録画の場合DVDメディアへは高速ムーブだが、BDメディアへは等速となる。

 これは、DVD時代にはMPEG-2 PS(Program Stream)がレコーダのベースになっていたのに対し、BDではMPEG-2 TS(Transport Stream)を採用しているからである。ソニーの場合は、HDDに圧縮録画する際にMPEG-2 TSで記録するため、BDには高速転送できるというわけだ。せっかく次世代メディアを使用するのであればハイビジョンで撮りたいのは山々だが、2層記録に対応しないデメリットを少しでも緩和するための配慮だと言えるだろう。



■ AVCHDには対応したが……

 ソニーではこの秋から、「SONY Hi-Vision Quality」と銘打って、すべての商品をハイビジョン化してお互いに繋いでいくという戦略を展開している。早くも今年のトピックスを振り返るわけではないが、DVDメディアにハイビジョンを記録するAVCHDの登場は、ある意味象徴的な出来事であった。

 だが現状AVCHDは、扱える環境がほとんどない。PC上では付属ソフトにより再生可能だが、パフォーマンス面で条件が厳しい。そこでレコーダでの対応というのが注目されて来たわけだが、ソニーではDVD世代の「スゴ録」では対応せず、Blu-ray世代で対応すると明言してきた。公約は果たされただろうか。

 以前HDR-UX1のレビューで撮影したディスクを入れてみたところ、しばらく待たされるが無事メニュー画面が表示された。各サムネイルを選択すると、そこから各クリップが再生される。


AVCHDディスクを入れると、自動でメニューが表示される UX1で撮影した映像も問題なく再生できる

 デフォルトでは撮影時刻がオーバーレイされるが、リモコンの「字幕」ボタンで消すことができる。もちろんカメラからの出力で一度見ていたのだが、レコーダからの映像出力で自分の撮影したハイビジョン映像がテレビに映し出されるというのは、感慨深いものがある。

 ただ再生はできるが、編集はまったくできない。もしかしたらディスクからHDDへコピーぐらいはできるのかと思っていたのだが、これも無理だった。BDソフトの再生対応でH.264のデコーダはあるものの、編集するとなるとエンコーダも必要になるわけで、そう簡単にはいかないようである。


AVCHD内の映像はコピーできない

 ただ将来的には、いつまでもAVCHD規格のままのDVDメディアを持っていても仕方がないので、いつかどこかの段階でBDにまとめなければならない時が来るだろう。それを担うのはレコーダなのかパソコンなのか、意見の分かれるところなのだが、何にしろ頭から尻尾まで全部環境が整うのは、すぐというわけにはいかないようである。

 ではもう一つのハイビジョンカメラ、HDVを試してみよう。こちらは以前のDVDレコーダ時代から編集に対応していることもあって、今回もそのまま踏襲している。

 カメラを接続し「HDV→HDDダビング」を使うと、HDVテープが自動的に頭に巻き戻されてキャプチャされるため、手間いらずだ。また日付別にプレイリストも自動作成する機能もある。ただテープの途中からキャプチャできないあたり、撮ったらこまめに編集する人にはキビシイ仕様だ。

 いったん取り込んでしまえば、編集方法はテレビ番組と同じだ。カメラを停止したところでチャプタが打たれているので、いらない部分をチャプタ編集で削除する。場合によってはA-B間消去を使うこともあるだろう。ただしこの方法では、ビデオ編集ソフトのように、カットの順番の並び替えはできない。


以前からHDVカメラの映像取り込みは対応している チャプタ編集は番組の時と使い勝手は同じ

 カットの並び順を変えたいと思ったら、新たにプレイリストを作成し、シーン切り出し機能を使ってカットを切り出していく、という方法が使える。この方法でシーンリストを作成すれば、「シーン移動」機能を使ってカットの並び替えも可能だ。

 編集結果のプレイリストは、BDメディアにダビングできる。オリジナル映像の場合はコピーワンスではないので、ムーブではなくコピーである。これで一応HDVの映像を編集してBDに保存できたことになる。


新たにプレイリストを作成し、シーンを切り出す 切り出したシーンは、順番の入れ替えも可能 編集結果はBDにダビングできる

 一応、と書いたのは実は問題があって、この方法で保存したものは、編集点で映像の最後のカットがいちいち1秒程度停止する。まあMPEG-2 TSを再レンダリングもせずにむりやりぶっちぎったような恰好なので、次のカットが再生されるまで1秒ぐらいかかるということのようだ。これはHDD上で編集したプレイリストでもそうなっている。

 試しにXRモードにダウンコンバートしながら書き込んでみたところ、やはり全体を再レンダリングするせいか、カット変わりは滑らかに再生された。ただし画質は当然SDになっている。なんとも痛し痒しだ。



■ 総論

 年内にギリギリ発売できるか、というスケジュールで動いてきたソニーの「ブルーレイレコーダ BDZ-V9」。Panasonicのほうが早々に年内発売を発表していただけに、なんとか年末商戦の同じ土俵にと頑張って来たわけだが、そういう期間的な問題があってか、宿題が結構残った感じだ。

 2層記録の件もその一つだが、BW200に比べてアドバンテージと思われてきたHDVカメラからBDへの編集も、プレイリスト編集したらカット変わりで絵が止まるあたりは、なんとか方法を考えないとマズイだろう。

 またAVCHDへの対応も、まさかただ再生できるだけとは思わなかった。いや、「レコーダ」が対応するからには、何か編集とかHDDやBDにダビングとかもできるのかと、こっちが勝手に勘違いしていたのが悪いのだが。しかし、同じAV家電機器として、いずれはBDレコーダでなんとか編集・整理まで面倒見ないといけない日が来るだろうと思われる。

 純粋にテレビ放送のレコーダとして見た場合は、すでに発売されているRDZ-D900Aと機能的にかなり近いため、安心して使える出来になっている。編集機能もチャプタ編集だけでなく、プレイリスト編集では簡単なGUIながらかなり込み入った編集も出来るようになっており、単純に右から左へムーブだけでは済まない人には、いい選択かもしれない。

 PSPへのおでかけやDLNAによるホームネットワークなど、これまでソニーが推進してきた機能もしっかり受け継がれている。これだけの機能を破綻なく1台のレコーダに詰め込むのは、なかなか大変な作業だったろう。

 いずれにしてもこれで2006年内に東芝、松下、ソニーという三大メーカーが揃って、次世代DVDへ船出を果たしたことになる。ただし2006「年度中」というくくりでは、あと4カ月あるのでまだまだ油断はならない。シャープ、日立あたりの動向も気になるところである。

 地デジもこの12月からは全国都道府県庁所在地で放送が開始され、一応日本全国の約80%がカバーエリアに入ったことになる。ハイビジョンテレビが一段落付けば、次は真ハイビジョンレコーダの時代だ。これまではSDメディアのDVDとのハイブリッド機だったが、これでようやく過渡期が終了したことになる。

 次世代DVDのこれからの勝負に、期待したい。


□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/BD/product/
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【7月19日】【EZ】世代初めの一歩、東芝「RD-A1」 〜 史上初、HD DVDレコーダ登場 〜
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060719/zooma266.htm

(2006年12月6日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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