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社団法人日本映像ソフト協会(JVA)は12日、2006年のビデオソフト売上実績を発表した。ビデオソフト全体の売上金額は、前年比89.2%の3,308億200万円で約1割の減少。数量は同91.7%の1億518万1,919本・枚で、金額/数量ともに減少となった。 DVDビデオの売上額は3,252億8,000万円で、前年比93.6%と初めて前年比を割り込んだ。数量についても、同94.4%の1億390万456枚と減少。ビデオカセットについても、減少傾向は変わらず、前年比23.9%の55億2,200万円。数量は同27.7%の128万1,463本。DVDとカセットの構成比は98.3:1.7、数量ベースでは98.8:1.2となっている。
DVDビデオの売上額/数量が低下したことについては、全体売上の約66.9%を占めるDVDビデオの「販売用(個人向け)」の売上金額が前年比84.5%の2,214億3,700万円と、大きく減少したことが要因としている。
さらにジャンル別に見た場合、「洋画(TVドラマを除く)」の販売用における売上額が前年比59.1%の456億2,000万円と激減しているほか、数量は前年比は73%の2,680万4,512枚、平均単価では同80.9%の1,702円と、洋画の価格下落による売上額の低下が全体の減少に影響を与えているとした。 「日本のアニメーション(一般向け)」は、DVDビデオ全体に占める割合が24.5%で、洋画の20.6%を抜いてトップとなった。こちらも前年比85.9%と減少傾向だが、この減少については、2005年発売の宮崎駿監督作「ハウルの動く城」のDVDビデオ発売により、売上額が増加していたことが要因。これまでも宮崎監督の新作の有無によって市場では年間約1割程度の増減が発生している。 「邦画(TVドラマを除く)」は、前年比105.8%の215億3,500万円と伸びているほか、「日本のTVドラマ」は同139.2%の96億4,900万円、「海外のTVドラマ」は同120.7%の144億3,100万円、「日本の子供向け(アニメーション)」は85億5,900万円で同142.4%といずれも増加傾向で、こうした増加傾向のジャンルが今後も拡大を続けることで、洋画が要因の売上額低下に歯止めをかけたいとした。 なお、平均単価については、邦画が前年比84.8%の3,362.2円、アニメ(一般向け)は同100.4%の4,386.6円、子供向けアニメは同147.5%の3,628.7円となっている。
レンタル店用(個人向け)全体では、前年比102.4%の1,057億6,100万円となった。そのうちDVDビデオは、同121.5%の1,018億9,000万円で、売上金額で初めて1,000億円を突破。数量は同140.8%の2,258万6,878枚。DVDとカセットの構成比は96.3:3.7で、ビデオレンタル店の仕入れのほとんどがDVDビデオにシフトした形となった。 DVDビデオのジャンル別では、洋画が前年比101.9%の344億9,300万円で微増のほか、邦画が同124.1%の128億6,100万円、日本のTVドラマが同132.2%の54億1,900万円、海外のTVドラマは同167.5%の128億8,200万円などいずれも増加。 洋画が微増となった要因は、販売用とは異なり「他ジャンルと比べ、先行してDVDレンタルを開始していたため、仕入れ数などの在庫調整が順調に行なわれるようになったため」と分析する。 特にアニメについては同147.1%の252億2,000万円で、DVDビデオに占める割合は洋画の33.9%に次ぐ24.8%と増加が著しく、さらなる拡大に期待するとした。なお、平均単価はレンタル店用でも低価格化が進行。邦画が同78.5%の5,717.2円、洋画は同85.5%の4,754.1円となっている。 なお、DVDビデオのルート別売上では、レコード店が53.1%で第一位。次いで家電店が13.1%、ビデオレンタル店が7.6%、インターネットルートが7.3%となった。 ■ HD DVD、BD、UMDは合わせて全体の0.3% 発表会では、2006年のトピックとして、次世代メディアであるHD DVDビデオやBlu-ray Discビデオの販売が開始になったことが挙げられた。しかし、これら次世代メディアについてはまだ規模が小さく、これら2種にUMDビデオを加えて集計を行なった場合でも、2006年の全体に占める割合は0.3%程度という。市場規模が形成される状況を見極めながら、調査項目への追加時期を判断するとした。 また、同様にビデオカセットについては、その割合が1%台に突入し、メディアとしてはほぼ終焉を迎えたと判断。調査項目から外すことも検討しているとした。
後藤健郎事務局長は今回の調査結果について「数字だけで見ると、前年比89.2%で1割減少、DVDビデオ初の前年割れと不安要素が多く、ネガティブに考えられがちだが、今後拡大の可能性のあるジャンルもあり、あまり悪い方に考えてほしくない。1割減程度のマイナスであればすぐに回復できる程度のレベルなので、致命的とは言えないと思う」とした。 その一方で、「とは言え、ソフト業界としては、今年が正念場と言えるのかもしれない。魅力的な作品を多く提供して、市場を活性化させれば、再び売上をプラスにすることはできると思う」と、ソフト業界の今後について語った。 そのほか、有料のネットワーク映像配信サービスの市場への影響については、資料がないため正確な情報ではないと前置きした上で、「無料配信など多くのサービスが立ち上がっているが、市場規模はまだまだ小さく、ソフト売上への影響はほとんどない」とした。 P2Pによるファイル交換ソフトについても同様で、「音楽ほどの影響はないと考えている。確かに、上映内容をビデオカメラで撮影した映像がP2Pで流出することもあるが、その影響は微々たるもの。日本の利用者は、高画質な映像を好む傾向にあるため、見たい作品があれば、映画館に行くか、DVDを買うなりレンタルで借りるため、市場に影響があるとは考えていない」と意見を述べた。 □JVAのホームページ ( 2007年3月12日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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