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28日、ソニーは液晶テレビ新シリーズ「BRAVIA J」を発表した。画質など基本的な機能の向上に加え、大きな特徴となるのが、DLNA対応などのネットワーク機能。その中でも、特にソニーが力を入れているのが「アプリキャスト」と呼ばれる新しいオンラインサービスだ。
これは、インターネットを介して取得した、天気情報やニューストピック、商品情報などを、テレビ画面の右脇に表示するというもの。BRAVIA JのXMBからアプリキャストを呼び出すと、Windows Vistaのサイドバーに表示される「ガジェット」のように画面の右端に3つの「アプリキャスト」が現れる。 このアプリキャストに、ソネットエンタテインメントやヤフー、楽天、Amazon.co.jpがコンテンツを提供。ソネットは、ニュース、占い、天気予報、フォト共有サービスを、Yahoo!はオークション、トピックス、および画像検索サービスなどを提供、楽天とAmazonは商品検索サービスを提供する。 今回、アプリキャストに「Yahoo!オークション」、「Yahoo!トピックス」、「画像検索」を提供するヤフーに話を伺った。 ■ アプリキャスト対応でYahoo! Everywhere
パソコン向けの検索、ポータルサイト、オークションなどにはじまり、近年は携帯電話対応などのサービスを提供してきた同社だが、「テレビ」への進出は意外に思える。しかし、アプリキャストには、同社が掲げる「Yahoo! Everywhere」構想の一環として、積極的に取り組んでいくという。 Yahoo! Everywhereは、昨年のCEATECで発表した戦略で、PCや携帯電話のみならず、テレビや、ホームサーバーといったデジタル家電製品やカーナビなど様々な端末へ、同社サービスを組み込むことを目指すものだ。 現在は、リビングルーム向けにWindows Vistaの「Media Center」にYahoo!動画を組み込むなどの展開も図っているが、さらにテレビに直接Yahoo!のサービスを組み込んだり、STBなどでの展開などについても、各メーカーなどと話を進めているという。
今回のアプリキャストは、ソニーが定めた仕様に基づき、同社のWebサービスAPIを使って、各サービスを実現している。個々のアプリキャスト上でのサービスについては各社がある程度自由に設計でき、ユーザーによるアプリキャストの各種設定も行なえる。 Yahoo! Everywhereを推進する同社 事業推進本部 デジタルホーム事業室の坂東浩之室長は、「朝起きてすぐにテレビの電源を入れるという人は多い。これはパソコンではあまりないこと。そうした際に放送だけでなく気軽に情報を得られる手段になるのでは」とアプリキャストを評価。同社では、そうしたテレビにおける「ながら視聴」用のサブウィンドウとして、サービスの作り込みを行なったという。 例えば、Yahoo!トピックスでは、主要ニュースを小さなアプリキャスト画面上に表示。起動時に表示するニュースを「国内」、「地域」、「経済」、「海外」などのカテゴリから選択できる。これらのカテゴリは一定時間で切り替わるため、特別な操作は必要なく、常に最新のニュースをアプリキャスト上に表示できる。 ただし、ニュースの詳細を確認する場合、アプリキャストからニュースを選択して、Webブラウザを起動してYahoo!のサイト上のニュースを閲覧しなければならない。BRAVIA Jではブラウザを起動すると、テレビ放送は視聴できなくなってしまう。そうした点では現時点のアプリキャストは、情報に軽く触れるための小窓だ。
Yahoo!オークションも表示可能。アプリキャストで人気のオークション情報などをスライド表示するほか、出展されている任意の製品の詳細情報なども確認できる。表示される商品は、[Yahoo!オークションの人気商品]、[Yahoo!商品検索の人気キーワード]などで、ユーザーがキーワードを指定して、検索することも可能。 ただし、自身のYahoo IDを入力して、オークションの「ウオッチリスト」や自分の出品製品を見る、ということは現時点ではできない。昨年末の開発開始以来、まずは4月のBRAVIA発売に併せたサービス開始を優先したためだが、「アプリキャスト上でセキュリティを保ちながら、実現できる仕組みを考えていきたい」という。 また、携帯電話やパソコンと異なり、テレビは家族みなで使うケースが多い。こうした点からも、「複数のIDを如何に管理して使い分けるか」など、既存のサービスとは異なる工夫が必要となりそうだ。
ただし、「Yahoo! Everywhereが目指すところは、Yahoo IDで好みや属性をパーソナライズ。シーンに応じて利用できる世界」(坂東室長)のことで、テレビの利用モデルにあわせた、新しいサービス提案なども計画しているという。 今後のサービス展開については、「まずは実際に使用したユーザーの意見などを参考に、機能の改善や、新しいサービスの追加も検討したい」としている。現時点でも、アプリに登録した所在地情報などは活用できるが、例えば家族でのカレンダー共有やスケジュール管理など、パーソナライズやネットならではの双方向性を活かした新しいテレビの利用提案にも期待したい。 □ヤフーのホームページ ( 2007年3月29日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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