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ソニーはHDD内蔵のBlu-ray Discレコーダ4モデルを11月8日より発売する。“番組を楽しむ”、“思い出を残す”などの用途ごとに製品を用意し、全モデルでMPEG-4 AVC/H.264エンコーダを搭載する。価格は全てオープンプライス。
シアター仕様の「BDZ-X90」や、録画にフォーカスした「BDZ-T50/T70」、AVCHDカメラからの映像取り込みなどを強化した「BDZ-L70」の4モデルをラインナップする。 MPEG-4 AVC/H.264エンコーダの搭載により、320GBのHDDの場合、最大105時間(LSR/AVC 6Mbps)の録画が可能で、「800GB相当の録画時間を実現する」としている。
■ AVC変換で長時間録画。DRモード番組のAVC変換にも対応
新開発のBDドライブを開発し、BD-R/REとDVD±R/RWの記録に対応。BD-R/REは2層ディスクへの記録も可能で、BD-Rは最高4倍速記録をサポートしている。 BDビデオディスクやDVDビデオディスクのほか、BD-R/REやAVCHDディスク、カートリッジ付きのBD-RE Ver.1.0ディスクの再生も可能となっている。 最大の特徴は、新開発の「高精度ハイビジョンエンコーダ」を搭載し、デジタル放送番組をより圧縮率の高いMPEG-4 AVC/H.264形式で録画/ダビングできること。
HDD録画時の画質モードは、MPEG-2をストリーム録画する「DR」のほか、MPEG-4 AVC記録のXR/XSR/SR/LSR/LR/ERの合計7モードが用意される。 デジタルWチューナモデルでは、デジタル放送の2番組同時録画が可能だが、AVC変換録画対応は1系統(録画1)で、もう1系統(録画2)はDRモード専用となる。 XR/XSR/SR/LSRは1,440×1,080ドットのAVCエンコード、LR/ERについてはSD解像度でAVC記録する。LSR(AVC 6Mbps)で録画した場合、2層/50GBのBD-R/REに最大16時間の録画が行なえる。 なお、デジタル放送の5.1ch/2ch音声はDRモード録画時の場合はそのままAACで記録するが、AVC変換時には音声をドルビーデジタルに変換する。デジタル放送のデータ放送部は、AVC変換時だけでなくDRモード時録画も記録しない。 また、DRモード(MPEG-2)録画したHDD上の番組を、AVCに変換してBD-R/REにムーブできる。この場合のムーブ時間は等速となる。HDDに取り込んだHDV映像についてもAVC変換してBDにダビングできる。なお、HDD上のMPEG-2番組をAVC変換して、HDDに残すことはできない。 アナログ放送やDVD直接記録/ダビング用のSD解像度のMPEG-2記録モードとして、XP/XSP/SP/LSP/LP/EPの6モードを用意、MPEG-4 AVC記録のDVDディスク作成には対応しない。 同社では、AVC変換機能を「たっぷりハイビジョン録画」機能として積極的に訴求していく方針で、新BDレコーダでは購入時の標準モードとしてSR(AVC 8Mbps)を設定している。主力モデルのBDZ-T70/L70の製品企画時にも、「たっぷりハイビジョン録画を使って100時間録画ができることを目標に、105時間(LSR/AVC 6Mbps)の録画が可能な320GBのHDDを搭載した」という。
なお、地上デジタル放送のコピーワンスの見直し議論が進んでいるが、「見直しを想定して、機器の設計を行なっている。ルールが確定していないので、“必ず対応できる”とは言えないが、間に合えば製品発売時に、間に合わなくても製品発売後のアップデートなどで対応したい」としている。
■ 録画機能も強化。HDMIビットストリーム出力対応
BDZ-X90/L70/T70の3モデルは地上/BS/110度CSデジタルチューナを2系統、地上アナログチューナを1系統装備する。BDZ-T50はデジタル/アナログシングルチューナを搭載する。 GUIは同社独自のXMB(クロスメディアバー)で、番組表も新デザインとした。 「番組追跡録画」や「スポーツ延長対応」機能などの録画機能を搭載。新たに録画番組やデジタル放送視聴中に、番組の関連キーワードを抽出、1週間分の番組表情報から、人名や地名などのキーワードにマッチした番組を瞬時に検索できる「気になる検索」を搭載した。 視聴中の番組から抽出した「東京」というキーワードを選択すると、東京に関する番組を1週間の番組の中から抽出。番組を選択するだけで録画予約が行なえる。興味あるジャンルやタレントの名前を登録して条件にあった番組を同録画する「x-おまかせ・まる録」や、外出から携帯電話で録画予約できる「リモート録画予約」も搭載している。
全モデルでHDMI出力を1系統装備。24p出力「24p True Cinema」やx.v.colorに対応する。同社の液晶テレビBRAVIAとのHDMI連携機能「ブラビアリンク」も搭載している。 HDMIの音声出力については、BDビデオソフトのTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのロスレスコーデックをビットストリームで出力可能。ドルビーデジタルプラス、DTS-HDのビットストリーム出力もサポートする。 BRAVIAで最適な画質で写真鑑賞が可能な「ブラビアプレミアムフォト」も搭載。同機能に対応したBRAVIAとHDMI接続して、写真再生した際に、自動的にBRAVIAの画質モードを「フォト」に切り替えて視聴できる。
■ シアターモデル「X90」は高音質/画質に注力。DLNAサーバーも
BDZ-L70/X90は、BDZ-T70をベースとし機能拡張を図った上位モデルとなる。 シアターモデルの「BDZ-X90」は、BRAVIA Xシリーズなどで採用している高画質化エンジン「DRC-MFv2.5」を搭載。1080p出力の前に、独自のアルゴリズムにより、ハイビジョン映像をより精細に作りかえ、映像そのものの精細感を向上させる。各色12bitまでのDeep Color出力もBDZ-X90のみ対応している。 また、HDMI回路専用音質コンデンサの採用や、偏心インシュレータ、共振を抑える「sfヒートシンク」などを搭載し、音質向上も図っている。さらに、BDZ-X90のみの機能として、HDDに録画した番組をPSP用に変換して出力し、PSPで視聴できる「おでかけ・おかえり転送」も搭載している。
BDZ-L70/X90では、DLNAサーバー機能「ソニールームリンク」を搭載。HDD内の番組やAVCHD映像、HDV映像、写真などを同一ネットワーク内のクライアント機器に配信できる。
HDV/DV取り込み用のi.LINK端子とUSB端子もBDZ-L70/X90の2モデルで装備。また、BDZ-L70/X90にはデジタルカメラ画像を取り込んで、BGMを選ぶだけでハイビジョンフォト作品が自動的に完成する「x-Pict Story HD」を搭載。作品はBDにハイビジョン画質のまま保存できる。 BDZ-L70のみの機能として、「ワンタッチダビングボタン」を本体前面に装備。USB接続したAVCHD映像やデジタルカメラ上の画像をワンタッチで取り込めるほか、i.LINK接続したHDV/DV映像や、AVCHD記録のDVDディスクの映像をHDDにコピーできる。 BDZ-X90の出力端子は、HDMI×1、コンポーネント出力×1(金メッキ仕上げ)、D4×1、S映像×2、コンポジット×2、アナログ音声×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1(真鍮削り出し)を装備。BDZ-L70ではコンポーネント出力や同軸デジタル出力が省略される。
■ 国内レコーダは全てBDに。有機EL年内投入は変わらず
同社代表執行役副社長の井原勝美氏は、デジタル一眼レフ新「α」やオーディオなどの2007年年末商戦向けの新製品群を簡単に紹介し、ネットワークや機器間連携による差別化などをアピール。「最後はビデオの新製品」として、新BDレコーダを紹介した。 この年末商戦をBDレコーダの本格始動期と位置づけ、「ハイビジョンレコーダの普及も一段落し、次の段階に移る準備が整った。ソニーもBDに本格的に移る覚悟を決めた。軸足をBDに移して、国内市場のレコーダはすべてBDに切り替える」と説明した。 なお、HD DVDとのフォーマット戦争について井原副社長は、「(パラマウントのHD DVD独占供給が)短期的には多少影響があるかもしれないが、BDを推進する各スタジオもタイトルを用意しており、メーカーの取り組みも本格化している。BDの普及には自信がある」と語った。 なお、Display 2007の基調講演で年内の発売を予告した有機ELテレビについては、「年内発売の予定は変えていない。近いうちに発表できる」とした。 ソニーマーケティング株式会社の鹿野清 取締役常務は、「“ハイビジョンの楽しみ方”にあわせたラインナップ」と4製品の特徴を紹介。2007年度の次世代DVDレコーダの台数構成比予測を約12%とし、「2008年度には半分がBDになる。つまり、この年末に本格的にBDを立ち上げる。ソニーはBDにすべてを投下する」と意気込みを語った。 プロモーションも、昨年の10倍の規模でテレビCMを展開するなど、強力にBlu-rayを推進していく。「BRAVIAとBlu-rayを中心にハイビジョンの機器間連携を訴えていく。年末商戦、ぜひソニーのハイビジョンの世界をご期待ください」と締めくくった。
なお、プロモーションの一環として、新BDレコーダ購入者に、「スパイダーマン3(キャンペーン特別版)」、「MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2007 YES MY JOY」、「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」、「ナイトミュージアム」と、ワーナーの1タイトル(タイトルの告知が解禁され次第発表)のいずれか一本をプレゼントする「選べるBDソフト体感キャンペーン」を実施。応募期間は11月8日~2008年1月10日まで。
( 2007年9月12日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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