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シャープ株式会社は、HDD内蔵のBlu-ray Discレコーダ2モデルと、HDDを内蔵しないBDレコーダ2シリーズ7モデルを10月27日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。
■ 1TB「BD-HDW20」などHDD/BDハイブリッドモデル
上位シリーズの「BD-HDW20」、「BD-HDW15」はHDDを内蔵したBlu-rayレコーダ。HDW20は1TB、HDW15は500GBのHDDを内蔵する。 地上/BS/110度CSデジタルチューナ×2と、地上アナログチューナ×1を搭載し、デジタル放送の2番組同時録画に対応する。HDDに録画したデジタル放送番組のBD-R/REへ最高5倍速でムーブが可能。2層のBD-R/REやDVD-R/RWとDVD-R DLへのムーブにも対応する。BD-R/REやDVD-R/RWへの直接録画はできない。なお、今後登場が予定されている、有機色素系の材料を利用したBD-Rの記録方式「Low to High(LTH)」については、対応未定としている。 HDDとBD-R/REへの録画形式はデジタル放送はMPEG-2 TSのストリーム記録。MPEG-4 AVC/H.264へのトランスコード機能は備えていない。DVD-R/RW用のXP/SP/LP/EP/MN01の各モードも用意する。
最大9チャンネルの同時表示が可能な番組表機能を搭載。番組/時間表示の縦/横切り替えも可能となっている。また、HD解像度の「高精細スタートメニュー」を採用し、録画番組の再生、編集、消去などの操作画面の視認性を高めている。 HDMI連携機能「AQUOSファミリンク」に対応し、同社の液晶テレビAQUOSと連係動作が可能。同梱の「ファミリモコン」を利用して、AQUOSの番組表からのレコーダの録画予約や、対応AQUOSオーディオなどの連携操作が行なえる。また、高速赤外線通信「IrSS」を利用して、携帯電話やデジタルカメラの写真をBD-HDW20/HDW15に転送できる。 また、i.LINKも2系統装備しており、同社製の対応ハイビジョンレコーダからのデジタル放送番組をi.LINK経由でムーブできる。HDV入力/編集にも対応する。ただし、液晶テレビAQUOS側のチューナを利用したi.LINK録画には対応しない。 BDビデオの再生にも対応。高画質化エンジン「アクオス画像エンジン」を搭載し、BDソフトに記録されたディテールの再現性能を高めている。また、専用のIP変換LSIや、HDMI信号波形を最適化して、エラー発生を極限まで抑えるという「コモンモードフィルター」も内蔵している。12bit/148.5MHz対応の映像DACも備えている。 金メッキ処理を施したHDMI出力端子も装備し、HDMI 1080/24p出力に対応。また、DTS-HD Master Audioや、ドルビーTrueHD、DTS-HD HRA、ドルビーデジタル・プラスなどの音声のビットストリーム出力が行なえる。 HDMIのほか、D3×1、S映像×1、コンポジット×1、アナログ音声×2、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1の各出力端子を装備。入力端子は、S映像、コンポジット、アナログ音声を各2系統備えている。また、デジカメ画像取り込み用のUSB端子×2やEthernetも装備する。外形寸法は434×343×68mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約5.4kg(BD-HDW20)/約5.3kg(BD-HDW15)。
■ あえて“VHSビデオ的な操作にこだわった”「BD-AV10/AV1」
単体Blu-rayレコーダの「BD-AV10」、「BD-AV1」は、Blu-rayの録画(BD-RE)/再生に対応。エントリーモデルBD-AV1の実売価格は10万円。2層BD-RE記録対応のBD-AV10の実売価格は12万円。 BDビデオやDVDビデオの再生に対応するほか、地上/BS/110度CSデジタルチューナを1系統装備し、BD-REへの直接録画に対応する。BD-RやDVD-R/RWへの記録には対応しない。 HDDや地上アナログチューナは内蔵しておらず、同社のデジタルレコーダでは、初のアナログチューナ無しモデルとなる。BD-AV10では2層のBD-RE記録に対応、BD-AV1は1層BD-REにのみ録画可能となっている。両モデルの違いはカラーバリエーションと、BD-REの2層対応のみ。
日本国内のデジタルレコーダ市場では、光学ドライブに加え、HDDを内蔵したハイブリッド型のレコーダが主流で、DVDやBlu-rayの単体レコーダの市場はさほど大きくない。しかし、シャープでは、デジタルレコーダの市場規模がVHS時代ほど大きくなっていないことに着目。「デジタルレコーダは“難しそう”という先入観から、ビデオデッキからの買い替えを躊躇している潜在ユーザーが多くいる」と考え、BD-REでVHS的な利用を実現すべく、BD-AV10/AV1の製品企画を行なったという。シャープではこのBD単体レコーダを「21世紀の地デジビデオ」と命名。月産3万台の販売を目指す。
わかりやすさとビデオデッキの使い勝手の実現のため、録画メディアもBD-REのみとした。デジタルレコーダでは、DVD±R/RW、CPRM対応/非対応など、メディアの種類が増えたことも、ビデオデッキユーザーが買い替えを躊躇する要因と判断し、1メディアのみに対応としたという。 さらに、録画ボタンを押すだけで、視聴中の番組を最後まで録画する「らくらく一発録画」や、再生ボタンを押すだけで番組の始めから再生を行なう「らくらく一発再生」、番組表からのシンプルな録画予約機能「らくらく一発予約」などを搭載し、使いやすさの向上を図っている。また、フロントパネル右下にBD-REの残量を表示して、録画可能時間の目安にできる「ディスクメーター」も装備した。
番組表は上位モデルと同じ最大9チャンネルのもので、縦/横表示切替に対応。なお、録画した番組の編集機能は備えていない。これも「シンプルな使い勝手を実現するため」という。VHSとBD/DVDとの使い方を解説する「かんたんガイド」も付属する。リモコンも「シンプルファミリモコン」が付属する。 HDMI連携機能「AQUOSファミリンク」も搭載。AQUOSの番組表からの録画予約などが可能となる。また、i.LINK(TS)入出力も1系統装備しており、同社の対応ハイビジョンレコーダからのデジタル放送番組のムーブが可能となっている。 出力端子は、HDMI×1、D3×1、コンポジット×1、アナログ音声×1。「アクオス画像エンジン」や12bit/148.5MHzの映像DACも内蔵している。消費電力は約34W(待機時1.1W)。外形寸法は430×335×68mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.2kg。
■ 「21世紀の地デジビデオ」でBD本格展開
発表会では、“21世紀の地デジビデオ”「BD-AV10/AV1」を中心に同社のBD戦略が説明された。 同社代表取締役副社長 商品事業担当 兼 情報通信事業統括の松本雅史氏は、2000年の同社の液晶テレビCMを流した後、「テレビは21世紀に液晶テレビが普及した。しかし、ビデオはまだアナログビデオが利用されている。新製品は、誰にでも使える“地デジビデオ”を作った」とアピール。 国内市場は、VTRからデジタルレコーダの時代に移ったが、ハイビジョンレコーダの普及率は約1割。「便利にはなったとはいえ、誰にでも使えるものではなかった」との認識を示した。そこで同社の提案型商品として「BD-AV10/AV1」を紹介。「21世紀に入ってしばらく経ちましたが、ようやく20世紀のアナログビデオを風呂敷にしまえる時が来た。本日、シャープは20世紀のアナログビデオにさよならを宣言します」と述べ、アナログビデオを風呂敷に包むパフォーマンスを行なった。
松本副社長は、青紫色レーザーやピックアップなどのデバイス、ドライブなどの部品、セットの開発力の垂直統合でBD事業を強化していくと説明。「(液晶テレビ)AQUOSを柱に事業展開してきたが、AQUOSブルーレイを第2の柱に育てていく」とし、“地デジビデオ投入”を皮切りに、「2011年の地上アナログ停波までに、シャープのレコーダをすべてAQUOSブルーレイレコーダに置き換える」と訴えた。なお、年末モデルの全てがBDに置き換わるわけではなく、「今後軸足をDVDからBDに移していくということ」と説明している。
同社AV・大型液晶事業統括 兼 AVシステム事業本部長の寺川雅嗣氏は、VTRとDVDレコーダの普及率比較や、BD-REというメディアへのこだわりなどについて説明しながら、新製品の特徴を解説。ビデオテープの再生や録画時の使い勝手を、BDレコーダで再現することにこだわったことをアピールた。
BD事業化推進センターの小田守所長は、レーザーやピックアップなどのデバイスからセット開発に至るまでの社内の垂直統合開発体制について説明。高出力青紫色レーザーなど、各基幹技術について同社の開発力、技術力をアピールした。今回のBDドライブにおける2層対応も、光学技術やアナログ技術、デジタル技術、メカニカルなどをすり合わせた同社の開発力による成果と訴えた。 また、「AQUOSブルーレイの高画質のこだわり」として、「放送波をそのまま録画する。放送局の信号に忠実に、記録再生することにこだわっている」と説明した。 小田所長は、「VHSは'97年にピークを迎え、この時の市場規模が750万台。デジタルレコーダは2004年ごろから400万台程度で横ばいか、前年比で9割程度となっている。この原因はなにか? やはり取り扱いにくさが、デジタルの利便性を上回っている。そのために新しい製品ジャンルを提案していくことが必要だと考えた」という。 なお、コピー9回など、地上デジタル放送のコピーワンスの見直し議論が進んでいることについては「(コピー9回が導入されても)将来的にダウンロードで対応可能と考えている。ただし、技術仕様が未確定なため、詳細についてはこの場では控えさせていただきたい」(BD事業化推進センター 小田守所長)としている。
HD DVDとBDとの両対応については、「現時点では予定はない」。また、トランスコードMPEG-4 AVCへのトランスコードについては、「今回は、高画質/高画質、最高の感動を与えるということを第一に考えた。今後、機能としては検討していく」という。 □シャープのホームページ ( 2007年9月26日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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