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DVDフォーラムは4日、「DVD Forum Japan Conference 2007」を開催。HD DVD/DVDの規格化作業の現状について報告した。 ■ HD DVDやCSSダウンロードなどの最新動向を解説
DVDフォーラムのワーキンググループをまとめる技術部会(TCG)の活動については、レノボ・ジャパン製品開発研究所先端技術開発 三和邦彦副部長が説明、3層HD DVD-ROMやHD DVD-Video/VRのアップデート、中国向けHD DVD-ROMの規格化状況などを報告した。 TCG傘下のアドホックグループの活動についても、車載用プロファイルの提案や、HD DVD-Video/VRのDVD-R/RW/RAMへの記録などの取り組みを紹介。なお、現在の市販HD DVDビデオタイトルでは、リージョンコードが付与されておらず、地域ごとの再生に制限はないが、DVDフォーラムではリージョン制御についての検討を進めている。「HD DVD-ROM(HD DVDビデオ)におけるリージョン再生制御については、DVDとは異なり、破られにくいリージョン制御技術を検討してる。同時に“使うかどうか”、“必要かどうか”ということも検討している」という。 また、市販DVDビデオで使われている著作権保護技術である「CSS」を用いて、DVDビデオ形式のコンテンツをDVD-Rに記録する「CSSダウンロード(DVD Download)」についても言及。CSSダウンロードで作成したDVD-Rのディスクは、既存の多くのDVDドライブで認識、再生できない。DVD ForumやDVD FLLCでは、今後製造されるドライブでは、CSSダウンロードディスクの再生対応を強く推奨していくという。
■ 3層HD DVD-ROMやHD DVDプレーヤーの“レベル”管理も導入 HD DVDについては、ファイルシステムや物理規格、アプリケーションフォーマットについて説明が行なわれた。 物理規格は、新たに3層HD DVD-ROMについての規格策定が行なわれている。3層構造のHD DVD-ROMはDVD-ROM 1層とHD DVD-ROM 2層を組み合わせたTwin formatと、記録密度を向上し51GBの記録容量を実現した3層HD DVD-ROMの2種類が用意される。
2層HD DVD-ROMと1層DVD-ROMの3層Twin formatは9月にHD DVD-ROMのオプションブックとしてRev.1.0が策定された。DVD-ROM部の容量が4.7GB、HD DVD-ROM部の容量は30GBとなる。 DVD-ROM部については、2層Twinformatと同仕様なため、既存のDVDプレーヤーで問題なく再生できるという。また、HD DVD-ROM層についても、、反射率規定の変更以外は既存の2層HD DVD-ROMの構造をほぼ踏襲している。ただし、BCA(ディスク固有のID)を3層目に記録するため、現在のプレーヤーでは認識できないという。
一方、3層すべてがHD DVD-ROM層となる51GB HD DVD-ROMでは、カッティング行程の改良で、線密度を向上することで1層あたりの記録容量を既存の15GBから17GBまで拡大。再生マージンは既存のHD DVDとほぼ同じだが、層数増加に対応するために、ドライブ側で球面収差補正が必要となるという。 3層Twin Formatについてはすでに規格化が完了。3層51GB HD DVD-ROMは、年内に最終仕様のVer.2.0を策定予定。そのほか、1層HD DVD-R/RWの4倍速対応や、2層HD DVD-R/RW DLの2倍速オプション規格、HD DVD-RAM DLの規格化などを目指す。
HD DVD-Video/VRなどのアプリケーションフォーマットのアップデートについても報告された。 HD DVD-Videoでは、新たに44.1/88.2/176.4kHzのオーディオをサポート。さらに、負荷を軽減したFGT(フィルムグレイン技術)処理の新しい方式を追加したほか、JPEG画像の扱いに制限を加えている。 1080/24pビデオ出力制御情報も追加。そのほか、HD DVD-Videoによるインタラクティブ機能(アドバンスドコンテンツ)についても、以下の修正が加えられた。
既存のHD DVDプレーヤーではHDiを利用したアドバンスドコンテンツ再生やネットワーク対応を必須としているが、さらなる機能強化に向けて「パフォーマンスレベル」という概念を導入し、より高機能なプレーヤーに向けた仕様を策定していくという。 既存のプレーヤーを「パフォーマンスレベル1プレーヤー」と定義。今後のより高機能な「レベル2」のプレーヤーでは、レベル1の全機能に加え、1080/24p出力対応を必須とするほか、オーディオ出力について、アナログ/デジタルのいずれかで5.1chで出力することを必須要件とする。 さらに、レベル1では、128MB以上の記録媒体(Persistent storage)の導入が必須となっているが、レベル2ではより大容量のストレージの対応が必要となる。東芝 デジタルメディアネットワーク社 HD DVD事業統括部 光ディスク開発部の三村英紀参事は、「プレーヤーは今後、パフォーマンスレベル2製品に移っていくと思う」とした。 なお、現在HD DVD-Videoで検討中の議題は、「7.1chオーディオのスピーカーマッピング」や、「映像コンテンツのダウンロード/ディスク記録への規定」などという。
HD DVD-Video Recording(VR)については、レコーダでエンコードされたコンテンツ(Self-encoded)とストリーム録画の2つの録画方式をサポートし、2つの形式を1つのHD DVDディスクに混在可能。Self-encodedコンテンツについては、録画時にHD DVD-Video相当のナビゲーションデータを作成するため、HD DVDプレーヤーで再生可能となる。 HD DVD-VRのアップデートとしては、新たに米国などで採用されているデジタル放送規格ATSCに対応。また、HD DVD-VR記録可能なメディアとして、DVD-R/RW/RAMが追加されている。なお、HD DVD-VRのDVD記録については、原則3倍速以上の記録速度を有したDVDメディアが必要となる。
■ 「HD Rec」搭載機は年末登場へ
また、DVD-R/RW/RAMディスクにHD DVD-Video/VR形式で記録する「HD Rec(High Definition REC)」についても解説された。 MPEG-4 AVC/H.264や、VC-1などの高圧縮フォーマットを用いて、DVD-R/RWなどに記録することで、SD解像度の場合1Mbps程度でDVDビデオ相当の画質が実現できるため、通常の記録時間の長時間化を実現できる。 また、HD解像度の場合、約5~7Mbpsまで圧縮できるため、HD信号を1枚のDVDディスクに約1時間以上記録可能。低価格なDVDディスクをハイビジョンディスクとして活用できる。著作権保護規格としてAACSを採用しているが、日本国内のデジタル放送を既存のCPRM対応DVD-R/RW/RAMディスクで録画可能となる。
ファイルシステムはUDF 2.0(HD DVD-Video形式のDVD-R記録時のみUDF 2.5を利用)。コピープロテクションはAACS。HD RecディスクへのAACSコピー保護については、9月7日付でHD DVD-VRフォーマットについて暫定ライセンスが発行されている。HD DVD-Video形式については後日の正式ライセンスで対応予定。 DVD ForumでHD Recの規格化作業を担当するAH0-16では、「HD Video Player with HD REC」、「DVD Video Player with HD REC」、「HD REC DVD CAMCORDER」という3つの製品ラインを想定している。
最初のHD Video Player with HD RECは、HD DVDのプレーヤー機能のほか、HD Recの録画/再生機能が必須となる。「DVD Video Player with HD REC」はDVDレコーダ/プレーヤにHD RECの録画機能を加えたもの、「HD REC DVD CAMCORDER」はHD RECを採用したビデオカメラとなる。 東芝 上席常務待遇 デジタルメディアネットワーク社主席技監の山田尚志氏は、「低価格なディスクにハイビジョンを記録できるので、小規模の出版など、さまざまな応用ができる。また、コピープロテクションがAACSのため、将来的な配信への活用も期待できる」としており、「今年の年末ぐらいには、搭載製品が出てくるだろう」としている。なお、CEATEC JAPAN 2007会場では、東芝ブースでHD Rec対応のHD DVDレコーダ 3製品を参考出展している。
また、CSSダウンロードについてもコンテンツ業界や、メディアメーカーらがプレゼンテーションを実施。各社の代表によるパネルディスカッションも行なわれた。 □DVD Forumのホームページ ( 2007年10月4日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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