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シャープ株式会社は、業界初となる、中国のデジタル放送規格に準拠したチューナモジュール「VA3C5CZ920」を開発、2008年1月下旬よりサンプル出荷を開始する。サンプル価格は3万円。
中国の地上デジタル放送規格「GB20600-2006」(DTMB)に準拠。高周波ICやOFDM復調ICなどを1パッケージ化している。PDAやポータブルDVD、カーナビなどモバイル機器への搭載を想定している。 特徴は、従来のCANチューナ「VA1TEF1092」に比べ100分の1以下という外形寸法10.7×10.7×1.4mm(縦×横×厚さ)を実現したこと。新開発の高周波ICと、国内のワンセグチューナモジュール開発で培った独自の表面実装技術などにより小型化を実現したという。OFDM復調ICは米Legend Silicon製。消費電力は連続動作時530mWで、「モバイル機器のニーズに対応する低消費電力」としている。
中国方式のDTMBでは、ポータブル/据え置き型受信機を問わず、8MHz帯域において、1チャンネル分でSD/HD解像度のMPEG-2が送信される。会場では、デモとして1,920×1,080ドット/20MbpsのMPEG-2を送信、今回のチューナで受信してPCでデコード/表示していた。 主な供給先は中国のメーカーと、中国に販売する台湾が中心としており、シャープが最終製品を製造するかどうかは未定。 ■ '08年は海外のモバイル市場に期待
今回の小型モジュールを開発した背景について、電子部品事業本部 高周波デバイス事業部の江川龍太郎部長が説明。 「日本ではワンセグ(ISDB-T)が大きく普及したが、ブラジルでも同方式でのモバイル向け放送が'08年春開始が期待される。欧州のDVB-Hも2006年から始まり、遅い地域でも'08年には始まる。中国でも'08年夏の北京オリンピックを目指して試験放送が始まる」と現状を述べた。 今後のモバイルテレビ市場については「今年は世界で受信端末出荷が前年比約4倍の3,700万台、うち約1,910万台がワンセグ(テクノシステムリサーチ調査)というエポックメーキングな年だったが、来年は海外が伸びると期待しており、各地域に向けたモジュール開発が必要」との見方を示した。 中国の市場については「規模は読めない」としながらも「試験放送は北京、上海、香港、深センなど湾岸の大都市圏で開始され、今後も発展するだろう」と見ており、チューナモジュールの量産については「'08年3月末には準備を整えたい」としている。 なお、ワンセグでも普及している携帯電話への採用については、今回のモジュールでは想定していない。理由は主に消費電力の面で、「搭載は可能だが、この段階では(カーナビなどの)モバイル機器端末に軸足を置いたアプリ展開をしようと考えている」とした。携帯電話への搭載に向けては「RF処理のプロセス微細化や、デジタル処理ICの微細化など低消費電力の技術開発を進める」と説明している。
□シャープのホームページ ( 2007年12月4日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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