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ソニー、2007年第3四半期決算を発表。PS3は490万台
-売上高、純利益過去最高。PS3ビジネス大幅改善


大根田伸行 執行役 EVP兼CFO
1月31日発表


2007年第3四半期の決算

 ソニー株式会社は31日、2007年第3四半期の決算を発表。売上高は前年同期比9.6%増の2兆8,590億円、営業利益は同5.8%増の1,894億円、税引前利益が同60.4%増の2,885億円、純利益は同25.2%増で2,002億円となった。売上高、営業収入、税引前利益、純利益は、四半期として過去最高を記録した。


■ 液晶テレビ「BRAVIA」が好調

エレクトロニクス分野の業績

 エレクトロニクス分野全体では、前年同期比10.2%増の二桁成長を遂げ、売上高は2兆694億円となり、こちらも四半期として過去最高。外部顧客向けの売り上げも同14%の増収となった。

 これを牽引したのは、液晶テレビBRAVIAや、PCのVAIO、デジタルカメラのサイバーショットなどだという。液晶テレビについて、同社大根田伸行執行役EVP兼CFOは「上期は商品力が不足し、かなりの赤字を出した。しかし、下期は黒字を達成できた。その理由は商品の数が出たことで、第3四半期を見ると月に120、130万台は売れている。これくらいのレベルを維持すれは、今の価格水準でも利益は出せている」という。

 しかし、上期の損失を補填できるほどではなく、通期では黒字化は難しいという。黒字化の目処としては、「商品力も付いてきたので、来期はさらに販売台数を増やせるだろう。もちろん、S-LCDの第8世代ラインやシャーシの共通化、部品点数の削減など、地道なコストダウンも続け、来期には必ず黒字になると期待している」と語った。

 さらに、既報の通り、3月でリアプロジェクションテレビから撤退し、今後はビジネスとして液晶を中心としながら、有機ELの研究/開発に注力するという方針を改めて発表。有機ELについては「すぐにビジネスに繋がるとは思っていない。黒字化の見込み時期なども現段階では言えない。しかし、エンジニアや製造ラインなどでの努力で日々、歩留まりは改善している」と説明した。

 また、Blu-rayとHD DVDのフォーマット戦争について「ワーナーのBD一本化発表などがあったが、フォーマット戦争に使った金額は?」との問いがあったが、「フォーマット戦争で使った金額についてのコメントは差し控えたい。ただ、ワーナーの件については、“コンシューマのニーズを考えて(BD一本化を)決定したものだ”と我々は考えており、そのように聞いている」と答えた。

 さらに、レコーダなど、BD関連製品の収益性については、「ハード関係は今期かなりの赤字になると見ている。しかし、BDビデオソフトの方では既に利益が出ている。だが、両方を合わせても100億円単位の赤字は出ている」という。黒字化の目処については、「ある程度数が出ないと見込めない。しかし、ソニーはBlu-rayに関するキーデバイスを持っているので、コンテンツと合わせ、出来るだけ早い時期に黒字化を実現したい」とした。

 それ以外の製品では、ポータブルオーディオ機器分野で、ウォークマンの売り上げ台数見通しを、10月時点の500万台から550万台に上方修正。「米国でWindows Media DRMに対応したウォークマンを出したためで、台数増加が期待できる」とした。


■ PS3ビジネス改善も、販売台数見通しは950万台に下方修正

ゲーム分野の業績

 ゲーム分野の売上高は前年同期比31.2%増の5,812億円で、こちらも四半期として過去最高。営業利益も前年同期542億円の損失に対し、129億円の利益を達成した。PLAYSTATION 3のハードウェアが、全世界合計で、前年同期比324万台増となる490万台の売り上げ台数を達成。PS3ビジネスの営業損失が大幅に改善したことが好調の要因であるほか、新型PSPも堅調で、同105万台増の576万台を記録した。一方、PS2は同135万台マイナスとなる540万台で減収。

 ソフトウェアでもPS3は好調で、PS2、およびPSP用ソフトは減収となる中、前年同期比2,070万本増の2,600万本を達成。それにより、ソフトウェア全体でも増収になったという。

 大根田氏は「PS3は新モデルの投入により、プラットフォームの普及が大きく伸びた。ソフト数も全世界で250タイトル、ダウンロードコンテンツも増加し、PS3ならではのエンターテイメントが広がっている」と評価。「今後のビジネスに向けた手ごたえを感じている」とする一方、「それでも上半期の出遅れをカバーできるほどではない」とし、2007年10月に発表した、2007年度の全世界市場販売目標の1,100万台を950万台に下方修正した。PSPについては1,000万台から1,300万台、PS2は1,200万台から1,300万台に上方修正されている。

 なお、損失改善はしたものの、PS3のハードウェアでは依然として、生産コストが販売価格を上回る、いわゆる“逆ざや”状態が続いている。この改善について大根田氏は「今期中は無理だろう」と語り、「その時点で、現在のPS3の価格を維持していることを前提とすれば、来期後半のどこかで、ブレイクイーブンを実現できるのではないかと思う」とした。


■ ヒット作無く、映画分野は減収

ソニー・エリクソンの業績

 携帯電話では、ソニー・エリクソンのウォークマン携帯や、サイバーショット携帯が好調で、販売台数は前年同期比18%増の3,080万台となった。しかし、普及価格帯製品を増やし、平均販売価格を下げ、シェアを拡大するという戦略をとっているため、売上高は前年同期並みの37億7,100万ユーロにとどまった。

 映画分野では、劇場向け、およびテレビ局向けの映画作品の売り上げが減少したことで、前年同期比24.6%減の売上高2,238億円。営業利益も同262億円から132億円へと減少。これには、前年同期に公開され、好調だった「007/カジノ・ロワイヤル」や「幸せのちから」などに匹敵するような作品が、今年は無かったためだという。一方で、DVDビデオに関しては、第3四半期に販売された「スパイダーマン3」と「スーパーバッド」が大きく貢献した。


■ 通期の見通しを修正

2007年度通期の連結業績見通し

 こうした状況を踏まえ、2007年度通期の連結業績見通しを、2007年10月発表のものから修正。売上高は8兆9,800億円で変更は無いが、営業利益を4,500億円から4,100億円へ下方修正。税引前利益も5,000円から4,900億円へマイナス。一方、純利益は3,300億円から3,400億円へとアップしている。

 これについて大根田氏は、「ビジネスのオペレーションとしては、各分野で説明したように好調で、10月時点の見通しを上回っている」と説明。外部環境の悪化が大きな要因であるとした。

 具体的には、第4四半期の前提為替レートを、10月時点の1ドル115円前後、1ユーロ160円前後から、1ドル105円前後、1ユーロ155円前後へと円高方向へ修正したことが影響している。「ドルが10円違うだけで約600億円、ユーロ5円で300億円強は影響がある。サブプライムを起因とする株式市況の変動でも170、80億円利益が飛んでしまったり、ある不動産の売却にも影響したりもしている」と説明。

 こうした外部環境の急変により、全体で10月の時点よりも600億円のマイナスとなるが、見通しよりも好調にビジネスが推移したことで200億円のプラスを当てられ、全体では400億円のマイナス。これが、営業利益の4,500億円から4,100億円へ下方修正に該当するという。

 大根田氏は「4,100億円は、目標としていた営業利益率5%に届かず、4.6%となる。しかし、こうした外部環境の影響が無ければ、5.2%に相当する数値だと考えている」と語り、ビジネス自体は堅調であることをアピール。「今回の見通しも外部環境の影響で、大きく異なる結果になる可能性がある」としながらも、「通期は過去最高の売上高と純利益を達成できる見込み。昨年末の商戦を見る限りでは、消費の冷え込みなど、サブプライムローンがビジネスの面で影響を及ぼしているとは実感していない」と語った。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/index.html
□関連記事
【2007年10月25日】ソニー、2007年度第2四半期決算を発表
-エレクトロニクス好調で、売上は過去最高
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071025/sony.htm

(2008年1月31日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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