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シャープ株式会社は、2007年度第3四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比12.3%増の9,212億円、営業利益は5.5%増の519億円、経常利益は5.6%増の486億円、当期純利益は3.8%増の295億円となった。 「2002年度から四半期ごとの業績を開示して以来、第3四半期の売上高、利益としては過去最高となった。とくに、営業利益は第2四半期と比較してエレクトロニクス機器事業が7割以上の増収、電子部品も3割以上の増収となり、全社でも4割以上の伸びとなっている。営業利益率も第2四半期の4.4%に対し、第3四半期は5.6%となり、第2四半期を底に収益性の改善が図れた」(シャープ 大西徹夫取締役経理本部長)と、第3四半期の業績を評価した。 また、4~12月までの9カ月間の連結業績は、売上高が前年同期比12.1%増の2兆5,620億円、営業利益は6.0%減の1,310億円、経常利益は5.2%減の1,207億円、当期純利益は2.9%減の729億円となった。 「減価償却制度の変更を考慮しない従来ベースで比較すると、営業利益は11.3%増の1,413億円となり、前年実績を上回る。また、第3四半期も同様に従来ベースで比較すると14.3%増の563億円となり、2桁の伸びになる」とした。
■ 液晶テレビは30型以上の構成比が増加。海外市場も好調 セグメント別の第3四半期の業績は、エレクトロニクス機器事業の売上高が、前年同期比8%増の6,154億円。営業利益は3.9%減の220億円。そのうち、AV機器・通信機器事業は、液晶テレビおよびDVDレコーダなどが伸張し、売上高が11.6%増の4,489億円、営業利益が19.3%減の111億円となった。 第3四半期における液晶テレビの販売金額は、前年同期比32%増の2,548億円、出荷台数は42.5%増の258万4,000台。30インチ以上の構成比は、上期の62%から、第3四半期は66%へと増加。40インチ以上は上期の20%から23%へと上昇した。 地域別では、国内は27.1%増の107万6,000台、海外は56.1%増の150万8,000台。そのうち、北米では前年同期比60.4%増の80万5,000台、欧州では21.6%増の46万1,000台、その他地域では184.7%増の24万2,000台になっている。 メキシコ、ポーランドに液晶モジュールからテレビ生産までを行なえる体制を整え、「海外での立ち上げが若干遅れた部分もあるが、年末から正常な形で稼働しはじめた。タイムリーに市場に液晶テレビを供給できる体制が、5極で確立した」として、海外での成長が高い理由を説明した。 また、テレビの大型化の進展に伴い、大型パネルの需給が逼迫しており、これが価格の安定につながっているとしたほか、中国をはじめとするBRICs諸国での需要増大も売り上げ増加に貢献した。 だが、市場価格下落率は、32インチクラスで約15%、それ以上のサイズでは15~20%程度と見ており、「上期および第3四半期の液晶テレビの収益性は、前年に比べて約8割程度に下がっているものの、営業利益率は3%程度で維持できている」などとした。
なお、液晶テレビの4~12月の累計出荷台数は、国内が前年同期比30.6%増の258万1,000台、海外は58.7%増の374万8,000台。そのうち、北米では前年同期比68.6%増の201万6,000台、欧州では22.9%増の120万2,000台、その他地域では181.9%増の53万2,000台。全世界合計では、45.9%増の632万9,000台となっている。 同社では、通期で900万台の出荷、8,500億円の売り上げを目指しており、「液晶テレビの8,500億円の目標については、近い線にいけるだろう。亀山工場の生産能力、コスト力、技術力を背景にAQUOSの拡販を図る一方、有力セットメーカーとのパートナーシップによる外販ビジネスの展開によって収益性の向上に取り組む。業界最薄モデルの投入、環境性能の向上、パーソナルモデルの拡売に取り組む」と語った。
■ 液晶パネルの外販比率は約2割。携帯はトップシェアに 携帯電話の第3四半期の実績は、販売金額が前年同期比2%減の1,581億円、台数では7%減の360万台となった。 国内では、2桁増の伸張となり、「2007年も前年に引き続き国内トップシェアになった模様」としながらも、海外向けの販売台数が減少したことが響いた。 「第4四半期もワンセグ搭載機を中心に高付加価値端末を強化する」と、引き続き高機能モデルによる展開を推進していく姿勢を示した。 電化機器は、電子レンジが前年実績を下回ったものの、除菌イオンを搭載したエアコンが好調となり、売上高が前年同期比0.8%減の595億円、営業利益は19.1%増の7億円。情報機器は、パソコンの出荷台数が減少する一方、通信融合端末や複写機が好調に推移し、売上高が0.1%増の1,069億円、営業利益は19.5%増の101億円となった。 一方、電子部品等の事業セグメントは、売上高が前年同期比18.9%増の4,353億円、営業利益は12.5%増の295億円となった。 そのうち、LSIは、売上高は前年同期比19.5%増の543億円、営業利益は3.8%増の16億円。液晶は、売上高が前年同期比27.0%増の3,066億円、営業利益は27.6%増の244億円。太陽電池などを含むその他電子部品は、売上高が前年同期比6.9%減の743億円、営業利益は37.3%減の34億円。 液晶は亀山第2工場第3期ラインが昨年7月から稼働し、従来に比べて約2倍となる月6万枚のマザーガラスが投入できる増産体制が整ったことで、テレビ用パネルの外販比率が約2割となったこと、さらに、モバイル機器用の中小型液晶パネルが好調に推移し、大幅な増収増益となった。 「テレビ用の外販比率は、今後少しずつ上昇することになる」(大西取締役)とした。 また、太陽電池は、原材料不足が出荷数量に影響しているが、「富山での内製の強化、外部から調達量の増加により、通期の1,500億円の売り上げ達成に向けて取り組んでいる。最終的には近いところに落ち着くことになるだろう」として、第4四半期で巻き返す姿勢を示した。 なお、通期も見通しについては、10月公表値を据え置き、「第4四半期は主力の液晶を中心に利益拡大を図り、営業利益1,900億円をなんとしてでも達成する」とした。 通期の業績予想は、売上高が前年同期比8.7%増の3兆4,000億円、営業利益は1.9%増の1,900億円、経常利益は2.6%増の1,750億円、当期純利益は3.2%増の1,050億円。
□シャープのホームページ ( 2008年2月1日 ) [Reported by 大河原克行]
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