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その年度に最も印象に残る活躍をした声優を対象に、その業績を称える「声優アワード」の授賞式が8日、東京・秋葉原UDXにて行なわれ、主演男優賞を宮野真守さんが、女優賞を平野綾さんがそれぞれ受賞した。
声優アワード実行委員会が主催するもので、2007年度は第2回目となる。一般投票の第一次選考でノミネート者を選び、その後、選考委員会による審議を経て受賞者が決定する。各賞の受賞者は下表の通り。なお、今年から「声優という職業を各メディアを通じて多く広めた人」に贈られる「富山敬賞」が新設された。
以下の特別賞は、実行委員会が長年の功績をもとに推薦した結果を選考委員会で承認する形で決定されている。
主演男優賞に輝いた宮野真守さんは、「DEATH NOTE」アニメ版の夜神月や、ガンダムシリーズ最新作として注目を集める「機動戦士ガンダム00」の主役、刹那・F・セイエイなどを熱演。2006年も出演作品は多いが、2007年はこれまでのイメージとは異なる役にチャレンジし、演技力の幅の広さが評価された。
宮野さんは「選ばれたと聞いた時は実感が無かったのですが、今ここに立って受賞したんだなと実感しました。本当に光栄です。身長ばかりでっかくて未熟な僕ですが、役者としてもでっかくなれるよう、頑張っていきたいです」と喜びを語った。 主演女優賞は、昨年も新人女優賞を獲得している平野綾さん。「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒ役で大ブレイク後も、「DEATH NOTE」の弥海砂や、「らき☆すた」泉こなた役などで活躍。写真集やDVD発売、テレビへの積極的な露出、歌手活動なども行ない、声優という枠に収まらない活動の幅の広さも評価された。 平野さんへは、声優アワード審査委員長の金子満氏が直接トロフィーを授与。ハグまでする祝福ぶりで、平野さんは「この舞台に立つだけで緊張するのですが、今のハグでさらにドキドキしちゃいました」と笑う。受賞については「本当に夢のよう。最初連絡を頂いた時は、お断りしようかと思うくらい慌ててしまいました。幼い頃から役者になりたいと思い続け、21歳になろうとしています。これからどんな作品、どんな役に出会えるのか楽しみです。今後もさらなる高みを目指して頑張ります」と答え、盛大な拍手を受けた。 サブキャラクター賞の小野大輔さんは、「AIR」の国崎往人や「みなみけ」の保坂役など、個性的な役からクールな役まで演じ分ける才能を発揮。「作り手になりたくてテレビやラジオの世界に入っても挫折続きだった自分が、ふとしたことで出会った声優という職業で、こうして賞を頂けて信じられない気持ちです」と声を詰まらせた。 「機動戦士ガンダム00」でクールなティエリア・アーデ役を演じる一方、「さよなら絶望先生」の糸色望役というインパクトの強いキャラを見事に怪演する神谷浩史さんも同賞を受賞。「身に余る光栄。これからも僕はずっと声優です!!」と喜びを爆発させた。 サブキャラクター女優賞は、「ハヤテのごとく!」三千院ナギや、「杓眼のシャナ」シャナ役、「ゼロの使い魔」ルイズ役などで絶大な人気を誇り、ツンデレブームも牽引する釘宮理恵さんが受賞。「私なんかでいいのかしらという気持ちです。沢山の人と出会えたことで、ここに立たせてもらっていると思います。役者として幸せです」と頭を下げた。 同じくサブキャラクター女優賞を受賞したのは「もやしもん」の結城蛍や、「天元突破グレンラガン」のロシウ役などが印象に残る斎賀みつきさん。「私一人で受賞できたのではなく、役との出会いや、作品を手掛けてくれたスタッフのおかげです。ありがとうございました」と笑顔を見せた。 新人賞では、「地球へ…」のサム・ヒューストン役で存在感を示し、「セイント・ビースト」天使ユリ役などで女性ファンのハートも掴む羽多野渉さん。「おおきく振りかぶって」の三橋廉役で注目を集めるほか、「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」の州倭慎吾役など、新人ながら主役を担当し、今後の躍進が期待される代永翼さんが受賞。 新人女優賞では「らき☆すた」柊かがみ役で大ブレイクした加藤英美里さん。雑誌モデルを経て声優になり、「さよなら絶望先生」の木村カエレ役などで、本人のイメージとはまったく異なるエキセントリックなキャラクターを好演した小林ゆうさんが受賞した。
幅広い作品から受賞者が選ばれていると感じる一方、平野綾さんや加藤英美里さんなど、大ヒット作「らき☆すた」のパワーも感じさせる受賞者の顔ぶれ。それを示すかのように、歌唱賞では「らき☆すた」のオープニングであり、CDが初登場オリコン2位を記録し、20万枚以上を出荷するなど、アニソン史上に残るヒットとなった「もってけ! セーラーふく」が受賞した。
ステージには平野綾さん、加藤英美里さん、福原香織さん、遠藤綾さんの全員が登壇し、「このメンバーで受賞できたことを嬉しく思います」と喜びを分かち合った。
■ アニメの海外進出とともに、声優も世界へ…… シナジー賞は、特撮の「仮面ライダー電王」が受賞。同作品は、主人公の良太郎が仮面ライダー電王に変身するのだが、その電王の声や、人間に憑依する怪人の声を声優陣が演じるという、シナジー賞にふさわしい、一風変わった設定になっている。授賞式には関俊彦さん、遊佐浩二さん、てらそままさきさん、鈴村健一さんが登壇。さらに仮面ライダー電王も乱入し、関俊彦さんが彼の動きに合わせて生で声を当てる即興パフォーマンスも披露。会場を大いに沸かせた。 また、新設された富山敬賞は、「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイ役で知られる古谷徹さんが、中国や米国など、海外のイベントに積極的に参加し、国内外で声優という職業の魅力を広めた功績を認められ、受賞。「大先輩の富山敬さんの名に恥じぬよう、これからもアニメや声優の世界に貢献していきたい。声優としても新人に負けないよう、いつの日か“古谷徹賞”ができるように頑張りたい」と語り、大きな拍手を浴びた。 これに合わせて、授賞式の模様がBS11にて記念番組として放送されることも明らかになった。放送はゴールデンウィークが予定されており、3月27日から開催される「東京国際アニメフェア2008」のステージイベントや、受賞者による対談なども合わせて放送されるという。また、東京国際アニメフェア2008では3月30日の15時30分から、声優アワードのステージイベントも開催。こちらでも授賞式の模様が見られるほか、受賞者によるトークショーも予定されている。 なお、授賞式冒頭では、司会を務める文化放送アニメチックアナウンサー・長谷川のび太(長谷川太)氏から、声優の広川太一郎さんが3月3日に亡くなった事が報告された。長谷川アナはロバート・レッドフォードやロジャー・ムーアなどの洋画の吹き替え、「宇宙戦艦ヤマト」の古代守、「ムーミン」のスノーク役など、広川さんが演じた役柄を振り返り「声優業界の礎を築いた先輩の訃報にご冥福をお祈りすると共に、その意志を継ぎ、今後も業界の発展に邁進してまいります」と、参加声優のメッセージを読み上げた。
□東京アニメセンターのホームページ
(2008年3月8日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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