◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
キヤノン、レンズ交換可能な最上位HDVカメラの新モデル
-キットレンズに絞りリング追加。SDI搭載モデルも


XL H1S

5月中旬より順次発売

標準価格:「XL H1S」95万円
     「XL H1A」70万円


XL H1Sキット内容
 キヤノン株式会社は、レンズ交換式のHDVカメラ「XL H1S」と「XL H1A」を5月中旬より順次発売する。発売時期はHD/SD-SDI、TC-IN/OUT、GEN-LOCK端子を備えるXL H1Sが5月中旬、それらを省いたXL H1Aが6月下旬。両モデルとも、新開発のHDビデオレンズ「20倍ズーム XL 5.4-108mm L IS III」がセットになっており、価格はXL H1Sが95万円、XL H1Aが70万円。なお、ボディのみの販売は予定されていない。

 XL H1S/H1Aは、同社が2005年11月に発売した、同社独自の「XLマウント」レンズ交換式HDVカメラ「XL H1」の後継機。H1SとH1Aの違いは、H1SにのみHD/SD-SDI、TC-IN/OUT、GEN-LOCK端子を備えることのみで、それ以外の仕様は同じ。H1SのSDI端子は、非圧縮の映像と同時に音声とタイムコード(LTC)も伝送できるEmbedded Audio/TCに対応している。

 撮像素子や、映像エンジンなどはXL H1から変更なく、1/3型総画素数約167万画素CCDを使った3板式、映像エンジン「DIGIC DV II」を搭載する。有効画素数はHDVとSDワイドモードで約156万画素、SDの4:3モ-ドで約117万画素。水平解像度約800本を実現している。

 従来どおりHDV規格の24F/30F記録に対応し、HDV記録、DV記録の標準モード/ワイドTVモードのいずれの記録形式でも、通常の撮影モードの60iに加え、24Fモードと30Fモードの3種類の撮影モードから選ぶことが可能となっている。なお、音声については従来の4ch対応から、2chに変更されている。

「XL H1S」(左)と「XL H1A」(右)の違いは、H1SにのみHD/SD-SDI、TC-IN/OUT、GEN-LOCK端子を備えることのみ

XL 5.4-108mm L IS III
 新開発レンズの「XL 5.4-108mm L IS III」(35mm判換算 16:9時38.9~778mm、4:3時47.7~954mm)は、従来の「XL 5.4-108mm L IS II」(同)同様に蛍石レンズや光学式手ブレ補正機能を備えるほか、新たに絞りリングを搭載。ズーム中のフォーカスも可能になった。

 また誤操作防止のためズーム、フォーカス、絞りの各リングの形状に差をつけ、リング間にも大きな段差が設けられている。さらに、レンズ先端が光沢感のあるブラックとなり、Lレンズを示すレッドラインも、より鮮やかな色となった。

 ボディ、本体ともにH1から画質面での大きな変更はないが、「XH H1/G1/A1ユーザーや、プロユーザーの要望に応え、絞りリングの搭載をはじめとする操作性の改善や、画質や機能などを細かく設定できるカスタマイズ機能の拡充した」(同社)としている。

 ズームスピードについては可変領域が約1.2秒~約5分と、従来の約3.5秒~約1分よりも最高速がより速く、最低速がより遅くなった。さらに、ズームキー操作時の動き始めと止まり際に加速度/減速度を持たせ、自然なズーム映像の撮影を可能にした。また、ズームリング操作時のリング回転角を約90度/60度/45度の3段階に設定できるほか、フォーカスリングについても敏感度を3段階に設定可能となっている。

ダイヤルの配置も見直され、電源OFFの隣にMモードが配された。突然の撮影チャンスでも、ダイヤルを見ずにマニュアルモードに切り替えられる(左)。そのほかにも、シャッター速度スイッチ部のデザインも改良されるなど、細かな改善が施されている(右)

 カスタムプリセットは本体に9セット、メモリーカードに20セットまで登録可能。項目数や調整範囲が従来モデルより増加したが、XL H1/XH G1/XH A1で登録したカスタムプリセットファイルをそのまま使用することもできる。その場合は調整幅が広がった項目は自動変換され、より詳細なチューニングを加えた新たなプリセットファイルを作ることが可能。

 ゲイン調整についても、上限が従来の18dBから、36dBに引き上げられたほか、ゲインファインチューニング機能で0dBから18dBまで0.5dB刻みで微細な調整が可能になった。ホワイトバランス色温度設定の設定領域も、従来の2,800K~12,000Kから、2,000K~15,000Kに拡大されている。

 「セレクティブNR」では、ブルーバック、グリーンバック撮影後の合成作業に便利なように、色相、クロマ、エリア、Yレベルを調整して、画面上のブルーからグリーンの領域を選択し、ノイズリダクションがかけられるようになった。

 フォーカスアシスト機能としては、ファインダー内でピーキングの強調する線の太さや濃さを(周波数/ゲイン)の調整が可能になり、2種類の設定値をカメラに保存でき、PEAKINGボタンでワンタッチで切り替えられる。

 そのほかにも、本体左側面のMAGNIFYINGボタンの機能を本体上部のPHOTOボタンに割り当てられ、右手でも操作可能になったほか、外部モニター接続用のケーブル(D1端子)が付属するなど、フォーカス支援機能が充実した。

 背面には従来同様、+48Vファンタム電源供給に対応したXLR端子2系統を装備し、CH1、CH2独立でマイクレベル-60dBu、ラインレベル+4dBuの設定できる。新たに、XLRマイクとXLRライン、フロントマイクとXLRラインの同時記録にも対応した。

 端子では、i.LINK(HDV/DVD)端子が従来の4ピンから6ピンに、ヘッドフォン端子も樹脂製から金属性に変更され、堅牢性が向上した。また、大ネジに対応した三脚ベースが付属し、三脚取り付け部を交換することで、大ネジ三脚を使用することが可能になった。

i.LINK(HDV/DV)端子が4ピンから6ピンに、ヘッドフォン端子が樹脂製から金属性に変更された 標準三脚ベース(左)を、付属の大ネジ対応三脚ベース(右)と交換可能

 そのほかにも、今まで、少絞り回折をさけるためF9.5以上になるとCLOSEになる「絞り制限」が搭載されていたが、この機能をOFFにできるようになり、F9.5からCLOSEまで多段階に絞れるようになったほか、誤操作を防ぐため、撮影に関するボタンを長押し操作に設定できるようになるなど、使い勝手の向上が図られている。

 液晶ファインダーは変更なく、前後左右に調整できるモニター兼用のワイド2.4型約21.5万画素液晶。ファインダー内にセンターマーカー、水平マーカー、セーフティーゾーン、アスペクトマーカーといった指標を表示することができる。

 本体にはSD/MMCカードスロットを備え、静止画の記録解像度は1,920×1,080/1,440×1,080/848×480/640×480ドット。1,920×1,080ドットで約5枚/秒、連続30枚の撮影が行なえる。

 本体の外形寸法は約226×496×220mm(幅×奥行き×高さ)でH1から変更ないが、重量は本体のみでH1Sが約2,560g(ファインダーユニット、同梱マイク装着時)、H1Aが約2,500g(同)と、H1の約2,435gから少し重くなっている。

 また5月中旬の発売に向けて、「プレビューイベント」が5月16日に南青山で開催される。生バンドを被写体としたXL H1S、XL H1Aの実写体験や、SDI出力を用いたグリーンバック撮影の実演などが行なわれる予定。参加は無料だが、事前申し込みが必要で、4月23日より申し込み受付を開始する。

XL H1S



□キヤノンのホームページ
http://canon.jp/
□ニュースリリース
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2008-04/pr-xlh1s.html
□製品情報
http://cweb.canon.jp/prodv/lineup/xlh1s/index.html
□プレビューイベント情報
http://cweb.canon.jp/prodv/special/event.html
□関連記事
【2006年10月25日】【EZ】コンパクトなプロフェッショナル機「キヤノン XH A1」
~ 十分な実力を備えながら小回りの利くHDV機 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061025/zooma277.htm
【2006年7月26日】キヤノン、レンズ一体型HDVカメラ「XH G1/A1」
-絞りリング装備のビデオLレンズ。HD-SDIも搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060726/canon1.htm
【2006年2月8日】【EZ】HDVカメラの最高峰、キヤノン「XL H1」
~ 100万円HDVカメラの実力を検証 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060208/zooma243.htm
【2005年9月15日】キヤノン、1/3型167万画素3CCDのHDVカメラ「XL H1」
-同社初のHDV機。20倍ズームレンズ付きで100万円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050915/canon.htm

( 2008年4月10日 )

[AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.