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フラットパネルディスプレイ関連の展示会「第4回国際フラットパネルディスプレイ展(Display 2008)」が16日、東京ビックサイトで開幕した。会期は4月16日から18日まで。 液晶やPDP、有機ELなど、フラットパネルディスプレイ関連技術や、新製品などを展示するイベント。研究開発・製造技術展の「ファインテック・ジャパン」や「部品・材料EXPO」も併催されている。2008年の合計出展社数は686社。 ■ ソニー
液晶テレビ「BRAVIAシリーズ」や有機EL技術を中心にブース展開している。 2007年12月発売の世界初有機ELテレビ「XEL-1」に加え、薄さ約0.3mmの11型有機ELパネルの技術展示を行なっている。XEL-1のディスプレイ部は厚さ3mmで、パネルそのものは1.4mm厚のものを採用していた。 今回の0.3mmパネルは、パネル解像度960×540ドットで、有機EL画素やTFT基板、カラーフィルタなどの基本構造や仕様はXEL-1のパネルと同じものという。ただし、発光層やTFT基板を挟んでいるガラス基板を後工程で大幅に薄型化している。 ガラス基板を薄型化したため、パネルの剛性は落ちてしまう。今回の展示パネルも、XEL-1のパネルよりも輸送時やセットへの組み込み時での破損が起きやすいため、すぐに製品化できるというものではないという。「有機ELの薄型の可能性を提示するものという位置づけ」としている。 また、3.5型/320×220ドットで、薄さ0.2mmの有機ELパネルを参考出展。こちらも試作パネルをベースに、後行程で薄型化したもの。製品化の予定は未定としている。
また、27型/1,920×1,080ドットのフルHD 有機ELディスプレイも参考出展している。CEATEC JAPAN 2007の展示機とパネルそのものは共通だが、スタンドなどのデザインを変更している。 11型とは製造方法が大きく異なることもあり、量産時期などは未定。XEL-1の11型パネルではTFT基板に低温ポリシリコンを採用しているが、27型ではマイクロシリコンを採用。さらに、蒸着方式も11型ではメタルマスク方式だが、27型ではレーザーを採用するなど、製造工程は大幅に異なっている。そのため、製品化時には大規模な設備投資などが必要で、製品化の計画などは未定としている。
■ 松下電器
1月の2008 International CESで発表した150型プラズマディスプレイなどを出展している。発売時期や価格は未定。 150型PDPは、国内の展示会では初披露。解像度は4,096×2,160ドットで、デジタルシネマでも利用できる。大型化/高精細化を実現した技術として発光効率を向上した「Neo PDP」技術もアピールしている。 NeoPDPは、新蛍光体の開発や新セル構造の導入、新駆動方式の採用などで発光効率を大幅に高めたという同社の新PDP技術。NeoPDPの技術の一部は、4月より発売している新VIERAシリーズに導入されている。NeoPDPにより、既存製品の約2倍の発光効率を実現したため、同一輝度で半分の消費電力に抑えられるなど、省エネ性能も訴えている。
厚さ24.7mmの50型/1,920×1,080ドットプラズマディスプレイも出展。最厚部でも24.7mmで「1インチ(25.4mm)以下のフルフラット」、と薄型技術をアピールしている。
■ ビクター
39mm厚の欧州市場向け液晶テレビを参考出展。46型の「LT-46DS9」と、42型「LT-42DS9」を展示している。パネルはともにフルHDで、42型は欧州で販売中。価格は1,799~1,899ユーロ。 チューナ内蔵モデルとしては最薄というデザイン性やインテリア性が、欧州市場では評価が高く、販売店などでも好評という。なお、日本市場においても、倍速対応として今夏の発売を計画を予定していたが、16日には日本市場からの撤退が報道されている。同社広報部でも「現時点では日本での発売は未定」としている。
また、通常の2D映像を、リアルタイム信号処理で3D化する変換技術のデモも行なっている。 左右の目で見る際のものの位置の差(視差)を利用した3D技術で、「遠近法的なシーン構造推定と視覚心理学的知見を融合した」という独自のアルゴリズムを開発。テレビに偏光フィルタを貼付し、専用ハードウェアでコンテンツをリアルタイムで3D化。テレビに表示された映像を、専用メガネを使って3Dで鑑賞できる。 今回のデモでは、FPGAに同アルゴリズムを組み込んだハードウェアを利用し、720pのMPEG-2映像をリアルタイムで変換。480i/p、720p、1080i映像の入力に対応しており、3D化による遅延も数msに抑えているという。なお、3D化にあたり、左目、右目用の映像を別々に順次走査していくため、縦方向の解像度は半分となる。
■ SeeRealが3Dホログラム技術をデモ
ビクターのほか数社が3D技術について説明を行なっている。 人気を集めていたのが、SeeReal Technologiesの20型の3Dホログラフィディスプレイで、デモには長蛇の列ができていた。 表示デバイスには液晶を採用。従来のホログラム方式では、ディスプレイの解像度不足とデータ処理能力の不足により、コンシューマ向けのホログラムディスプレイを実現できなかった。 SeeRealの技術では、人の目に見える部分以外の映像データを制限する「ビューウィンドウ・トラッキング」技術により、ピクセルピッチ/解像度を確保。さらに、サブホログラム技術の導入により、ホログラグラフィック3D生成時の演算量を大幅に削減。一般的なPCでも3D映像を生成可能とした。 ブースでは、PCサーバーを用いて、3Dホログラムをリアルタイムに移動したり、回転させるデモを実施。また、3Dにオーサリングしたビデオコンテンツの再生デモも行なわれた。なお、デモ機で生成したホログラムは赤色の単色。モノクロ液晶では応答速度が足りず、また、カラーフィルタを追加するには輝度が不十分ため、赤色単色でのデモとなっているという。
■ その他
また、裸眼立体視が可能な3Dディスプレイを「NEWSIGHT」が出展している。57/42型フルHDモデルなどを用意し、おもに公共広告用として展開していく方針という。 その他、電子ペーパーや中小型液晶などの展示が多く行なわれている。なお、併催の「ファインテック・ジャパン」では、FPDの製造装置や原材料などを中心に、多くの企業が展示を行なっている。
□Display 2008のホームページ ( 2008年4月15日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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