|
株式会社東芝のDVD/HDDレコーダ「VARDIA」新モデル「RD-S502」と「RD-S302」が6月30日にアップデート。DVDオンデマンドサービス「DVD Burning」に対応した。
DVD Burningは、2007年9月よりKDDIが、PC向けにスタートさせている動画配信サービス。ネットワーク経由で映像を配信し、それをユーザーがDVDメディアにライティングすることで、市販のDVDビデオのようなディスクを作成できるというもの。 RD-S502/S302は、レコーダとして初めてこのサービスに対応しており、レコーダからDVD Burningのサーバーへアクセス。そのまま動画をダウンロードし、メディアへのライティングまでPCレスで行なえるのが特徴となっている。
そこで、編集部にある「S502」をアップデート。サービスを体験してみたので、そのインプレッションをお届けしたい。
□関連記事
■ 利用にはPCが必須 DVD Burningは、RD-S502/S302の「番組ナビ」画面からアクセスする。ファームウェアをアップデートすると、「DVDBB」(DVD Burning)というコーナーが新設されている。ここを選択すると、DVDBBサービスの説明などが書かれたページへ飛び、そこから「DVD Burning」ボタンを選択すると、サービス画面に入ることができる。 ログインするためにIDとパスワードが必要で、これらを取得するための会員登録を行なわなければならない。だが、レコーダから直接会員登録はできず、パソコンでPC用サイトにアクセスして取得する必要がある。 PC用ページから会員登録を行なう際に、「DVDレコーダ使用」という項目を選ぶと、DVDレコーダで使用するためのIDが、PC用ID(メールアドレス)とは別に発行される。これは数字のみで構成されるIDで、レコーダ用のパスワードもPC用とは別に数字のみで指定する必要がある。
ID/パスワードともに数字になっているのは、文字入力のしにくいレコーダのリモコンで、手軽にアクセスしてもらおうという配慮なのだろう。決済に必要なクレジットカード情報などはPC向け会員登録時に行なうことで、レコーダ用の数字IDと紐付けされ、レコーダで有料コンテンツを買うと、PC用アカウント情報を使って支払いが行なわれる。リモコンでアルファベットや日本語を入力をするのは面倒なのでPCで代行できるのは便利だが、利用に必ずPCが必要というのは1つのハードルとも言える。
なお、既にPC用アカウントを取得している場合は、レコーダ用のIDを新たに追加取得できる。ユーザーIDは最大3個までレコーダに保存でき、リモコンの左右ボタンで切り替え可能。パスワードはアクセスする都度入力する必要がある。
■ リモコンを使った検索を補助する機能を用意 トップメニューには、ジャンルやタイトル名などからコンテンツを探すコーナー、無料でダウンロードできるお試し商品のコーナー、「新着・特集・キャンペーン」、「売れ筋トップ30」などのコーナーを用意。DVD未発売のコンテンツ、ワーナーがDVDの発売と同時に配信したコンテンツなどもある。また、サービス開始を記念したキャンペーンなども用意されている。 検索機能でユニークなのは「DVDナンバーで探す」というもの。PC用のDVD Burningページには、タイトルごとに固有のDVDナンバーが割り当てられており、このナンバーをレコーダに入力すると、そのタイトルにダイレクトにアクセスできる。前述のID登録と合わせて、PCとの連携に強いVARDIAならではの機能と言えるだろう。 価格は洋画の「アイ・アム・レジェンド」が2,890円、「暴走特急」が1,290円。アニメの「SoltyRei」第1巻(2話収録)が1,750円(2巻以降は3,000円)、グラビアの「digi+KISHIN 001 小島可奈子」が3,990円など。 各コンテンツの詳細に入ると、静止画を数枚使った作品内容紹介ページが表示される。ただし、コンテンツを一覧で検索している際は文字情報のみが表示され、サムネイル画像などは出てこない。一画面に表示される情報量は多いのだが、コンテンツ購入のGUIとしてはいささか寂しい。サムネイルを交えた表示モードも用意して欲しいところだ。
ダウンロードしたいコンテンツを選び、「焼き込み」を選択すると、ライティングが可能。対応メディアはCPRM対応のDVD-RW/RAMディスクのみで、VRモードでの記録となる。26分のアニメ1話を5倍速記録対応のDVD-RAMにライティングしたところ、約24分で完了した。ダウンロードの進行状況は、レコーダの表示ドライブを「DVD」に切り替えることで、画面下部に表示される。 コンテンツ保護を強固に行なうため、HDDにダウンロードコンテンツをキャッシュせず、直接DVDに書き込みを行なっているのが特徴。作成したディスクは、CPRM/VRモード対応のDVDプレーヤーなどで再生可能。テストしたアニメではトップメニューなどは表示されなかったが、オープニング、Aパート、Bパート、エンディングなどの間にチャプタが打たれていた。なお、DVD Burningでは2層のDVD-RWには対応してしないため、元が2層の映画DVDなどでは、作成したディスクの方がビットレートは低くなる。 また、メディアの容量が余っていたとしても、複数のコンテンツを1枚のメディアに一緒にライティングすることはできない。ライティング後のメディアにはプロテクトがかけられているため、追記することはできず、新たなコンテンツを書き込むためには一度ディスクを初期化する必要がある。
ダウンロード&書き込み中は、HDDに録画済みのコンテンツ再生は可能だが、それ以外の編集やEPG表示、「番組ナビ」の表示などは行なえない。クイックメニューから「ダウンロード中止」をすることは可能。その場合、有料コンテンツであればDVD Burningの「焼き込み待ち一覧」から、購入済みだかライティングが終了していないタイトルを選び、レジュームダウンロード&書き込みが続けられる。
また、書き込み中に予約録画がスタートすると、録画が優先され、書き込みは中断される。間もなく予約録画が開始する場合には、書き込みをスタートさせる際に「間もなく予約録画が始まるので書き込めません」というエラーメッセージが表示される。作業中に予約録画ができないのであれば、DVD Burningのダウンロード&ライティングを夜中などに予約動作させられる機能は欲しいところ。
■ まとめ レコーダのみで市販DVDビデオのようなコンテンツが、購入、ダウンロード、ライティングできるという機能は、ポータブルDVDプレーヤーなど、DVDディスクを様々な場所で再生したいというユーザーにとっては利用価値が高いと言える。レンタルDVDのような気軽さで、家にいながらコンテンツを購入でき、しかもディスクを返却しなくても良く、再生期間制限も無いソフトが手元に残るというのは大きな魅力だ。ただ、市販のDVDビデオとは異なり、作成されるディスクはVRモード/CPRMでライティングされているため、対応している機器でなければ再生できないのには注意が必要だ。 今回のように“レコーダで対応する意味”を考えると、IDの登録の段階からPCが必要なこともあり、「検索もライティングもPCでやってしまえばいいのでは?」という考えがよぎる。PCレスで完結するというソリューションを活かし、PCにあまり詳しくないユーザーが好きなDVDを作成できるのが最大のポイントと言える。今後はそうしたライトユーザーが好むコンテンツがどれだけ揃えられるかが鍵と言えるだろう。 また、“DVDビデオ形式のディスクとして完成させる意味があるのか?”という疑問もつきまとう。確かにポータブルDVDプレーヤーやノートPCなど、他の機器でも手軽に再生できるは良いポイントだが、そうした機器を使いこなすユーザーが、“PCレスのDVDレコーダでDVD Burningを使いたい”というユーザー層と重なっていないように感じるためだ。
ライトユーザーに訴求するという意味では、そのコンテンツを再生するために必ずDVDにライティングしなければならないというのは1つのハードル。購入後にコンテンツをストリーミング再生、もしくはHDDに保存再生でき、気に入ったらDVDビデオとして書き出せる……というのが理想的な形態だろう。
□東芝のホームページ
(2008年6月30日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|