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7月19日から、全国全店舗、1,339店においてBlu-ray Discのレンタルサービスを開始する株式会社TSUTAYA。その全国展開に先立つ17日、東京・渋谷のSHIBUYA TSUTAYAにおいて一足先に全国展開用のBDレンタル棚が導入された。その様子とともに、全国展開に掛ける意気込みを伺った。
TSUTAYAでは3月19日から、Blu-ray DiscのレンタルサービスをSHIBUYA TSUTAYAや赤坂店、大阪のEBISUBASHI店、札幌琴似店など、全国主要都市10店舗で実施。宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」でもサービスを開始し、「夏までに全店舗での取扱いを目指す」と説明。そして、予定通りの全国展開スタートとなる。
3月からのBDレンタルには、マーケティングリサーチ的な意味合いも含まれていた。しかし、そこから得られた各店での反響は、TSUTAYA側の予想を上回る大きさだったという。「実施した10店舗のいずれでも、ユーザーさんからの反響は大きく、本数によって異なるのですがDVDを超える回転率も記録しました」と語るのは同社コミュニケーション推進室 広報チームの滝口彰氏。
「実施した10店舗は、札幌から福岡まで全国に広がっていますが、地域差も少なく、いずれの店舗でも好感触が得られました。これには、Blu-rayの再生機のメインが、3月の時点ではPLAYSTATION 3だったという事も関係していると考えています。ゲーム機の普及に地域差はあまりありませんから」と、滝口氏は分析する。
全国展開のスタートを7月19日と定めた背景には、再生機のメインがPS3から、レコーダにシフトしていくのではないかという予測もある。「2011年の地上デジタル放送への完全移行を前に、薄型テレビの普及が進み、高画質を楽しむ環境やニーズは増えています。また、今年は北京オリンピックもあり、BDレコーダの普及も増加しています」(滝口氏)。夏期シーズンはレンタル需要が伸びる時期でもあり、先行する各店舗からの反響も加味し、7月開始という判断になったようだ。
■ BDレンタル棚が側面から正面へと移動 3月の開始時、10店舗に設置されたBDレンタル棚は、DVD用の長い棚の側面に用意された。しかし、全国展開に合わせてBDコーナーのスペースも拡大。側面から、正面の棚へと移動し、棚の1ブロックを占めるようになった。品揃えは店舗によって異なるが、BDコーナーの基本的なスペースは全店舗このサイズになるという。
価格は店舗側が決定するため、店舗によって異なる。「立地や競合店の有無などによって変わってきます。本部から推奨しているのは、DVDの価格に50円プラスする程度」(滝口氏)。ちなみにSHIBUYA TSUTAYAでは、新作が当日で470円、2泊3日で620円、7泊8日で750円。準新作は2泊3日まで新作と同じで、7泊8日が620円。一般は当日470円、7泊8日までは一律520円となる。DVD/VHSの新作は当日370円、2泊3日470円、7泊8日で650円のため、BDレンタルは約100円高価な設定になっている。(価格は、すべて7月17日時点)
ラインナップは下図の通り。7月19日の時点で「ハリー・ポッター」などワーナーの51作品をラインナップ。その後、7月25日にバンダイビジュアルのアニメなど10作品、8月6日にはSPEのタイトルも導入され、8月20日の時点で合計90タイトルが予定されている。
気になるのは、BDビデオのレンタル版をリリースしている、ディズニーと20世紀フォックスのタイトルが含まれていないこと。滝口氏によれば「導入に向けて調整をしている段階で、それが済み次第、順次ラインナップしていく」という。8月以降もラインナップの継続的な拡充を予定しており「我々のスタンスとしては、1日でも早く、1本でも多くラインナップしたいという気持ちです」。
■ メーカーや家電量販店との連携も 既報の通り、全国展開を記念し、関連会社のCCCコミュニケーションズとソニーマーケティングが共同でキャンペーンを実施する。7月19日~9月19日までの期間中、ソニーのBDレコーダ「BDZ-X90/A70/L70/T90/T70/T50」のいずれかを購入すると、抽選で200人に5,000円のギフトカードが当たるというもの。さらに、TSUTAYAでBD、もしくはDVDを同時に3本レンタルすると、抽選で500人にT-POINTが1,000ポイントプレゼントされる。
BDレンタルコーナーには、キャンペーンの告知用パンフレットが設置されている。このパンフレットは家電量販店などのBDレコーダ売り場にもそのまま設置される。「今回の発表前に、家電量販店の広報の方から“BDレンタルの全国展開はいつから開始するのか?”という問い合わせを良く頂きました。理由を聞いてみると、売り場でお客さんにBDレコーダを販売する際、“お近くのTSUTAYAでもBDレンタルが始まりますよ”と言いたいから、という返答だった」(滝口氏)という。 今回のソニー製BDレコーダとのキャンペーンにより、BDをキッカケにして“家電量販店からTSUTAYAへ”という新規ユーザー獲得の道筋も見え始めている。メーカーとの連携も検討しており、現在のところ具体的な予定は無いが「BD関連機器をTSUTAYAの店頭で紹介/販売することも、チャンスがあれば取り組んでみたい」とのこと。イメージとしては、量販店でメインに扱っている機器をそのまま売るのではなく、TSUTAYAの特性を活かし「ポータブルBDプレーヤーなど、より身近なモノが登場したら検討したい」という。
BDセルソフトのラインナップ拡充は進んでいるが、DVDビデオと比べると、4,980円程度が標準価格であり、まだまだ高価だ。その点で、気軽に高画質なBDソフトが楽しめるレンタルサービスは、BDの普及にとって欠かせない要素。オリンピック前という重要な時期に、業界最大手のTSUTAYAがいち早くレンタルの全国展開をスタートさせることは、今後のBD市場の拡大に大きなプラスとなるだろう。
□TSUTAYAのホームページ
(2008年7月17日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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