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ソニーは、新映像エンジン「CREAS(クリアス)」を搭載し、表示画質を向上した新「ブルーレイレコーダ」6モデルを9月27日より発売する。価格はオープンプライス。 最上位モデルのBDZ-X95/X100では、高画質化技術DRC-MFの最新バージョン「DRC-MFv3」も搭載。また、Xシリーズのみ2系統のHDMI端子を備えており、プロジェクタやテレビなどに映像出力できる。
■ AVC録画の長時間モードを追加。1920記録も可能に
最上位モデルのBDZ-X100は、シリーズで初めて1TBのHDDを搭載。また、L55とT55以外の4モデルでは、地上/BS/110度CSデジタルダブルチューナ構成となる。アナログチューナは1系統。 2007年発売の従来モデルと同様に、デジタル放送番組をより圧縮率の高いMPEG-4 AVC/H.264形式で録画/ダビングできる「たっぷりハイビジョン録画」機能を搭載。新たにAVCの1,920×1,080ドット記録に対応し、記録プロファイルもHigh Profileに変更(従来は1,440×1,080ドット/Main Profile)。より高画質化を実現したという。 MPEG-2 TSの放送波をストリーム録画する「DR」モードのほか、AVC録画のXR/XSR/SR/LSR/LR/ERの各モードを装備。これは従来モデルと共通だが、4Mbps相当のLSRモードでも1,440×1,080ドットのハイビジョン録画に対応した(従来はSD解像度)。さらに、約6MbpsだったLSRの記録ビットレートを約5Mbpsに変更。2層BD-R/REへのHD映像の録画時間を最大約18時間まで拡大した。
デジタルWチューナモデルでは、デジタル放送の2番組同時録画が可能。AVC変換録画対応は1系統(録画1)で、もう1系統(録画2)はDRモード専用。CMやシーンの切れ目で、自動的にチャプタを付与する「おまかせチャプタ」は録画1利用時のみ、適用される。なお録画中は、BDビデオの再生ができないほか、「録画2」で録画中は編集や書き出しなどもできない。基本的な録画機能については、従来モデルから大きな変更はないが、高速ダビング中に録画予約ができるなど、若干の機能改善も図られている。 GUIは同社独自のXMB(クロスメディアバー)。「番組追跡録画」や「スポーツ延長対応」機能などの録画機能を搭載。興味あるジャンルやタレントの名前を登録して条件にあった番組を同録画する「x-おまかせ・まる録」や、外出から携帯電話で録画予約できる「リモート録画予約」も搭載している。
予約関連で最大の変更点といえるのが、「x-みどころマガジン」の採用。これはEPGの情報をレコーダが分析して、話題のテーマを「テレビ雑誌風」に特集するもの。スポーツや、お正月など時節のイベント、新番組/最終回などのテーマごとにレコーダ側で自動的に特集画面を生成。ユーザーに世間で話題の番組を知らせてくれる。 従来の「x-おまかせ・まる録」などはユーザーの嗜好性を学習して、趣味/嗜好にあった番組を録りためる機能だった。対して、x-みどころマガジンは、世間の話題や流行を確認、発見するための機能として提案されている。 なお、x-みどころマガジンは、毎晩深夜に生成される。当日と、8日後の番組テーマの変化率などで分析。番組表情報に頻出するキーワードなどから、注目の番組を割り出して、ユーザーに知らせてくれる。
BDドライブはBD-R/REとDVD±R/RWの記録に対応。2層ディスクへの記録に対応し、BD-Rは6倍速メディアにも対応しているが、書き込み速度は4倍速までとなる。新たに「連続ドラマ一括ダビング」機能も搭載。毎週予約などで録画した番組を自動的に専用フォルダに分類。それらの番組を一括してダビングできる。
■ 新エンジン「CREAS」を搭載。上位機にDRC-MFv3搭載
新ブルーレイレコーダの最大の特徴ともいえるのが、画質の向上。全モデルで、新開発の高画質化回路「CREAS(クリアス)」を搭載した。 CREASは「HDMIで接続したすべてのハイビジョンテレビで、どんなコンテンツでも高画質映像を楽しめる」をコンセプトに開発。高階調映像を生成し、色合いをよりなめらかに表現するという「HD Realitiy Enhancer」と、ビット拡張/出力技術「Super Bit Mapping for Video(SBM)」の2つの機能を内蔵している。 なお、CREASによる高画質化処理は、出力先のディスプレイの情報を取得する必要があるため、HDMIでの接続時に効果を発揮する。
HD Reality Enhancerは、まず通常8bitの入力信号を64倍の14bitに拡張し、自然かつ階調表現に優れた映像を生成。その映像に対し、MPEG圧縮時などに埋もれてしまったディティールを復元するエンハンス処理を1画素単位で適用することで、「なめらか、かつくっきり」な映像を実現するという。 同技術では、シーン適応型の特徴点解析アルゴリズムを導入。黒帯などは処理を行なわず、人の肌はエンハンスを抑え、滑らかさを表現、輪郭部には鮮鋭感や立体感を出すなど、画面の特徴に応じた処理を行ない、画質の向上を図る。 14bitで映像を処理しても、出力先のテレビは各色8bitないしは10bitまでの信号にしか対応しない。そのため、Super Bit Mapping技術により、独自の信号処理を加え、擬似的な14bit信号として出力。これにより、高い階調性を維持したままテレビなどに出力できるという。
加えて、最上位シリーズのX系(BDZ-X95/X100)では、ソニー独自の高画質処理技術「DRC-MFv3」も導入。最新バージョンのv3では、IP変換性能の向上による、ちらつきやジャギーの低減、輪郭に生じるリンギングの抑制、MPEGの動きノイズ削減、ディティール感の向上などを図っている。 さらに従来は1080iまでの映像入力の対応となっていたが、新たに1080pの映像に対応。60p/24pの映像処理/出力も可能となり、ハイビジョン映像でも「より実際の質感、精細感に近い映像表現が可能」とする。
■ Xは2系統HDMI。LはAVCHDカム連携などシリーズの特徴を訴求
HDMI出力を装備し、Xシリーズは1080p(60p/24p)、その他のシリーズは1080iと1080/24pまでの出力に対応する。Xシリーズでは、HDMIの音声出力時にジッタノイズを低減するシステムも導入。時間軸方向の乱れを低減し、伝送時のノイズも低減するという。さらに、アナログ回路を独立させ、デジタルノイズの混入を防ぎ、D/A変換直前にジッタを除去する「ジッタ・エリミネーション回路」も用意する。 BDビデオの再生が可能で、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのビットストリーム音声出力が可能。さらに、新たにネットワーク経由で予告編や追加コンテンツなどをダウンロード可能なBD-LIVEに対応した。
Xシリーズは、シアター向けというフラッグシップモデル。全モデルにHDMI出力を装備するが、Xシリーズでは、2系統のHDMI出力を装備。プロジェクタとテレビなど、複数のHDMI機器と接続できる。ただし、2系統の同時出力には対応せず、映像/音声の分離出力にも非対応となる。 また、デジタル/アナログの映像/音声基板をそれぞれ別基板とし、アナログ出力部の画質向上も実現。さらにデジタル部も、Xシリーズ専用の基板を内蔵するなど画質/音質の向上を図っている。筐体の厚みもL/Tシリーズより厚くなっているほか、天板も厚さ4mmのアルミ素材を採用し、振動による悪影響を抑制。側板も外部振動を抑制するためのネジ固定とし、専用のインシュレータも備えている。なお、BDZ-X100のみ出力端子を金メッキ処理している。
USB端子も装備。4月発売のBDZ-A70と同様に、ウォークマンや携帯電話、PSP、myloなどモバイル機器に録画映像を転送できる「おでかけ転送」機能も搭載。DLNA/DTCP-IPサーバー機能「ソニールームリンク」も搭載している。
Lシリーズは、ビデオカメラとの連携を強化。前面にワンタッチダビング機能を備えており、USBやi.LINK接続したハンディカムやデジタルカメラの映像をワンタッチでレコーダに取り込める。ダビングできるビデオカメラは、HDV/DVとAVCHD。USBは2系統装備する。 さらに、ハンディカムのクレードル「ハンディカムステーション」からBDに直接録画できる「BDダイレクトダビング」機能も搭載。ステーションのワンタッチディスクボタンを押すだけで、レコーダ側で12cmのBD-R/REディスクを作成できる。 また、上位モデルのBDZ-L95では、メモリースティック/CF/SD対応のマルチカードスロットも装備。DLNAサーバー「ソニールームリンク」もL95のみ搭載。また、L95はデジタルWチューナを装備するが、L55はシングルチューナとなる。両モデルとも、1系統のHDMI出力を備えているが、1080/60p出力には非対応。
Tシリーズは、エントリーシリーズと位置づけられ、T75とT55の2モデルとも320GB HDDを搭載する。チューナはT75がデジタルダブル、T55がシングル構成。また、T75のみDLNAサーバー「ソニールームリンク」に対応する。
□ソニーのホームページ ( 2008年9月3日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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