◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
ソニー、BRAVIAの「アプリキャスト」開発ツールを公開
-個人でもアプリキャストを開発可能に


アプリキャスト用エミュレータ

9月17日公開開始


 ソニーは、液晶テレビ「BRAVIA」の画面右側部に表示し、テレビ画面を邪魔せずにインターネット上の最新情報を楽しめる「アプリキャスト」用の開発ツール「個人向けソフトウェア」を17日の15時から公開する。

 これまで法人向けにソフトウェア開発ツール(SDK)を提供し、BRAVIA上で約35のアプリキャストを展開している。今回のSDK公開により、個人開発者のユニークな発想に基づくアプリの開発を期待しているという。

 アプリキャストはJavascriptとXMLを利用したウィジェットで、テレビでの閲覧に最適化して仕様が定められている。今回のSDKには、アプリキャスト用エミュレータと、開発ガイド、仕様書、サンプルアプリなど、以下の内容が含まれている。対応OSはWindows XP/Vista。

  • 「アプリキャスト」エミュレータ
  • 「アプリキャスト」開発ガイド
  • AppliCast JavaScript API Specification
  • AppliCast Layout XML Specification
  • サンプルアプリ

 同SDKを用いることで、作成したアプリキャストの動作確認などがパソコン上で行なえる。なお、1つのアプリに対して、1つのJavascrpitファイルまでとの制限がある。また、アプリキャストには、3つのアプリを右画面に表示する「ノーマルモード」と右画面のすべてを使って表示する「アクティブモード」の2つのモードを用意。ノーマルモード時ではメモリ上限300KB、アクティブモードでは上限1.3MBとなる。

アプリキャスト開発チームが開発したシンプル時計 3つのアプリを並べるノーマルモードではメモリ上限300KB アクティブモードで1.3MBのメモリが利用できる

widget.jsがプログラム本体

 開発したアプリは、アプリキャスト公式サイトから投稿し、ソニーの審査後に同サイトから配信される。なお、アプリキャスト対応BRAVIAで、USBメモリ上から作成したアプリを立ち上げることも可能となっている。

 ソニーでは、SDKの公開にあわせて「テレビウィジェットコンテスト」を開催。期間は9月17日から2009年1月8日17時まで。結果発表は2009年2月中旬を予定している。賞品として、液晶テレビ「BRAVIA KDL-40F1」やブルーレイレコーダ「BDZ-T55」などを用意している。

 エミュレータ上でアプリキャストの動作検証が可能なため、アプリキャスト対応のBRAVIAを所有していなくても、応募できる。



■ 思いもよらないアプリの登場に期待

テレビ事業本部 ソフトウェア技術部門 共通ソフトウェア設計部 APシステム設計課 ソフトウェアデザイナー 岡本氏

 ソニー ディスプレイマーケティング部 ディスプレイMK課 マーケティングマネージャの小板秀昭氏は、「100人に1人でも、“これは使いたい”と思えるようなアプリの開発に期待している」と語る。

 これまでも、天気予報や為替情報、Yahoo!との協力によるYahoo!オークション情報表示や画像検索、今日の方言、日本語クイズなどさまざまなアプリを提供してきた。これら各協力会社の特徴を生かしたアプリの提供に加え、さらに多様なアプリの開発により、アプリキャスト、ひいてはBRAVIAの魅力を高めていくことが今回のSDK公開の狙いといえる。

 アプリキャストの開発を担当するテレビ事業本部 ソフトウェア技術部門 共通ソフトウェア設計部 APシステム設計課 ソフトウェアデザイナーの岡本直也氏は、「SDK公開の前に社内公募をやりましたが、“こうくるか!”という感じの、全く思いもよらないような用途があることに気づかされました」と語る。

 その一例が、「囲碁の棋譜再生」アプリ。ネット上で公開されている囲碁の棋譜データを取り込んでアプリキャスト上で、再生/確認できるというもの。囲碁をしない人にとっては全く思いつかないようなアプリだが、こうした提案を増やすことで、アプリキャストそのものの魅力を高めるとともに、テレビの大画面でこそ楽しめるウィジェットのあり方を検証していくという。

XMBの[ネットワーク]-「My Applicast」からアプリキャストを登録/呼び出しできる ソニーの社内公募で提出された「囲碁の棋譜再生アプリ」。棋譜の再生速度設定なども可能となっている

 なお、一般のユーザーが作成したアプリは、XMB(クロスメディアバー)の「ネットワーク」-「My Applicast」に登録し、呼び出し可能となる。通常のアプリキャストはXMBの[ネットワーク]から呼び出せるが、通常のアプリと追加したアプリはここで区別されることとなる。また、BRAVIA向けの公開の前にソニーによる審査が必要となる。審査時間について一定の期間が決められているわけではないが、「数やアプリの規模にもよりますが、それほど時間はかからないはず(小板氏)」と語る。

 アプリキャスト上で動画再生はできないが、ネット経由での画像読み込みは可能。また、アプリ上からテレビのWebブラウザやフォトビューワ機能の呼び出しが行なえるが、BRAVIAの電源やチャンネルコントロールなどの制御や番組表情報との連動などは現時点では想定しておらず、あくまでネット情報をテレビの付加機能として楽しむという位置づけになっている。

 なお、アプリキャストではアプリの有償化などには現時点では対応しておらず、利用規約では商行為も禁止している。また、テレビ画面へのオーバーレイ表示については、テレビの画面とネットコンテンツの区別が付きにくくなる可能性もあるため、現時点では対応する予定はないという。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200809/08-127/index.html
□個人開発アプリサイト
http://www.jp.sonystyle.com/Taiken/Original/Applicast/develop_use.html
□関連記事
【8月28日】ソニー、“史上最高画質”や世界最薄など新「BRAVIA」
-RGB LEDの「XR1」や240Hz駆動。世界一を目指す
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080828/sony1.htm
【2007年3月29日】新BRAVIAの「アプリキャスト」にYahoo!が取り組む理由
-テレビの「新しい窓」に情報提供
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070329/yahoo.htm

( 2008年9月17日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.