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ソニーピーシーエル株式会社(ソニーPCL)は6日、Blu-ray DiscやDVDビデオソフトの新制作拠点「メディアセンター」を報道関係者向けに公開した。 メディアセンターは、BD/DVDビデオの制作拠点として、東京都品川区西五反田に9月16日よりオープン。特にBlu-rayの制作ラインを拡充し、従来の約2倍となる年間約500タイトルの制作能力を見込んでいる。 同社の「S&Tセンター」と「映像センター」内に分散されていた、エンコードやオーサリングなどの製作部門と営業部門をメディアセンターに集約。受注から生産までの一貫体制と部門間連携の強化を図った。 旧スタジオではMPEG-2とMPEG-4 AVCのエンコードラインがそれぞれ1式だったものが、新スタジオではAVCが3式、MPEG-2が1式に拡充。さらに、プレビュールームは1室から8室まで増やし、プロジェクタや液晶テレビ、プラズマテレビなどを多数用意。より一般家庭に近い環境でディスクチェックなどが可能となった。制作能力は従来の20作品/月から、40作品/月まで強化された。
ソニー PCL株式会社 取締役 専務 兼 事業本部長の毛塚善文氏は、国内BDレコーダ市場の拡大やBDビデオソフトの売り上げ伸張など、周辺環境の変化を例に挙げ、BDの制作能力強化の方針を説明。BD/DVDビデオソフト制作などの「メディア事業」が同社売上の約半分を占める基幹事業となることから、営業とエンジニア、制作環境を集約して、効率化とともに部署関連系を強化するため、メディアセンターを立ち上げたという。 また、従来は、BDやDVD、UMDなどのメディアごとにラインを分類していたが、メディアセンターを構築する際にこうしたメディアごとの分類をやめて、オーサリングとフォーマッティング(コンプレッション)を核に、作業ごとの工程を構築。メディア変化に柔軟に対応できる体制をとっている。 同社の2007年度売上構成比は、メディア事業が50%、ポスプロ事業が15%、クリエイティブ事業が約30%となっている。クリエイティブ事業は、CEATECのブース企画立案やイオンファンタジアなどの子供向けのアミューズメントなどを手がけており、「ここも今後伸ばしていきたい。映像技術といわれればソニーPCLといわれるように、各事業に取り組んでいきたい(毛塚本部長)」とする。
■ AVCの制作ラインやプレビュー環境を拡充
ビデオサーバーや、各種機器を一同に集めたマシンルームを中核にエンコードやオーサリングなどの各工程を配置。メディアセンターの1階、約284坪が制作施設で、2階が営業や技術スタッフ、管理部門のオフィスとなる。従業員は制作系が約50名で、営業や管理部門などが約80名で、合計約130名。 新ラインの特徴は、プレビューエリアを強化したこと。従来は1室だったが、新たに8室まで拡張(2室はオーディオエンコードと共用)。プロジェクタと液晶を見比べられる部屋や、液晶とプラズマの比較用の部屋など、より実際の視聴環境に近い環境で製作者や発注者が確認できるようにしている。
エンコードエリアもMPEG-4 AVCのラインを3式まで拡張。マスターモニターだけでなく、液晶テレビでの画質チェックも欠かさずに行なっているという。LEDバックライト搭載の最新BRAVIA「XRシリーズ」も導入されている。 AVCエンコーダはソニー製の「BAE-VM700」「BAE-VA700」のほか、THOMSON製の「NexCode」も1式導入している。ただし、現時点では「どういった条件で最適な画質になるのかテスト段階」としており、実際のタイトル制作には使っていないという。
また、メニュー制作やレイアウトなどを行なうメニューデザインエリアや、オーサリングエリアも用意。BDオーサリングはScenarist BD Editionを7式とBlu-printを1式用意している。 また、ソニーPCLではBD-Jを「核になるポイントと考えている(事業本部メディア事業部長 小湊義文氏)」と位置づけており、専用の作業エリアを構築(今回の内覧会では非公開)。「BD-JAVAやBD-LIVEなどの機能を使って、どういった仕様でどういったサービスができるのか。きっちり提案/対応していきたい。そのために専用のエリアを設けている」とし、大きな差別化ポイントとして訴えていくという。
□ソニーPCLのホームページ ( 2008年10月6日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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