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総務相の諮問機関である情報通信審議会は14日、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会第45回」を開催した。コンテンツ取引市場形成に向けた実証実験が主要な議題となったが、デジタル放送の著作権保護方式の見直しについても、検討の方向性などが報告された。 委員会内に設けられた技術検討ワーキンググループ(WG)における議論について、委員会の主査を務める慶応義塾大学の村井純教授が報告。「第5次中間答申において、契約と技術に関する解決が課題になった。議論を尽くし、必要に応じた制度をつくり、解決に役立ているという方針。それに従い議論するのが基本的な考え方」とし、「コンテンツ保護方式の仕組みを、現行の方式も含めて、それぞれ委員会で課題として挙げられたものについて検討を進めている」とした。 同委員会では、現在のB-CAS方式における課題として、「視聴者のカードに対するストレス」、「コストと効果」、「スクランブルと技術の関係」などがあげられていた。 技術WGでは、「現在のB-CASカードはこうした課題や要求に、対応できる/できないのか」という実態把握とともに、「B-CASカードの仕組みのなかで見直せること、例えば、B-CASはポータブルデバイスに搭載するには物理的に大きすぎる」といった問題について議論と改善策の検討を進めている。 また、現在のB-CASのような「カード方式」の改善の方向だけでなく、ハードウェアとして機器に内蔵する「チップ方式」、「ソフトウェア方式」の3つが、技術的には考えられているという。これらの責任分解点の見極めや、セキュリティ方式としての強度、契約関係などを勘案して、議論を続けていくという。 例えば、カード方式では、カードを開封し機器に挿すという作業のわかりにくさや、シュリンクラップ(機器を購入し、B-CASカードを封入したラップを開くと使用許諾契約を結んだものとする)の仕組みがわかりにくい、といった課題が挙げられる。 技術WGでは、現在それぞれの選択肢に対する提案が行なわれており、放送事業者、機器メーカーの間で、内容の確認を進めている。村井教授は、「今後、責任分解点の設定や、コスト/費用の点で変更を伴うものがあれば、それらを具体化して検討をする必要がある。先ほどの3つの指摘(ストレス、コスト、スクランブル)に対して、それぞれの方式がどう対応できるのか、ということも含めて議論していく」とした。 また、改善策を検討するにあたり、「視聴者のストレス」を具体化していく必要もある。指摘された項目をリストアップし、その具体化ととも解決できるか否かなど、「技術提案を議論する中で、並列的にやっていく」とした。 報告を受け、消費者団体の代表からは、「ダビング10を守るために存在するのであれば、そのためだけの一番シンプルな仕組み。誰にでも透明性のある運用にして、たくさんのメーカーが対応できて選択肢が増えるような仕組みにして頂きたい(川村委員)」とし、放送波のスクランブルの解除を求める声などがあがった。 また、権利者団体の代表からは、「技術WGはメーカーと放送局。しかし今でも、B-CASを改める必要はないと主張しているメーカーがいるという。そういう発言に技術者としてのプライドはないのか、と感じる。カードかチップかということでなく、保護の仕組みに穴が開いているのだから、改善しなければならない。一方で、B-CASカードのシステムは残る。これらの混在運用ではFriioは解決しない。こういう問題については制度での検討も進めてほしい(椎名委員)」との意見も出た。 □総務省のホームページ ( 2008年10月14日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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