|
iPod touchがリニューアルし、第2世代モデルが9月下旬より発売された。1年ぶりのモデルチェンジだが、7月に発売されたiPhone 3Gが大きな話題となったこともあり、それほど間が開いたという印象は無い。 デザインや機能面でも大きな変更はなく、新機能はボリュームボタンの追加やスピーカーの内蔵など。比較的地味なモデルチェンジといえる。一方価格面では、各容量で約1万円値下げされるなど、より手に取りやすくなっている。 ■ 従来モデルからの変更点は少ない 第1世代とさほど違いがなさそうに見える新iPod touch。しかし、パッケージデザインは大幅に変更されており、小型化されたクリアケースを採用している。新世代のiPod nanoなどと共通のパッケージイメージといえる。
同梱品に大きな変化はない。Dockケーブルやイヤフォン、クリーニングクロスなどが付属する。 外形寸法は110×61.8×8.5mm(縦×横×厚さ)。従来の110×61.8×8mm(同)とほぼ同じで、背面が滑らかなカーブ状のデザインに変更されたこともあり、数値的には0.5mmだけ厚くなっている。ただし、このカーブにより、手に持ったときの感覚はよりしっくりとくる印象だ。 背面はステンレスで、樹脂を使ったiPhone 3Gとはかなり印象を異にしている。ただし、指紋や傷がかなり目立ちやすいのが悩ましいところだ。重量は115gで、従来の120gから若干軽量化されている。また、下面のDockコネクタ部なども、比較してみると細かくデザイン変更されていることがわかる。地味ながら、より高級感を出そうという工夫が感じられる。 ディスプレイは、3.5型/480×320ドットのタッチスクリーン液晶を採用。IEEE 802.11b/gの無線LANを内蔵し、ウェブブラウザ「Safari」もプリインストール。Webブラウジングが可能となっている。YouTubeの動画再生などもサポート。加速度センサーも内蔵している。 従来のiPod touchとの違いは、側面にボリュームボタンを追加したこととスピーカーを内蔵したこと。音楽、ビデオ再生時にタッチパネルに触れることなく、音量調節が行なえる。 iPhone 3Gとの比較では、iPhone 3Gから3G電話機能とデジタルカメラ機能、GPS機能を省いている。
■ ボリュームボタンで使い勝手向上
音楽やビデオ再生機能も従来モデルを踏襲しており、縦位置でタッチパネルと、液晶下のHOMEボタンを用いて楽曲などを選択。横に倒すとアルバムアートから楽曲選択が行なえる「Cover Flow」画面が立ち上がる。もちろんiPhone 3Gなどで導入された自動プレイリスト「Genius」も搭載している。 イヤフォンも従来モデルと共通。同じ楽曲を第1/第2世代touchで聞き比べてみたが、再生音に大きな違いは感じられない。既存のtouchユーザーであれば音質への違和感は無いと言えるだろう。
ビデオ再生機能も初代touchと比べて大きな変更点は無い。ただし、音楽/ビデオ再生ともに、追加されたボリュームボタンの意義は大きい。 従来のtouchでは、少し聞き取りにくかったり、曲ごとの音量レベルの違いなど、音量をとっさに変更したい場合でも、タッチスクリーンでロックを解除するか、ダブルクリックでiPodメニューを出して、スクリーンのボリュームスライドを指でタッチして変更しなければならなかった。画面を見ないと音量変更ができないので、とっさの音量調整がしにくかったのだ。しかし、新touchでは音量調整が片手で行なえるようになった。オーディオプレーヤーと考えると非常に大きな改善点だと感じる。 加えて、音楽再生、特にGeniusやシャッフル再生時には、できればスキップボタンも欲しいと思う。しかし、そうすると基本操作を液晶画面で行なうというtouchのコンセプトからぶれてしまうかもしれない。
■ スピーカーを内蔵。Webブラウズも高速化 ボリューム以外の改善点が、スピーカーの内蔵。それから、「Nike + iPod」標準搭載だ。
スピーカーについては、設定画面にON/OFF指定の項目などはなく、イヤフォンジャックにイヤフォンが刺さって入ればOFFに、イヤフォンを抜くとONになる。初代touchと同様に、ジャックからイヤフォンを抜くと音楽再生が一時停止となるため、停止ボタン変わりに使うことも可能だ。 モノラルスピーカーながら、広がりある再生音を実現できている。音楽をちょっと回りの人に聞かせる分には十分な出力がある。寝室で寝転びながらビデオを見る、といったカジュアルな活用のシーンは広がりそうだ。 ただ、iPhone 3Gと比較すると音量が小さい。低音も少なく、金属の鳴きも感じられる高域よりの音だ。背面全体から音がでるため、下部にスピーカーがあるiPhoneのように指で出力部をふさぐ心配は無い。 また、iPhoneと同様にアラーム機能を備えているため、目覚まし時計としても利用可能。ベルやアヒルの鳴き声などの呼び出し音が設定できる。出張先のホテルなどでも重宝する機能だろう。 また「Nike + iPod」に標準対応。別売のNike + iPodセンサー(2,200円)をNike+シューズに入れるだけで、走行時間や距離などランニングデータの取得/管理が可能となる。
また、ニュースリリースなどでは大きく謳われていないが、無線LANによる通信機能が高速化されている。AV Watchのトップページをリロードする速度を検証したところ、3回の平均値は、新touchが10.85秒、第1世代が14.99秒と4割ほど高速となった(回線はフレッツ光、ルータはNEC Aterm WR7870S)。 Appleのトップページの読み込みや、AppStoreのブラウズなどを試してみてもその違いは感じられる。最初に第2世代touchを触った時はあまり実感がなかったが、旧touchを使った後にSafariでWebブラウズを行なうと確かに違いを感じる。 なお、同様にiPhone 3Gでも、AV Watchトップページを読み込んでみたが、3回の平均値は14.87秒。iPhone 3Gと第1世代touchがほぼ同等で、2G touchのほうが速いという結果になった。
■ 使いやすさは確実に向上。最大の変更は「価格」 機能面から言えば、マイナーチェンジだが、地味ながら使い勝手を確実に向上させている点には好感が持てる。特にボリュームボタン追加は、オーディオプレーヤーとしてのiPod touchの魅力をさらに高めるものといえそうだ。 もっとも、最大のポイントは値下げ、といえるかもしれない。メモリ容量は従来モデルと同じ8/16/32GBの3製品だが、AppleStore価格は8GBが27,800円(旧モデルは36,800円)、16GBが35,800円(同48,800円)、32GBが47,800円(同59,800円)。前モデルより9,000~12,000円値下げされ、より手に取りやすい価格になった。多機能で、手ごろなポータブルAVプレーヤーを求める人にとって魅力的なモデルチェンジといえそうだ。 □アップルのホームページ ( 2008年10月17日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|