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ソニーは23日、2008年度(2008年4月1日~2009年3月31日)の連結業績見通しを修正すると発表した。修正後の業績見通しは、売上高は9兆円(7月予測比2%/2,000億円減)、営業利益は2,000億円(同2,700億円/57%減)、税引き前利益は2,100億円(同2,500億円/54%減)、純利益は1,500億円(900億円/38%減)。
また、下半期の前提為替レートも、1ドル100円前後、1ユーロ140円前後に修正している(7月時点の前提は第2四半期が105円/ドル、165円/ユーロ。下期が105円/ドル、160円/ユーロ)。 下方修正の要因は、為替の変動と、景気後退による市場環境の悪化によるエレクトロニクス事業の業績悪化など、以下の5項目が挙げられている。
為替については、7月の想定レートから大幅に円高となったため、エレクトロニクスとゲーム分野において業績が想定を下回り、営業利益が約1,300億円減少するという。 エレクトロニクスの不振については、液晶テレビやデジタルカメラ、ビデオカメラなどが市場環境の悪化や価格競争の激化により、7月時の想定を下回った。為替レートの影響を除き、約900億円の減収要因となった。 なお、ゲーム分野や映画分野においては、為替レート変動の影響を除けば、7月時点どおりの業績となる見込み。 2008年度第2四半期連結業績の暫定値もあわせて発表。売上高は前年同期比で1%減の2兆700億円、営業利益は90%減の110億円、税引き前利益は95%減の70億円、純利益は同72%減の210億円。
■ 液晶テレビの通期黒字化は困難に。PSPは上方修正
説明会では、執行役 EVP兼CFO 大根田伸行氏が登壇。「9月以降、想像を絶する変化が起きている」とし、為替や市場環境の変化による業績の下方修正を発表した。 エレクトロニクス事業の減益要因は、液晶テレビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ。地域別では、欧米や中南米、中国の落ち込みが大きいという。 液晶テレビについては、市場環境の悪化を受け、年間販売計画を当初予定の1,700万台から1,600万台に下方修正。同社ではテレビ事業の2008年度黒字化達成を目標としていたが、「大変厳しい状況で、年間の黒字は難しい」という。 特に欧米と中国の販売の販売の落ち込んでおり、「マーケット全体がスローダウンしている」とする。また、市場環境の悪化とともに価格下落も減益要因で、「想定より2~3%悪くなった」としている。当初見込みでは、小型液晶テレビ20%、中小型で25%と想定していたが、欧米を中心に下落幅が大きくなった。 市場シェアについては、「Samsungがウォン安を背景に数を伸ばしているが、シェアそのものは変わらないと思っている」とする。また、6月の経営計画発表では、液晶テレビ事業で、“2010年度までに世界ナンバーワンを目指す”としていたが、「従来どおりいくかどうかは計画を見直し中」としている。 テレビ以外のエレクトロニクス製品は、デジタルカメラを当初見通しの2,600万台から2,400万台に、ビデオカメラが同770万台から700万台にそれぞれ下方修正している。デジタルカメラは「想定よりマーケットが縮小しており、それにより価格低下が起きている」とした。 なお、ゲーム事業は為替の影響を除けば想定どおりで、「PS3は目標の1,000万台に向け順調」という。さらに、PSPは想定の1,500万台から1,600万台に上方修正している。
また、下半期の前提レート(100円前後/ドル、140円前後/ユーロ)に比べ、23日現在の為替は円高方向に振れている(約97円/ドル、約125円/ユーロ)が、「今日のレートで単純に計算すれば、(営業利益ベースで)800~900億円ぐらいの影響がある」という。為替予約を行なっており市場と単純に連動はしないが、「ドル/円では、1円の違いで約40億円、ユーロ/円では1円の違いで約75億円上下する」としている。 大根田CFOは、「新経営体制後、体質の強化に取り組んできた。今回の難局は、かつてないマグニチュードだが、体質強化をベースに難局に取り組んでいく。さらなるアクションも検討していく」と言及。設備投資の見直しや製造事業所の統廃合、研究開発の効率向上などの施策を今後検討していくという。また、人員削減についても、「製造所の統廃合や、固定費の削減に取り組めば、多少そういうことが出てきても不思議ではない」とした。□ソニーのホームページ ( 2008年10月23日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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