|
12月に入り年末商戦も本格化。各社プロモーションにも本腰を入れている。テレビを見ても、テレビやレコーダなど大手電機メーカー各社のテレビCMも大量に投入されているほか、ポータブルオーディオにおいてもアップルなどがかなり大規模な展開を見せている。 そんな中、今年のソニー ウォークマンは例年とは一風変わったアプローチを採っている。歌手のYUIを起用し、若年層を狙ったマーケティングを展開している。その狙いと効果についてソニーに聞いた。 ■ Around 18をターゲットにYUIを起用
ソニーマーケティング株式会社 広告宣伝部門 宣伝企画部 PA&PBグループの小堀 弘貴氏によれば、YUIを起用した今回のプロモーションは、高校から大学への18~22歳の「Around 18」を主なターゲットにしているという。 その理由はこの世代に顕著な生活スタイルの変化にあるとする。高校生までは、所得は親に依存、親と同居、携帯中心の生活となる。対して、大学は、アルバイトで稼ぎ、一人暮らし、自分のPCを持つなど、ライフスタイルの大きな変化が伴う場合が多い。 “独り立ち”する「Around 18」層にウォークマンを使ってほしい。それが今回のマーケティングの目標という。もちろん、音楽に渇望感があり、できればどこにいてもお音楽を聴きたいというニーズが高いユーザー層でもある。また、コミュニケーションの入り口としても音楽を求めている人も多い。 そこで、ターゲット層と同世代で、共感が得られるアーティストとして、YUIを起用。さらに、プロモーションのためにオリジナルの楽曲「I'll be」をYUIが提供。10月9日のウォークマン発売時に店頭で先行視聴を開始した。これは新ウォークマンと同時発売のHDDコンポ「ネットジューク」にI'll beを収録し、店頭で視聴可能としたもので、ネット配信もCD販売も行なわれていないため、YUIのファンは店頭で新曲を聴くために店頭を訪れることとなる。 さらに、発売に合わせてウォークマンのスペシャルサイト「Play You.」を開設。「音楽でもっと君らしく」をテーマにテレビCMやI'll beの楽曲視聴、プロモーションムービーなどを提供。ウォークマンの製品情報なども集約し、ウォークマンを使ったライフスタイルの訴求を開始した。 10月17日にはにはテレビCMも開始。その後、PCやモバイルなどで楽曲を限定配信。I'll be収録のCDアルバム「MY SHORT STORIES」は11月12日に発売した。その間、4,000校の高校の校内放送をジャックしてI'll beを放送。mixiやTSUTAYA、YUIのオフィシャルサイトなどでもウォークマンのプロモーションを展開したという。
テレビCMやプロモーションの効果で、CM直前の2週間と直後の2週間の購入者比較で、24歳以下とその親世代にあたる40~50代の構成比が大幅に伸びたという。なお、30代はほとんど変わらなかったという。 また、Play You.を介したWebサイトのアクセスも大幅増。特に携帯サイトへのアクセスが大幅に伸び、PCを上回った。12月には第2弾のプロモーションも実施。13日には、埼玉県の高校の管弦楽部とYUIが競演したスクールライブの模様もテレビCMで放送。あわせてフルバージョンをPlay You.で配信する。 ■ スピーカー付きが「Around 18」に支持
ソニーマーケティング株式会社 パーソナルAVマーケティング部 パーソナルミュージックエンターテインメントMK課の岩田真一統括課長は、年末商戦のウォークマン販売戦略を説明。10代後半から20代前半を中心に、積極的にウォークマンを訴求する方針を語った。 若年層のユーザーに、オーディオ機器の利用シーンを尋ねると「自分の部屋」、「移動中」という回答が多いが、高校生から大学生になると、音楽聴取環境は大きく変化するという。高校生では、携帯電話+着うたフルが中心となるが、大学生となるとオーディオプレーヤーとヘッドフォン、もしくはパソコンの比率が高くなるという。 そのため、ウォークマンでは、PC用ソフトウェアの「SonicStage」やHDDコンポ「ネットジューク」などで、au製携帯電話の着うたフルに対応。ケータイからの移行を促す仕組みを取り入れてきた。実際の購入者調査でも、auの着うたフル対応が、「決め手になった」、「やや決め手になった」という意見が16~19歳の層で非常に高かったという。 また、“Around 18”のユーザー層の特徴として、「スピーカー」の付属が支持されているという。 新ウォークマンSでは、ノイズキャンセル対応の「NW-S730Fシリーズ」、NCを省いた「NW-S630Fシリーズ」、NW-S630F+専用スピーカーの「NW-S630FKシリーズ」がラインナップされている。
このラインアップのうち24才以下の比率は、S730Fで約20%、S630Fが25%程度。しかしスピーカー付属のS630FKは3割を超えているという。また、スピーカー付きモデル購入者の約半分は、初めてオーディオプレーヤーを購入する人となっており、「新規顧客を取れたと思う(岩田統括課長)」とする。 今後も、「音楽生活をサポートするウォークマン」とテーマにプロモーションを展開。現在、約30%強のシェアをさらに拡大していきたいという。ただし、これらの取り組みは直近のシェア拡大が目標だけではない。「ウォークマンに早いうちから親しんでいただいて、買い続けてもられるような仕組みにしていきたい」。そうした若年層へのウォークマンブランドの浸透。これも、今回のプロモーションの狙いとなっている。 □ソニーのホームページ ( 2008年12月2日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|