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【新製品レビュー】
「3M」ブランドの手のひらLCOSプロジェクタ「MPro110」
−プレゼン以外にも使いたいPC/ビデオ両対応モデル


11月25日発売

標準価格:オープンプライス

直販価格:56,490円


 ここ最近、続々と発売されているポータブルタイプのプロジェクタ。以前レビューを掲載したオーエスのOptoma製DLPプロジェクタ「PK101」に続いて、今回は住友スリーエムから発売されたLCOS採用モデル「MPro110」を試した。

 住友スリーエムといえば、「ポスト・イット」やメンディングテープ「スコッチ」など、オフィス用品では馴染み深い会社。会議室などでは必須ともいえるプロジェクタについても、主に海外でデータプロジェクタ分野の液晶(透過型)やDLP製品を展開している。学校などで使った人も多いと思われる「OHP」のメーカーでもあることから、投射型ディスプレイ装置メーカーとしての歴史は長い。

MPro110

 11月25日に発売された“マイクロ プロフェッショナル プロジェクタ”「MPro110」は、デバイスにLCOSを採用し、外形寸法115×50×22mm(縦×横×厚さ)、約160gという小型化を実現した製品。LCOSの解像度は640×480ドットで、アスペクト比は4:3。光源は白色LEDで、寿命は約1万時間。

 価格は直販で56,490円と「試しに買ってみる」ほど気軽ではないが、発売前から海外の展示などで注目度の高い製品だったこともあり、12月上旬あたりまでは直販サイトでも「次期入荷未定」の状態が続いていた。なお、12月16日現在、直販サイトでの受付を再開していた。

 この製品がOptomaの「PK101」と異なる点の一つは、投影デバイスにLCOS(Liquid Crystal on Silicon/反射型液晶)を採用すること。PK101はDLP方式(TI製チップセットのDLP Pico)を採用している。LCOSデバイスの詳細は明らかにしていないが、光学エンジンを含め「自社開発」としている。なお、同じくLCOSを採用するモバイルプロジェクタとしては、海連の「X Pro920(KR-PRO920M)」(2009年1月中旬発売/41,790円)や、アドテックの「MP15Aシリーズ(AD-MP15A)」(12月中旬発売/直販39,800円)がある。

 また、解像度が640×480ドットで、PK101(480×320ドット)を上回るところや、アナログRGB(D-Sub 15ピン)入力に対応することなどからも、ビデオ鑑賞などに比べ、プレゼンテーション用途を重視していることがわかる。コンポジットの映像入力も備えているが、音声入力は備えていない点からも、AVコンテンツを楽しむことが主眼ではなく、少人数のミーティングなどでの利用が中心になると考えられる。



■ 電源/フォーカスのみのシンプル設計

 本体は、携帯電話に比べると一回り大きいが、スーツなどの胸ポケットなら容易に収められるサイズ。スイッチ類は電源と、フォーカスダイヤルのみ。フォーカスダイヤルを回すと、レンズが前後に動く様子がよく見える。

 なお、天面は黒いカバーがあり、一見するとディスプレイのようにも見えるが、これはデザイン上のもので、何かを表示するものではない。

側面 底面

フォーカスダイヤルを回すとレンズが前後に動くのが見える 天面

 底面には三脚穴(1/4インチ)を備え、アダプタ無しで三脚が装着可能。なお、本体にはゴム脚は無い。本体が小さいだけに、机などに直接置く場合は滑って位置がずれることには注意したい。

 入力端子はアナログRGB(D-Sub 15ピン)とコンポジット映像で、付属ケーブルで変換して入力する。なお、付属ケーブルのコンポジット端子は入力側がオスとなっており、メス-メスの変換コネクタも同梱する。電源は付属ACアダプタを使用し、最大1時間の利用が可能。充電時間は約2時間。

底面に三脚穴を装備 手持ちの三脚を装着 入力端子部

第1世代iPod touchとのサイズ比較

【参考】Optoma「PK101」とiPod touch(第1世代)の比較

 Optoma「PK101」とサイズで比較すると、縦が約1cm、厚さが約8mm大きい。ポケットに入れる場合を考えると、厚さは少し気になった。



■ 解像度の高さを活かした投射が可能

ノートPCに接続して静止画を投射

 まず、ノートPCと接続してWindows Media Playerで動画再生を行なった。電源ON後、5秒弱で投射され、映像入力が可能。PCのサブディスプレイに設定することで、出力が可能になる。入力対応解像度は最大1,024×768ドット。

 光源など小型の制約から気になるのは輝度だが、独自の「輝度上昇フィルム」で向上を図っている点がユニーク。これは、液晶ディスプレイの画面輝度向上や省電力化を目的に用いられている同社の技術を応用したものだという。

 投射してみると、明るさとしては小型ながら悪くない。輝度やコントラストの数値は公開されていないが、暗い部屋では解像度の高さを活かしたクリアな投射が行なえる。明るい部屋では、大画面にすると小さな文字などを読むのは難しいが、投射面に近づけることでカバーできそうだ。ただ、PK101と比べると、画面サイズが同程度の場合の明るさは、PK101に軍配が上がる。PK101は2段階で明るさを調整できる機能があったが、MPro110は画面ON/OFFのみとなる。

 投射距離は305mm〜1,800mm(8型〜48型)。あまり大画面には向かないが、高解像度のファイルをシャープに表示できる。フォーカスダイヤルは、小径ながら天面と側面が露出した形状で、PK101よりも細かい調整がしやすい。

 色表現については、エンターテインメント向け製品でないこともあり、派手さは無い。やや気になったのは周辺減光で、OptomaのPK101でも発生していたが、それよりも若干上回る印象だ。本来は白い部分が黄色く見えてしまう場合があり、ビデオでは気になるシーンもあった。また、四隅が暗くなる一方で、上下左右方向には光漏れも見られ、暗室状態にした部屋だと、画面の外側にぼんやりとした枠が見える。全体の明るさとしては悪くないだけに、この点は残念だ。

 続いて、iPod touchからの映像出力も試した。iPodの別売ケーブルを介してコンポジット入力できる。この場合は、iPod用ケーブルのRCA側がオス、MPro110の付属ケーブルが同じくRCAのオスとなっているので、付属のメス-メスプラグアダプタを使用する。

 なお、前述の通りスピーカーは無いので、ビデオを見る場合は音声は別途スピーカーなどを用意する必要がある。また、VGAケーブルとコンポジットケーブルは同時に挿そうとするとプラグ部分が干渉するため、どちらか一方のみ挿せるようになっている。特に入力切替スイッチなどは無いので、こういう構造にしたのかもしれない。

iPod touchからの映像を出力 VGAケーブルとコンポジットケーブルを同時には挿せない

 iPod内のビデオや静止画、YouTube動画などを投射。やや色温度が高めだが、シャープネスの高さは好印象だ。入力された映像の調整は特にできないので、欲を言えばビデオ(発色が鮮やか)/プレゼンテーション(コントラスト重視)といった2モードだけでもあると、用途に応じて使い分けられて便利ではないかと感じた。

 投射中や給電中は、天面のランプが点灯し、状態が確認できる。なお、投射と充電は同時に行なえない。暗い場所ではランプを消すことができるとなお良いとは思う。前述の通りバッテリ持続時間は約1時間なので、コンセントの無い場所では注意したい。

 スピーカーが付いていないことは、他の製品に比べスペック上ではマイナスだが、パソコンでの利用を考えると、ノートPCのスピーカーの方が(小さいとはいえ)まだ高音質であると思われるため、個人的には必ず欲しいということはない。

 動作音は、ファンレス設計ということもあり、ほとんど気にならない。連続して使用するとそれなりに高温にはなるが、放熱窓が多く設けられていることもあり、うまく熱を逃がしている。

iPod touchの静止画(左/中央)やYouTube動画(右)を投射



■ プレゼンだけにはもったいない

 製品名に「プロフェッショナル」が付く通り、これは少人数の打ち合わせなどプレゼンテーションを主な用途とした製品。訪問した会社などで、先方にプロジェクタやスクリーンを用意してもらわなくてもその場で映像を共有しやすいことは画期的といえる。

 一方で、ニコニコ動画/YouTubeなどの配信映像や、DVDのSD映像など、ノートPCで見る程度のコンテンツであれば、PCの小さな画面よりは、部屋を暗くしてプロジェクタで投射したほうが、たとえ白壁であっても映像鑑賞としてはリッチだと感じる。Optoma「PK101」のレビューでも触れた通り、利用シーンの幅は広い製品だ。多くのメーカーがネットブックを発売しているなか、PCですぐに使える点も便利だ。

 多くのシアタープロジェクタメーカーがモバイル分野にはまだ進出していない状態で、ポスト・イットなどアイデア商品を広めた実績のあるスリーエムブランドから、こういった新製品が出てきたことはとても興味深い。同社によれば、「明るさの向上については検討課題と捉えている」とのことなので、今後新しいモデルが出るなら、色表現などの要素も含め、ビデオ向けに作った製品というのも見てみたい。

 前回レビューしたOptomaのPK101はAppleStoreで49,800円、今回のMPro 110のほうが、56,490円とやや高い。個人的な意見では高解像度のメリットよりも、コントラストが高く色付けが鮮やかなPK101の方が動画観賞用としての魅力を感じるが、PCで使える分、現状ではMPro 110のほうが利用できる幅が広く、手堅い製品に仕上がっている。


□住友スリーエムのホームページ
http://www.mmm.co.jp/
□製品情報
http://www.mmm.co.jp/vsd/micro_projector/mpro110.html
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【新製品レビューバックナンバー】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/npback.htm

(2008年12月16日)

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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