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ソフトウェア方式の導入などB-CAS見直しで議論
−関係各者が「B-CASにはこだわらない」と言及


12月22日開催


 総務相の諮問機関である情報通信審議会は22日、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会第47回」を開催。地上デジタル放送の著作権保護方式の見直しについて、検討の方向性などが報告された。

 6月にまとめられた情報通信審議会 第5次中間答申において、地上デジタル放送の普及において、コピー制御やエンフォースメント(実効性の担保)について見直しを継続するように提言されており、10月の委員会では、現在のB-CASの「カード方式」の改善に加え、ハードウェアとして機器に内蔵する「チップ方式」、「ソフトウェア方式」の3つの方向で検討を進めることが報告された。今回はその見直し案の課題などについて議論が行なわれた。

 B-CAS方式では、「機器の小型化が難しい」、「カードの挿入のための説明が煩雑で理解され難い」などの問題が指摘されている。そのためB-CASをそのまま継続利用してカードを小型化や事前実装する方法や、コンテンツ保護の機能をチップに集約する方法、ソフトウェアで代用する方法などが提案されている。

 配布された資料の概要は以下の通り。

方式概要備考課題鍵の管理者
カード小型化 ・カードを小型化
・受信機メーカーは受信機にカードを同梱して出荷
・ライセンス管理者はコンテンツ保護に関わるルール遵守を約する受信機メーカーにのみカードを支給。ライセンス管理会社がユーザーにカードを貸与
・現行方式と同様、受信機を購入した視聴者は、同梱されたカードを受信機に挿入した上で視聴
・商品企画の自由度向上
・視聴のためにカードの挿入が必要
・カードの所有権の所在、目的外使用の制限やカード紛失時の取り扱いについて視聴者の認知と理解が必要 B-CAS
事前実装・受信機メーカー/販売店などでカードを受信機に事前装着した状態で販売(ユーザーは受信機購入後カードを脱着可能)
・ライセンス管理会社は、コンテンツ保護に係わるルール遵守を約する受信機メーカーにのみカードを支給。ライセンス管理会社がユーザーにカードを貸与
・購入した受信機でアンテナ接続やチャンネル設定を行なえば、そのまま視聴可能
・商品企画の自由度向上
・視聴のための、カード挿入が不要
・カードの所有権の所在、目的外使用の制限やカード紛失時の取り扱いについて視聴者の認知と理解が必要
・カードの貸与に係わる情報提供について、代わりに受信機立ち上げ時にクリック契約などの手段を用いる必要があり、視聴者において一定の操作が必要
チップ・コンテンツ保護の機能をチップに集約。受信機メーカーは部品としてチップを組み込んで出荷
・ライセンス管理会社はコンテンツ保護にかかわるルール遵守を約する受信機メーカーに対し、チップを供給することを条件にチップの製造を許諾
・購入した受信機で、アンテナ接続やチャンネル設定などを行なえば、そのまま視聴可能
・商品企画の自由度向上
・視聴のための、カード挿入が不要
・カード貸与ではないため、視聴者が認知し、理解する必要のある事項は軽減
・ライセンス管理者、チップ製造者、組み込みに係わる関係者の間で、それぞれの役割や、役割に応じた責任、目的やスキームに応じた技術方式などについて検討が必要 必要
(未定)
ソフトウェア ・ライセンス管理会社はコンテンツ保護にかかわるルール遵守を約する受信機メーカーに対し、コンテンツ保護機能に係わる仕様を開示
・受信機メーカーは仕様に沿った機能を受信機に搭載して出荷
・購入した受信機でアンテナ接続やチャンネル設定を行なえば、そのまま視聴可能
・商品企画の自由度向上
・視聴のための、カード挿入が不要
・カード貸与ではないため、視聴者が認知し、理解する必要のある事項は軽減
・コンテンツ保護に係わるルール遵守を約するすべての受信機メーカーに対して、受信機製造上必要な使用が開示されていることから、技術的透明性が向上
・ライセンス管理者は、受信機製造に係わる関係者の間で、それぞれの役割や役割に応じた責任、目的やスキームに応じた技術方式、などについて検討が必要

 事務局からは、「見直しの前提は、“利用者にとっての選択肢の拡大”。ただし、現在、数千万枚のB-CASカード対応製品が出ている中で、視聴者の保護という観点からも、完全にB-CASをやめるというのも良くない。それ以外にどんな選択肢を用意するのかということ」と見直しの方針を説明。

 委員会の主査を務める慶応義塾大学の村井純教授は、「いったん整理した、という段階。どれがいいとか、どうすべきだ、という結論にはまだ至っていない。こういう選択肢があり、委員会の中での要求を踏まえてどういう受け止め方や利点、長所短所があるのか、その可能性を整理したい」と述べ、委員に意見を求めた。

 放送事業者からは、「地上放送のデジタル化推進という点では、最も理解を得るべきは国民、視聴者。指摘を受け止めていくことが重要。技術・契約エンフォースメントの改善ということで4例を挙げているが、放送事業者としては、委員会での協議の上でコストや利便性の面で受け入れ可能であれば、現在のB-CASにこだわらず受け入れていきたい(関委員)」や、「デジタル化のためには理解をいただかなければいけない視聴者にとって、B-CASに問題があるというのであれば、真摯に改善していかなければいけない。ただ、エンフォースメントの運用をどうして行くか。最後は民民(民間事業者同士の約束)で決めていかなければいけない。これから選択肢の対象の考え方、コスト対効果、視聴者の利便性などの総合的な判断が必要だろう」と、既存のB-CASにこだわらないとの意見が表明された。

 メーカーの代表からも、「メーカーから見ると、地デジの普及の観点から、商品企画の自由度が増える。選択肢が増えるというのは歓迎できる。B-CASにこだわることなく取り組みたい。利便性、使い勝手、コストの話、これはこれから詰めていかなければいけない。また、メーカーの観点からいうと、チップやソフトウェアなどにおける、品質保証の観点という議論も必要だ。地デジの普及促進にもなる。前向きに取り組みたい(田胡委員)」との意見が出た。

 消費者団体からも、河村委員は、「利用者にとっての選択肢の拡大という前提のもと、“どれがいい、悪いという段階ではない”、とおっしゃいましたが。どうみても、一番下(ソフトウェア)でしょうというのが、私の意見」と述べ、機器の選択肢拡大やルールの透明性などを評価。また、長田委員は「(景気後退により)国民にとって厳しい時代にはいるのに、デジタル移行を成功させなければいけない。極力、商品企画の自由度を向上して、受信機としての選択肢をいろいろと提供しなければいけない」と新提案を評価。「どれがいいかは、まだわからないが、でも見合ったコストなども示していただきながら、スクランブルをかけない形でできないか。利用者にとってどれが暖かい方策なのか。その時点で選ばせていただきたい」と言及した。

 また、同じく消費者団体を代表して、高橋委員は、「幅広く検討した結果、結論がでたのかな、と思っています。“カード”は前世紀の遺物。ソフトウェアという方式で検討していただきたいと思っています」と語り、「民民の中に消費者もいれて、迅速に、透明性、フェアを重視してやってほしい」と要望した。

 提出された資料の内容から、多くの委員が「ソフトウェア方式」を支持したが、村井主査は、「まだ、検討段階で、“ソフトウェアだとやがては安くなり、チップだといつまでも高い”とかはまだ一概には言えないし、放送局の負担とか、コストについてはまだ出せない」とし、早急な結論を得るのではなく、それぞれの方式についての意見を求めた。

 椎名委員は、「技術と契約のエンフォースメントということで整理していますが、“技術と契約でなければいけない”、“制度(法改正)で無ければいけない”という意見があるわけではない。B-CASの問題は鍵を配布してしまっていることで、カードを踏襲している限り、小型/事前実装してされていても悪用される。見直し効果があまり期待できないのではないか。数千万のカードと混在使用されれば本質的な改善にはならない。制度の併用というのも引き続き検討してほしい」と言及。また、「週刊誌などで、B-CAS問題が取り上げられているが、権利者の要望によりB-CASが決められたという表現が多い。しかし、B-CASの保護には権利者は一切関与していないということを、ここで改めて表明したい」とした。

 ソフトウェア方式を押す委員が多い中、中村委員は、「いずれも、決着に時間が掛かるだけでなく、実装にも時間がかかる。未来を見据えた抜本的な方法を考えると同時に、民間で解決して実績をあげるためにトライしていくアプローチがあってもいいのではないか。例えば、B-CASの“事前実装”は評判が悪いようだが、早急に何らかのユーザーの利便の向上が行なえるのであれば、いますぐに旗をおろさなくても(選択肢から外さなくても)いいのではないか」と語った。

 見直しの方針の決定時期について、具体的には言及されていないが、「2011年の地上デジタル放送完全移行のため」という目標は共有しているとした。

□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□開催概要
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/kaisai/081222_1.html
□関連記事
【10月14日】B-CAS見直しで「チップ」や「ソフトウェア」など検討
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081014/soumu.htm
【8月29日】B-CAS問題やネット権について議論
−第5次中間答申/パブコメを受け、デジコン委員会開催
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080829/soumu.htm

( 2008年12月22日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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