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【CES】東芝、4KとフルHDの「Cell TV」や新超解像など
-SDカードやウィジェットなどの新展開も


会期:1月8日~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo
    The Venetian


 8日に2009 International CESが開幕。メイン会場となるLas Vegas Convention Center(LVCC)も開場した。東芝ブースでは、7日のプレスカンファレンスには用意されなかった、Cell TVの実機デモが行なわれているほか、北米向けのLEDバックライト搭載新REGZAや、高画質化技術、映像配信技術などが紹介されている。


■ 2009年秋の発売を目指すCell TV

 同社ブースの目玉として展示されているのが「Cell TV」。PLYASTATION 3に搭載されているLSI「Cell」を搭載し、高画質化や柔軟なインターフェイス、録画機能などを搭載した液晶テレビ「REGZA」の高付加価値モデルとして、2009年秋に日本で発売する予定だ。

 日本発売モデルは、40~50型クラスで1,920×1,080ドットのフルHDパネルを採用。LEDバックライトの部分駆動技術も導入するほか、Cellの演算能力を活かして、超解像処理「レゾリューションプラス」を進化させるなど、高画質化を追求。チューナは外付けとし、Cellを含む映像回路の多くをチューナ側に搭載。さらに、「HDレベルで全チャンネル一週間丸録りを実現する」ために、マルチチューナと3TB程度の大容量HDDレコーダを内蔵する。

 また、横4,000ドット、縦2,000ドット級の4Kパネル搭載モデルも2009年度内の発売を目標に、計画している。こちらは、米国での先行投入を予定しており、詳細は未定だが、HDコンテンツを超解像処理により4Kへ変換するなど、さまざまな先進的な機能を投入する計画という。

4Kパネルを採用した56型Cell TV試作機 フルHDパネルを採用した55型Cell TV試作機 Cell TVの外付けチューナユニット。有線/無線接続の双方を検討している

 今回のCES展示機は、56型/3,840×2,160ドットの4Kモデルと、55型/1,920×1,080ドットの2モデルを展示している。

 4Kモデルでは、4K対応のための超解像技術をデモ。なお、今回の4Kモデルのパネル解像度はフルHDのちょうど4枚分となる3,840×2,160ドット。4K/2Kというと、デジタルシネマ向けにDCIの規定する4,196×2,160ドットのパネルもあるが、製品化時に横が3,840ドット、4,196ドットのいずれになるかは、まだ確定していないという。

複数番組の動画同時再生も

 超解像処理のために、REGZA ZH/ZV7000などで搭載している超解像LSIを4基搭載し、それらをCellで制御している。デモ映像はフルHDのソースに4K超解像処理をリアルタイムで行なうものとなっていたが、実際に木々の葉のディティールなどの違いを確認できた。

 フルHDモデルのデモでは、超解像技術に加え、LEDバックライトと部分駆動技術による高コントラスト化などもアピール。コントラストは100万:1を実現するという。また、ネット動画用の超解像処理のデモも実施。約480×320ドットのネットダウンロード動画に超解像処理を行ない、フルHDパネルで、自然に再生できるという点もアピールしていくという。この処理には、超解像LSIではなくCellを用いるため、1回ではなく3回の再構成処理が行なわれ、より精度の高い超解像化を実現する。

 なお、7日のプレスカンファレンスでは、チューナユニットとディスプレイ間をWireless HD接続するというコンセプトを紹介していたが、実際に製品仕様はまだ未定。HDMIなどによる有線接続や他の無線方式なども含めて、検討を進めていく方針とする。

ネット動画風の低解像度コンテンツを用意 超解像処理により単純拡大表示時よりも高画質に再生できる 通常のスケーリング(左)と超解像(右)の違い

「新・レゾリューションプラス」のデモ 「新・レゾリューションプラス」の解説

 超解像技術についても、既発売のREGZAのものを強化した「新・レゾリューションプラス」のデモが行なわれている。進化点は「1,920×1,080ドット変換された低解像コンテンツ」に超解像処理が行なわれることだ。

 現在のREGZAでは、1,440×1,080ドットや720×480ドットなどの入力信号に対して超解像による高画質化を行なうが、1,920×1,080ドットの映像については超解像処理は行なわない。しかし、レコーダなどでSD解像度で録画した番組やDVDビデオを1080pにアップコンバートした信号をREGZAに入力すると、1,920×1,080ドットの1080p信号として伝送されてくるため、超解像処理が効かない。こうした問題を解消するため、新レゾリューション・プラスでは、入力信号の帯域情報などを検出することで、「元のソース映像としてはSDだが、1080pとして送られていくる信号」を判別、適切な超解像処理適応を可能とする。この技術も今後発売のREGZAに導入していく予定という。


「ClearScan 240」のデモ

 また7日に発表した、REGZA初のLEDバックライト搭載モデル「AV670シリーズ」や、120Hz倍速駆動に黒挿入技術を組み合わせ、残像感を大幅に低減する「ClearScan 240」技術のデモも行なっている。

 CEATECで公開後、「すごく好評で、商品化をという声も多い」という“壁寄せ”REGZAは基本仕様は変わらないものの、録画用として搭載しているSSDを、MLCタイプの256GBのもにのするという、地道に東芝の技術力を組み込んだ改良を続けている。


LEDバックライトを採用した「REGZA AV670」。米国では4月に発売 壁寄せREGZAには256GB SSDを内蔵した


■ Cellを応用したジェスチャ機能も。テレビ向け新技術多数

 Cellを使ったテレビ向け技術として、テレビ上の赤外線センサーで、視聴者の手のジェスチャを感知し、テレビの操作を可能とする「Spiral Motion Interface」のデモも行なわれている。なお、この技術は「第1弾のCell TVには間に合わない」とのこと。

「Spiral Motion Interface」のデモ

 テレビの番組や、ストレージに備えた写真などのコンテンツを柔軟かつ、高速、直感的に扱う3Dインターフェイスとして開発。テレビに向かって手をかざして、球状のコンテンツリストを上下左右に回転し、中央のポインタにあわせて決定すると、コンテンツ再生が開始されるなど、ユニークなUIを実現している。

 Cellの演算能力を活かした、高速な反応やスクロール動作が特徴。また、赤外線センサーの動き検出にも東芝と協力メーカーの独自技術を導入。具体的な手法については、特許出願中のため公表できないが、通常の赤外線センサーのような距離から動作を測定しているものではないため、高精度な動き検出が可能という。また、同センサーでは低コストな量産も見込めるという。

 1080p映像を非圧縮で伝送できる「Wireless HD」技術のデモも行なわれている。トランスミッタとレシーバーを用いたパソコンや、レシーバーからの映像伝送だけでなく、「レグザリンク」対応の切替機も用意。ワイヤレス/非圧縮伝送だけでなく、相互接続性という特徴を活かしたデモが行なわれている。

Wireless HDのデモ Wireless HD搭載テレビ PCなどの画像をワイヤレス伝送

 また、非接触で高速なデータ通信を可能にする技術「Transfer JET」もデモ。PDAで写真データを選択し、パソコンやテレビのTranfer JETポートにかざすだけで、データを転送できる。コンソーシアムでの規格が固まり次第、テレビやPC向けにさまざまな展開を考えていくとしている。

Wireless HDでレグザリンク(HDMI CEC)を通すアダプタも開発 TransferJETのデモ


■ ネットを使った新しいコンテンツ配信の取り組み

 ネットワークなどを使った新しいコンテンツ流通への取り組みも積極的に行なっている。

ネットワークプレーヤーのコンセプトモデル

 「ネットワークプレーヤー」と呼ぶ製品を中心としたネットワーク配信システムを紹介。Intel、Yahoo!などが提案している「TVウィジェット」を利用するためのもので、Yahoo!のプラットフォーム「Widget Channnel」を内蔵。テレビ画面脇や下に、eBayやCinema Now!、天気情報や、株価情報などのウィジェットを表示し、テレビを見ながらさまざまなネットコンテンツを確認できる。

 ウィジェットを開発するための、ソフトウェア開発キットなども提供され、多くの企業や個人などが参加できるため、さまざまな種類のサービスに対応可能という。このWidet Channelは、SamsungやLG、ソニーなどのテレビでも搭載される予定。

 東芝ではテレビへの搭載計画もあるが、ネットワークプレーヤーとしても発売予定で、同プレーヤーではウィジェットだけでなく、Windows OSのWindows Media Center(WMC)機能を同一ネットワーク上で利用できる「Media Center eXtender」(MCX)にも対応する。これにより、パソコンのWMCで管理しているビデオや楽曲、写真などをネットワークを介して再生できる点も、特徴。まずは2009年内に米国で対応機器の発売を見込んでいるという。

eBayやCinemaNowなどさまざまなウィジェットを用意 CinemaNowのウィジェット ネットワークプレーヤーのコンセプトモデル

SDを使ったMODビデオリテールシステムの解説

 また、同社の著作権保護技術「SD-SD」と、SDメモリーカードを使った新しい映像配信システムについても展示を行なっている。店舗のKIOSK端末などを利用し、SDカードにビデオをダウンロード販売するシステムで、米国で2009年中ごろのスタートを目指しているという。

 店頭のKIOSK端末で、任意のコンテンツを選択し、SDカードにコンテンツをダウンロードできる。配信フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264で、ビットレートは約2.5Mbps。1本の映画で約2~3GBの容量が必要となる。


店舗のKIOSK端末イメージ コンテンツを購入しているところ ダウンロードしたコンテンツを再生するプレーヤーの試作機

 特徴は、購入時に用いたSDカードをコンテンツ解除キーとして、さまざまな機器に映像を「コピー」できる点。例えば、対応再生ソフトが入ったパソコンやポータブルプレーヤー、対応テレビなどにSDカードから何回でもコンテンツをコピーできる。ただし、実際に再生する際のキーとして、購入に使ったSDカードが必要となる。SDカードを入れていない場合は、再生不可能なファイルとして蓄積されている。

 東芝のSD-SD技術と、米MODによる映像配信システムを連携。KIOSK端末などの整備はNCRが担当する。コンテンツの価格は未定。また、将来的なHDコンテンツ配信も検討しているが、ダウンロード容量の増加による店頭での待ち時間拡大などの問題もあるため、まずはSD解像度のコンテンツ配信から開始する計画としている。


SD-SDに対応した液晶テレビ ノートパソコンやポータブルプレーヤーなど対応機器で再生できる

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□2009 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/
□関連記事
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-アメリカでのテレビ事業、ネット戦略を語る
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090109/toshiba.htm
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-40~50型はフルHDでLED搭載。REGZAはネット強化
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【2008年9月25日】東芝、SDカードを利用した動画配信事業に参画
-米MODへ追加出資。再生機器などの開発を実施
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080925/toshiba.htm
【2009 International CESレポートリンク集】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/2009ces.htm

( 2009年1月9日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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