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オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「A&Vフェスタ2009」が21日、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜・カンファレンスセンターで開幕した。会期は2月21日~23日までの3日間。入場料は無料だが、Webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要。主催は社団法人日本オーディオ協会(JAS)。 A&Vフェスタは、2008年より2月開催となり、会場が従来の展示ホールではなく、カンファレンスセンターの個室が中心。各社のリスニング/シアタールームを利用した、体験型のイベントになっている。 ■ ソニーなどが体験ブースを展開
大手メーカーの参加はそれほど多くなく、ソニーやパイオニア、パナソニックなどがブースやシアタールームを展開している。 各社とも新製品の発表はなく、体験コーナーを中心にした展示で、ソニーは、Blu-rayプレーヤーやAVアンプ、ウォークマン、重低音ヘッドフォン「XB」シリーズ、PCMレコーダなどを展示している。 さらに、別フロアには、シアタールームやオーディオ試聴コーナーを設置。シアタールームでは、プロジェクタ「VPL-VW80」やBDプレーヤー「BDP-S5000ES」、AVアンプ「TA-DA5400ES」などを使ったデモや、AV評論家によるセミナーを開催。オーディオルームではスピーカーやPCMレコーダの紹介が行なわれていた。
パナソニックも専用シアタールームを設置。最新プロジェクタの「TH-AE3000」やシアターシステムなどをアピールしている。また、Neo PDP技術を採用したプラズマ「VIERA」の新モデルZシリーズ「TH-P50Z1」や、ブルーレイDIGA「DMR-BW950」の高画質/音質技術についても紹介している。
プロジェクタなどの映像機器は、メーカーによる展示は少ないが、AV機器販売のアバックがホームシアターコーナーを展開しており、4つのシアタールームを設置。エプソンや三菱電機の最新プロジェクタを各社のオーディオ製品と組み合わせたシアタールーム提案が行なわれていた。
■ “生録”を訴求。TASCAMの新PCMレコーダも 今年のA&Vフェスタの大きなトピックといえるのが、PCMレコーダなど高音質録音機器の提案。各社のポータブルPCM/DSDレコーダを集約した「ポータブルデジタルレコーダーコーナー」を展開している。 オリンパスイメージングやコルグ、ティアック(TASCAM)、ズーム、ソニー、ローランドなどがオーディオレコーダを展示しており、外部マイクなどの周辺機器も含めた提案が行なわれている。多くの機器が実際に操作することも可能となっていた。
その中でもティアックは、正式発表前のTASCAMブランドの新ポータブルPCMレコーダ「DR-100」を参考出展していた。4~5月に発売予定の同社DRシリーズのフラッグシップモデルで、価格は5万円前後になる見込み。 内蔵マイクは、音楽などを録音するための単一指向性マイクと、会議などを録音するための無指向性タイプをそれぞれ用意。さらに、外部マイク入力として、ファントム対応のXLR端子を装備し、より高品位なマイクも接続可能とした。マイクは専用のスイッチで切り替えられる。記録メディアはSD/SDHCメモリーカード。 電源は、内蔵リチウムイオンバッテリだけでなく、単3電池も利用可能とし、2つの電源を併用した際に長時間の連続録音が可能となる。充電を忘れた場合のバックアップなど、単3電池利用のニーズが高かったためとしており、録音シーンに応じた利用ができる上位モデルに位置付けている。
また、“生録”のイベントも実施。アフリカンパーカッションやジャズの演奏を実際に手持ちのレコーダで録音するというもので、録音する場合は録音席のチケットを購入する必要がある。イベントの時間は約1時間で、録音席のチケットは価格は1,000円。また、録音しない場合は無料で演奏を鑑賞できる。 ■ DTSは「スカイクロラ」などでDTS-HD MAを訴求
DTSは、専用のシアタールームでDTS-HD Master Audio(MA)を採用したBlu-ray Discの体験デモを実施。AV評論家によるセミナーやシアター体験などで、DTS-HD MAの音質などをアピールしている。 シアターでは、B&WのスピーカーやマランツのAVアンプ、ビクターのプロジェクタを利用。コンテンツは、ハリウッド映画に加え、Blu-ray発売前の「スカイクロラ」や現在映画公開中の「ボトムズ ペールゼン・ファイルズ劇場版」など、日本のコンテンツも用意。各回でコンテンツ内容を若干変えながらデモを行なっている。 また、ケンウッドが20日に発表した一体型CDオーディオシステムも展示している。型番などは未定で、試聴デモなども行なっていないが、DTSのフロントサラウンド技術「DTS Surround Sensation(SS)」を搭載したワンボディタイプの製品として、同技術とともにアピールしている。 DTS SSは、ステレオスピーカーまたはヘッドフォンにおいて、自然で立体的なサラウンドを実現するというサラウンド技術で、第1弾製品として発売されているオンキヨーの「GXW-2.1HD」も同社ブースに展示。さらに、DTS SSのデコーダを搭載したArcsoftのBD再生ソフトを使ったステレオ再生とDTS SS適用後のサラウンドの聞き比べデモも行なわれている。
■ 世界初のフルデジタルスピーカー
リードサウンドは、世界初という「フルデジタルスピーカー」を出展している。法政大学 理工学部 安田彰教授研究室とTrigence Semiconductor、リードサウンドが協力して開発。リードサウンドはスピーカー部の開発を担当しているという。 従来でも、デジタルのオーディオ出力信号をアンプの増幅段まではデジタル化できたものの、スピーカーを駆動するためにはLCフィルターでアナログ信号に変換する必要があった。そこでTrigence Semiconductorはデジタル信号をそのままスピーカーに入力できる新しいデジタル変調方式を開発。スピーカーユニットに直接デジタル信号を加えて音響信号に変換することを可能とした。 この変調/アンプ部をTrigenceでは「Dnote」と命名。Dnoteでは、まず入力したデジタルオーディオ信号をマルチビットΔΣ変調器を使い、複数のデジタル信号に分割。分割した信号は複数のスピーカーで合成されるときに元のアナログオーディオ信号に戻るように変調している。また、ユニット間の特性ばらつきに起因する雑音を後段の「ミスマッチ・シェーバー」で処理する。
フルデジタルスピーカーでは、デジタル制御で指向性やサラウンドなどの効果を加えやすいという特徴があるという。振動板も直線性に優れるという理由から平板のものを採用。この振動板はアルミハニカム構造を採用し、厚みは1.5mm。 また、低消費電力化が可能なことや、IC化により低コスト化が図れることも特徴。今回展示の2.1chスピーカーでも、6Vで駆動できるため、こうした特徴を訴求しながら、実用化を目指していくという。製品化の目標については「2年以内ぐらいに」とのこと。
■ その他
□A&Vフェスタ2009のホームページ ( 2009年2月21日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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