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スカパー! 4Kで10月から世界初4K HDR放送。HLG方式採用。'17年春に3ch展開

 スカパーJSATは、4K放送チャンネル「スカパー! 4K体験」において10月4日からHDR放送を開始する。「Hybrid Log-Gamma(HLG:ハイブリッドログガンマ)」方式のHDR放送により、4K放送の臨場感のさらなる向上を目指すとする。

4K HDR放送をスカパー! 4K体験で10月スタート

 124/128度CS放送の「スカパー!プレミアムサービス」、または「スカパー! プレミアムサービス光」の受信環境があれば、4K HDR放送を視聴可能になる。「スカパー! 4K体験」は5月1日より開局した3つめのスカパー! 4Kチャンネルで、ノンスクランブルで最新番組情報や風景映像、4Kスーパースロー映像などを放送している。

 4K HDR放送対応により、映像の明暗表現において、従来より広いダイナミックレンジを持ち、さらに自然な描写を可能とする。

 スカパーでは、HDR方式として「Hybrid Log-Gamma」(HLG)を採用。HLGは、NHKとBBCが共同で開発し、電波産業会(ARIB)で標準化されたHDRテレビ方式。従来のテレビ方式との高い互換性を持ちながら、明暗表現の広いダイナミックレンジを持ち、自然な描写が可能となる。HLGを選択したのは、「HDRに非対応のテレビで、HLGの信号を受信した際には、通常の放送が見られる」など、従来の放送/テレビ受信機における互換性の高さが最大の要因という。

HLG方式のHDRに対応

 10月4日22時15分のオープニング番組はロボットが企画・制作し、IMAGICAが技術を担当した「CGプロデューサー ヤナイ君~プロジェックションマッピング篇~(仮)」。CGプロデューサーのヤナイくんがプロジェクションマッピングの仕組みと技術を解説するという内容となる。

 当面は、スカパー! 4K体験で週2回、火曜日と木曜日の夜に1時間程度の4K HDR放送を実施。ヤナイくんのほか、ドラマ「螻蛄」全5話などを放送予定。スカパー! 4K総合や4K映画におけるHDR対応は、2017年春頃を予定している。

2017年春にはスカパー! 4K映画、総合でも4K HDR放送を

 HDR放送で強化するコンテンツは、スポーツや音楽ライブはHDR放送でより臨場感が高められると紹介。すでにUltra HD Blu-rayで先行してHDR化が進んでいる映画作品の導入も予定している。

4K映画も計画
音楽ライブでもHDRの効果は大きい

 対応テレビは、東芝が4K REGZA「Z20Xシリーズ」を8月下旬にバージョンアップし、HLG方式の4K HDR放送に対応。10月からのスカパー! 4K体験の4K HDR放送に対応する。また、東芝以外の4Kテレビにおいても、今秋以降に順次4K HDR放送に対応予定としている。

REGZA Z20XでHLGの4K HDR映像を表示

 4K HDR放送の実現のため、スカパー! は送出設備などを回収。HDR放送のためには、放送波にHDR信号の識別子を入れる必要があるため、東京 江東区のスカパー東京メディアセンターの設備の大規模改修を行なった。また、番組情報に[HDR]という名称を入れるために、システムを再構築したという。カメラや編集設備など「撮影」と、「送出」、さらにREGZA Z20Xなど「受信機」の各プロセスにおいて、HDR対応が完了。10月の4K HDR放送スタートを可能とした。

撮影/制作、送出、受信の各プロセスでHDRに対応

4K HDR放送を積極化。来季のJリーグは?

 スカパーJSATの高田真治代表取締役社長は、'15年の4K放送開始以降、400番組以上を放送し、'16年5月からは、テレビ売り場での販促に向けて4K体験を促すために、ノンスクランブル放送で「スカパー! 4K体験」を開始したことを紹介。さらに、2020年に向けたテレビの買い替え需要などから、テレビ受信機の需要拡大を予測。また、BS17chの4K/8K試験放送が8月にスタートし、パブリックビューイングが行なわれることから「4K/8Kの超高精細度映像の体験が進む」とした。

スカパーJSAT 高田真治社長

 そうした中でで、世界初の4K HDR放送を10月4日からスタート。現在対応決定しているテレビは東芝のREGZA Z20Xシリーズのみだが、「秋には他のメーカーもHDR対応していただけると期待している」とコメント。4K HDRコンテンツについても、オリジナルの連続ドラマを制作していることを明らかにし、4K HDR放送を強化する姿勢を示した。

 REGZA Z20Xシリーズで4K HDR放送対応した東芝映像ソリューション 安木成次郎 常務取締役 統括技師長は、ピーク輝度が1,000nitを超えるというZ20Xの輝度性能と、今回のHLG対応のように柔軟に機能追加できる映像エンジン「4Kレグザエンジン HDR PRO」の成果などを強調。昨年のInter BEEにおける実証実験の成果をもとに、本放送に間に合うようにHDR/HLG対応を進めたと語った。

東芝映像ソリューション 安木成次郎 常務取締役

 安木氏は、スカパー! 4Kチューナのテレビ搭載でも東芝が先陣を切ったが、「今後も4K対応で業界をリードする」と強調。REGZAにおいて、スカパー! 4Kチューナ内蔵モデルのラインナップをさらに強化していくという。

REGZAはスカパー4Kチューナモデルのラインナップを強化

 映画、音楽ライブとスポーツなどを4K放送で積極的に展開する方針だが、一方で、これまでスカパー! が中核となり、国内で放送してきたサッカーJリーグについて、2017年以降10年間の放映権をスポーツライブストリーミングサービスの「DAZN」が取得。DAZNは今夏からサービス開始するが、来季のスカパーにおけるJリーグの扱いが不透明となっている。

 スカパーJSAT 執行役員専務 有料多チャンネル事業部門長の小牧次郎氏は、「今年は全試合精一杯やる。来年以降のスカパーのJリーグへの関わり方は全部白紙で、これからです。サブライセンスの交渉をするかどうかも含めて未定」とした。