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Cerevo、H.265で1080/60p配信できる「LiveShell X」販売開始。69,800円

 Cerevoは、ライブ配信機器「LiveShell」シリーズの最上位モデルとして、H.265/HEVCで最高1080/60pでの映像配信が可能な「LiveShell X」を9月6日に発売した。直販価格は69,800円で、9月下旬より順次出荷を開始する。今年4月に製品発表されていたが、発売に合わせて新機能などが紹介された。

LiveShell X
LiveShell X

 PCレスでカメラとインターネット回線のみを使った配信が行なえるライブ配信機器。最高1080/60pの入力映像をH.265/HEVCまたはMPEG-4 AVC/H.264で圧縮する。映像ビットレートは最大20Mbps。音声圧縮形式はAAC-LCで、音声ビットレートは最大256kbps。

 対応配信サービスは、Ustream、ニコニコ生放送、YouTube Live、ツイキャス、Twitch、Facebook、FRESH! by AbemaTVなど。

最大3系統の同時配信に対応。配信×2/録画×1といった使い方も可能

 3つのエンコーダを搭載し、最大3系統の同時配信に対応。3系統利用時の最大解像度は1080/30p×1と720/30p×2。異なるライブ配信サービスや、同じライブ配信サービスの別アカウントを使い、同時配信が行なえる。

 PCやタブレットで、ライブ配信中の映像を確認できるモニタリング用のストリームも用意。VLCPlayerなどのアプリケーションを使って、配信中の映像をほぼリアルタイムで確認できる。

1080/60pは配信と録画が排他関係になる
タブレットからのモニタリング用ストリームも用意

 本体のmicroSDカードスロットに装着した、最大128GBまでのmicroSDXCカード(exFATフォーマット)への録画も可能。最大1080/60p録画や、1080/30pまでのライブ配信との同時録画で利用できる。

 H.265は、H.264に比べて約半分のビットレートで同等の画質を実現できるのが特徴だが、対応する配信サービスがまだ無く、現時点ではmicroSDカードへの録画やRTSP(Real Time Streaming Protocol)で利用できる。今後、各配信サービスでH.265が正式サポートされた後に、ファームウェアアップデートで配信利用に対応させる予定。

H.265対応。今後のファームウェアアップデートで配信利用が可能に

 入力端子はHDMI入力とステレオマイク入力を各1系統装備。ネットワーク機能はEthernetと、本体のUSB端子に装着する無線LAN対応ドングル(IEEE 802.11b/g/n/ac)で、無線LANは2.4GHz/5GHzに両対応。

背面
下面と側面

 各種設定は専用のWebサービス「Dashboard」から行なえ、3系統の設定画面を画面上のタブで切り替えるようにするなど、UIを改良。テロップ機能では新たに透過PNG画像もサポート。背景を透過させたテキストやウォーターマークなどを、配信映像と録画映像の両方に重ねられる。

「Dashboard」で透過PNG画像をサポート
透過PNGのテロップを出したところ
設定項目も強化
LiveWedgeアプリからLiveShell Xを操作しているところ

 本体はアルミ製で、側面にM4ナットと三脚穴を装備。下部にも三脚穴を備える。専用バッテリを内蔵し、連続約6時間駆動(3ストリーム配信・無線LANオン時)。ACアダプタでも動作する。交換用バッテリも今後用意される。外形寸法は102×100×42mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約480g(バッテリ含む)。

その他、細かい各種機能の強化も図った

「世界最強スペックのライブ配信機器」

Cerevo代表取締役の岩佐氏

 Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、同社のライブ配信機器への取り組みを紹介するとともに、LiveShell Xを「世界最強スペックのライブ配信機器」と表現し、高い機能性に自信を見せた。

 LiveShellシリーズは「LiveShell」、「LiveShell 2」、「LiveShell Pro」の3モデルが発売され、シリーズ累計生産台数は15,000台を突破。'09年のCEREVO CAM live!の発売以来、ライブ配信機器について5年以上取り組んでおり、「(Cerevoは)この市場では古株になった」(岩佐氏)。

歴代LiveShellシリーズを並べたところ

 ライブ配信サービスは'15年にTwitterによる「Peroscope」が提供開始され、'16年にはFacebook liveやLINE LIVE、FRESH! by AbemaTVもスタートするなど、新規サービスが数多く参入。岩佐氏は「こうした“時代の波”が来る以前からLiveShell Xの構想があったが、社内では『この先にライブ配信の新しい波はあるのか?』といった議論が交わされていた」と明かしたが、LiveShell Xの製品化と並んで新サービスが登場し、結果として“時代が追いついた”形になったという認識を示した。

 LiveShell Xは、ライブ配信のプロ向けという位置づけとなるが、H.265コーデック対応や、内蔵バッテリによる6時間駆動、exFATフォーマットでのmicroSDXCカード録画に対応するなど、LiveShellシリーズの中でも機能性を高めたモデル。岩佐氏は「昨今ではハードウェアエンコーダを搭載したさまざまなライブ配信機器が多数のメーカーから発売されているが、10万円、20万円を超える製品が多数。LiveShell Xはそんな中で10万円を切り、文句なしの強いスペックも備えた配信機器」と強調した。

LiveShell Xのハイスペックさを強調

 ただし、プロ用の映像機器ではHD-SDIやXLRなどの端子を映像伝送用に搭載するが、LiveShell Xでは非搭載。この点について岩佐氏は、「SDIの搭載は検討したが、LiveShell Xでは載せず、それ以外のスペックをハイパフォーマンスにした。ただしSDIバージョンはやりたいと考えてはおり、今後『これでSDIがあれば』という(ユーザーからの)声があれば、派生モデルを検討もしたい」とした。

 なお、現行の「LiveShell 2」と「LiveShell Pro」は今後も併売される。

同社の「LiveWedge」と組み合わせた利用も訴求していた