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世界初45型4Kでトップシェアを狙うシャープAQUOS。超リアル8K女子高生CG「saya」も

 シャープは20日、2016年年末商戦に向けたテレビ事業説明会を開催し、世界初の45型4Kテレビ「AQUOS LC-45US40」を中心にトップシェアを目指す方針を発表した。さらに鴻海傘下の新体制のもとグローバル市場への再進出を強化し、2018年度に'16年度の2倍となる1,000万台体制を確立することも表明した。

45型の4K AQUOS「LC-45US40」で4KシェアNo1を目指す

 8月27日付けで、テレビなどを手がけていた「コンシューマーエレクトロニクスカンパニー」が解消。テレビ事業やレコーダなどを担当していた情報家電事業本部は、液晶デバイスなどを中心とした「ディスプレイデバイスカンパニー」傘下に再編された。

45型4Kで「年末商戦4Kトップシェア」

 シャープ ディスプレイデバイスカンパニー デジタル情報家電事業本部の喜多村和洋 副事業本部長は、「ディスプレイデバイスカンパニーのもと、パネル技術と連携を図りながら、新たな需要を創出する製品を手がけていく」と基本方針を説明。国内市場では、'16年上期に4Kテレビの台数構成比が23%となり、特に40~52型が伸びている。そのため、4Kとしては世界初という45型の「LC-45US40」を9月30日に発売する。実売価格は19万円前後。

シャープ ディスプレイデバイスカンパニー デジタル情報家電事業本部 喜多村副事業本部長

 「LC-45US40」は、「過去のAQUOSで最も販売数が多い32型」のユーザーに買い替えを提案する戦略製品と位置づける。'10年以前に32型液晶テレビは2,410万台出荷されており、そのうち910万台がAQUOSだった。これらのテレビの買い換え期が近づいていることから、32型とほぼ同サイズの設置スペースで、画面面積はほぼ2倍となる「LC-45US40」を提案していく。

LC-45US40
45型4Kテレビの企画意図
「LC-45US40」は32型からの買い替えに最適とアピール

 画質面では、4Kの高解像度だけでなく、低反射N-Blackパネルの採用やリッチブライトネス技術による明るさなどの「見やすさ」を訴求。音質ではオンキヨーとの共同開発による、2.1chスピーカーの「聞きやすさ」を、さらに左右30度スイーベルスタンドの採用による「使いやすさ」など、最新製品ならではの画質、音質、使いやすさを紹介していく方針。

LC-45US40の特徴

 45型の追加により、'16年の年末商戦の4K AQUOSラインナップは、7サイズ11機種となる。「様々なニーズに応えるラインナップができた。よりいっそう4K構成比を高めて、4K市場のトップシェアを盤石にしていきたい」(喜多村副事業本部長)という。

7サイズ11機種で4K AQUOS展開
年末商戦向けのラインナップ

'18年度に1,000万台規模に。8K sayaなど8Kで新たな市場開拓

 また、発表会場には120型の4Kテレビ試作機や、中国市場で発売している90型2Kテレビ、リオ五輪のパブリックビューイングにも使われた85型/8Kディスプレイなどを展示。喜多村副事業本部長は、「大型や8Kなど、さまざまなサイズや用途を取り揃えて、グローバルでフルラインナップを提案していく。鴻海との協業により、2018年度にはグローバルで'16年度比2倍の1,000万台を目指す」との目標を掲げた。

巨大な120型4Kテレビ試作機も披露

 近年のシャープのテレビ事業は、欧州で自社展開から撤退し、ブランド供与に移行するなど、近年は収益重視で国内回帰していた。しかし鴻海傘下では、再びグローバルでの拡大戦略を取ることとなる。

「『シャープを輝けるブランドにする』を、新体制の経営方針に掲げており、グローバルにブランドを高めるべく、さまざまな取組をやっていく。特に、ブラウン管テレビから液晶への移行が進む地域が多く、ASEAN、中国をメインに、海外事業を拡大し、販売数量を伸ばしていく。8Kを含めて強化し、日本市場の成長にも期待している。特にシャープブランドが強い、ASEAN地域についてはシェアを確保していく方針」(喜多村副事業部長)

 また、鴻海との協業による新機種は、'16年末にグローバル市場向けに展開予定。鴻海の規模を活かした「調達力」と「生産力」、「物流」の強さと、シャープによる「開発力」と「品質」、「提案力」をグローバル展開するという。鴻海が強みを持つ中国市場は8Kへの期待も高いことから、中国市場での伸びを期待。また、日本市場にも順次鴻海協業成果を活かした新機種を導入予定としている。

 120型などの大型は、BtoBを中心に販路を模索し、国内展開も視野に入れる。8Kテレビの民生向け展開は「('18年予定の)本放送の前には投入したい」とした。

8K放送をチューナの「TU-SH1000」で受信し、8Kモニターの「LV-85001」で表示
8K放送チューナ「TU-SH1000」。4系統のHDMI出力から4K出力し、8K映像を生成。8K映像処理のLSI化や出力インターフェイスなどが今後の課題のこと

 テレビ以外の8Kの新たな展開として、会場で紹介したのは、アーティスト「TELYUKA」(テルユカ)による女子高生3DCGキャラ「saya」の8K CG。超リアルな女子高生3DCGを8Kで表現することで、微妙な凹凸や光の反射による顔の表情のリアリティや髪の毛の描写を高め、「現実と見紛う」クオリティの映像を実現できることを紹介。今回のデモでは、数枚の静止画の紹介となっていたが、TELYUKAとのコラボにより、年内には動画での8Kデモも行なう予定とのこと。

8Kモニター「LV-85001」でsayaを表示