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オーテク、アナログレコード用カートリッジ9機種。モノラルやSP盤専用モデルも

 オーディオテクニカは、アナログレコード用カートリッジの700シリーズ3機種、500シリーズ4機種、モノラル盤やSP盤向け600シリーズ2機種の計9機種を12月9日に発売する。価格は500シリーズの「VM530EN」が23,000円、700シリーズの「VM760SLC」が8万円など。

VM760SLC

 合計9機種あるが、ベースとなるボディは700、500、600シリーズの3種類。そこに、7種類の針先が組み合わされ、9機種が構成されている。針先の交換はユーザーもできるため、交換によって音の違いを楽しむ事もアピール。'79年発売の同社製カートリッジでも、新しい針が利用できる互換性の高さも紹介された。

互換性の一覧

 VMカートリッジはMMカートリッジの一種だが、ホームリスニンググループの高橋俊之リーダーは特徴として、「VMが他社と大きく異るのはマグネット部分。他社はマグネット1つでLRチャンネルを発電するが、オーディオテクニカは2本のマグネットをV字型に配置し、電気信号を生む。これにより、分離感が非常に良くなり、クロストークも良くなる」と利点を紹介。

右がVMシリーズの基本構造図。左はレコード盤に溝を彫るカッターヘッドの構造図。よく似ているのがわかる

 また、接合丸針は音が野太く、「ディープ・パープルなどをパワフルに聴きたい時にピッタリ」、マイクロリニア針は繊細で「キーボードとベースの分離感や綺羅びやかな音を楽しみたい時に良い」といった、針先による音の違いも紹介。1枚のレコードを、好みに合わせた音で再生できる楽しさもアピールした。

発表会場には針先の模型も展示された

700シリーズ

 700シリーズの価格は「VM760SLC」が8万円、「VM750SH」が5万円、「VM740ML」が42,000円。

VM760SLC

 「VM760SLC」はVM型。精密に研磨された軽量のスタイラスチップを採用。広帯域再生・低歪率を実現したという。

 軽量化を図ったアルミニウムテーパーパイプカンチレバーや、発電効率を高めるパラトロイダルコイル、クロストークを改善するセンターシールドプレートも採用。

 「VM750SH」もVM型。高音域の再生能力を要求される、4chレコード再生用として開発されたシバタ針を搭載。「VMカートリッジでは、豊かな中低域の再生も得意とする」という。

 「VM740ML」もVM型。マイクロリニア針をダイキャストアルミニウム合金ボディに搭載。「優れた高域の再生能力に加えて、明確な音像定位が得られる」とする。

VM750SH
VM740ML

500シリーズ

 500シリーズは「VM540ML」が32,000円、ヘッドシェル付きの「VM540ML/H」が36,000円。「VM530EN」が23,000円、ヘッドシェル付き「VM530EN/H」が27,000円、「VM520EB」が16,000円、ヘッドシェル付き「VM520EB/H」が20,000円。「VM510CB」が14,500円。

VM540ML
VM530EN
VM520EB
VM510CB

 共通する特徴として、軽量化を図ったアルミニウムパイプカンチレバー(540はアルミニウムテーパーパイプカンチレバー)、発電効率を高めるパラトロイダルコイル、クロストークを改善するセンターシールドプレートも採用。高剛性の樹脂ハウジングを使っている。

VM540

 「VM540ML」はVM型。マイクロリニア針を搭載したスタンダードモデルで、針が磨耗しても針先の曲率半径が変わらないため、レコードの内周部でも低歪みだという。

 「VM530EN」は軽量な無垢楕円針を搭載したVM型。振動系の実効質量を軽減した楕円針の上位モデル。これにより、広帯域再生が可能になったという。

 「VM520EB」は、接合楕円針を搭載した楕円針のスタンダードモデル。トレーシング歪みが低減され、より正確に情報を引き出せるという。

 「VM510CB」は、接合丸針を搭載したVMカートリッジのエントリー。セッティングに左右されにくい丸針を使う事で、安定したトレーシング性能を誇る。

600シリーズ

 600シリーズは「VM670SP」が20,000円、「VM610MONO」が17,000円。

VM670SP
VM610MONO

 VM670SPは先端曲率半径の大きい丸針を搭載したSPレコード専用モデル。曲率半径3milの針は幅広い年代のSPレコードに対応できるという。VM型。

 VM610MONOは、モノラル専用ボディに接合丸針を搭載したモノラルLP専用モデル。専用内部配線によりレコードのサーフェイスノイズを低減し、安定した再生音が得られるという。