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デジタルコンテンツEXPOで、競技を分かりやすく伝えるライブ映像技術やドームVRなど展示
2016年10月28日 11:33
10月30日までお台場の日本科学未来館で行なわれているイベント「デジタルコンテンツEXPO 2016」において、スポーツイベントでの活用が期待されるコンテンツ技術が数多く出展。バレー競技などでボールの軌跡をリアルタイムで可視化する技術や、プラネタリウムのようなドーム内にスポーツ試合映像を中継・投写するソリューションなどが展示されている。
球技中継にボールの軌跡をCG合成。リアルタイムトラッキング技術の展示
NHKが開発した「3次元リアルタイム物体追跡」は、球技試合をカメラで捉えながら、映像にリアルタイムでボールの軌跡を表すCGを重ねる技術。競技の状況を分かりやすく伝えることを目的としている。
ボールを投げ上げているところを3台のカメラで捉えて多視点映像を生成し、カメラの位置・姿勢とあわせて写っているボールの3次元位置を算出。その結果をカメラの映像上に軌跡CGとしてリアルタイム描画する。ボール位置の抽出は形状や色などの特徴に基づいて自動で行なわれる。
トラッキング精度を向上させる手法として、ある時点のボール位置から次フレームのボール位置を予測し、探索範囲を限定。カメラをパン・チルトさせても設置位置や姿勢を整合させる校正手法も開発した。これらを活用したイメージとして、バレーボールの相手コートへの進入軌跡やボールの速度、打点の高さを表示するデモ動画が展示されていた。
コンセプトと、データスタジアムの共同ブースでは、画像認識による計測技術「Qoncept 4D Tracker」を使った卓球のデモを実施。ブースの上方から卓球台を見下ろすように設置されたカメラの映像を使い、ボールの軌跡や球速を卓球台の盤面にプロジェクタで投影していた。
システムは標準的な放送用カメラとパソコンで構成でき、選手や用具に測定機器を付けること無く、カメラから取得した画像認識のみで対象物の3次元位置をリアルタイム計測可能。抽出アルゴリズムを工夫し、卓球の玉が小さく写り、映像中で画像領域が15〜20ドット程度でも安定して検出できるという。
ライブ映像で自在に視点変更。自走ロボット+360度カメラとドームでVR体験も
筑波大学 計算科学研究センター 画像情報研究室は、21台のカメラを半円状に並べた「自由視点映像スタジオ」を設営。スタジオ中央で繰り広げられるダンスパフォーマンスの多視点映像をリアルタイム処理で統合し、任意の視点や注目点に切り替えられる自由視点映像をディスプレイに表示するデモを実施している。
生成される映像はVGA解像度。タブレットのマルチタッチ操作で、直感的な視点操作が行なえる。スポーツ中継で「注目の選手だけを追いたい」など、個人の趣向に合わせて自由な視点での観戦が可能になることを目指す。
凸版印刷は2つのブースを出展。来場者が4人ほど入れる小型ドームスクリーンと、360度カメラを取り付けた自走式の「テレプレゼンス・ロボット」を会場内の離れた場所に置き、ロボットからネットワーク経由で送られるリアルタイム360度映像をドームスクリーンに投影。WebRTC(Web Real-Time Communication)技術を活用し、ロボットがいる場所の人と、ドーム内の人の間で、映像/音声を使った双方向コミュニケーションができる。
利用者がロボットに搭乗した気分で遠隔地の会場を自由に動き回ったり、スポーツ選手と会話するなどのシチュエーションを想定したもの。ロボット側のブースは、東京大学大学院情報学環 暦本研究室と協力して展示している。
和歌山大学観光学部 URCF全天周WGは、ドームシアター施設などのシステム構築を手がけるオリハルコンテクノロジーズとキヤノンの協力による「全天周ドームシアター」を展示。大型の仮設ドームシアターに、魚眼レンズを装着した2台のキヤノン製プロジェクタを設置し、バスケットボールの試合や伝統芸能行事の映像を流し、映像の全天周投写による没入感の高さをアピール。
ドーム映像の研究を実施してきた組織や団体の協力を得て、プラネタリウムでバスケ試合など、これまでは見られなかったジャンルのコンテンツ上映を行なうなど、ドーム映像の新しい活用法を提案している。