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まもなく1,000万DLのAbemaTV、テレビ対応を強化。積極投資や縦画面対応も
2016年10月28日 19:13
サイバーエージェントは27日、2016年度通期決算を発表し、テレビ朝日との合弁会社で展開している映像配信サービス「AbemaTV」の状況を報告した。AbemaTVのアプリダウンロード数が間もなく1,000万件突破するなど好調で、視聴時間の長いテレビ対応を強化する方針などを説明。「マスメディア」を目指し、当面は収益度外視で投資を行なっていくことを強調した。
AbemaTVは、自社制作・調達コンテンツを中心とした「インターネットテレビ局」。広告付きの無料放送という民放テレビと同じビジネスモデルだが、有料の見逃し配信サービスも用意する。
4月11日の本開局から6カ月強で、27日時点のアプリダウンロード数は968万。「(31日から始まる)来週には1,000万を突破する予定。このスピードで1,000万は手応えとしては十分」(藤田晋社長)とした。
また同社が重視している、週間アクティブユーザー数(WAU)は約300万人弱、7月時点では244万だったが順調に伸びている。月間アクティブユーザー数(MAU)は593万人。「視聴習慣としてAbemaTVを開くことを重視しており、DAUが100万、WAUが300万、MAUが600万ぐらい。継続性を重視しているが開始以来着々と積み上がっており、順調」とした。
ただし、「この数字では、『マスメディアになり、マスメディアとしてふさわしい広告、金額が入り、その金額を十分にコンテンツに投資することで成立する』という、AbemaTVのビジネスモデルの規模にはなっていない。2~3年は損益を考えずに投資する考えなので、来季も先行投資期。今の規模で広告を売って、損益を平均しても意味がないと考えている」と語り、2017年度も積極的な投資を行なう姿勢を示した。
AbemaTVスタート時には30~40歳台が多かったが、夏以降は若年層の比率が大幅に拡大した。4月時点では20%だった女性比率も、ドラマチャンネルの追加などにより、9月には35%まで拡大。「当然、将来的には50:50まで持っていく」とした。
2016年の投資額は、半年で100億円だが、2017年度は1年で200億円を見込む。内訳はオリジナルコンテンツが40%、外部コンテンツ調達に30%、広告宣伝に18%、その他に12%と見込む。
藤田社長は、「損益度外視と言ったが、『最後は粘り勝ちになる』と考えており、10年がかりで成長させる。例えば(サッカー)日本代表の試合を買って流す、とかはやらずに、身の丈にあったコンテンツ投資を行なう」と説明した。
AbemaTVにおける広告販売規模は開示していないが、「ある程度の規模になってきた」とのこと。今後は配信、プランニングツールの強化により、AbemaTVオリジナル商品を開発するという。
デバイスごとの視聴状況は、「だいたいスマホ8割、PCが1割、タブレットが1割」とのことで、今後、テレビデバイス対応を強化する方針。
8月にChromecastに対応し、10月24日からはFire TV/TV Stickに対応したが、Chormecastのケースでは、一人あたりの視聴時間がスマホなどのTV以外のデバイスより3.3倍と高くなった。さらに、「集計時間は短いが、Fire TVはChromecastのさらに2倍、スマホの6倍以上になっている。好調なスタート。来月には、Apple TVとAndroit TVに対応していく」と語った。Fire TVではニュースチャンネルを試聴しているユーザーが多いという。
加えて、画面の縦型対応やバックグラウンド再生も、2017年1月を目処に対応予定。「1,000万 WAU規模のマスメディアを目指す。そこまでいかないとマスメディアとはいえないし、成功したとは言えない。いまは腰を据えて投資を行なっていく」とした。
サイバーエージェントの2016年度通期売上高は過去最高の3,106億円(前年比22.1%増)、営業利益367億円(同12.3%増)。2017年度の売上高見通しは3,600億円、AbemaTV等への投資増により、営業利益は前年比23.9%減の280億円を見込む。