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KKBOXがDTSと連携、ヘッドフォン向け新オーディオ技術採用。HoloLens対応も

 定額制音楽配信サービス「KKBOX」は、DTSとパートナーシップ契約を締結。DTSのヘッドフォン/イヤフォン向け新オーディオ技術「DTSエフェクト」の導入を12月1日より開始する。iOS/Android用のKKBOXアプリが同日よりアップデートされ、利用可能になる。'17年6月30日までは、有料サービス加入者だけでなく、初回1カ月の無料期間中もDTSエフェクトを利用可能。有料会員の料金は月額980円(税込)で、iTunes Store決済は月額1,080円(税込)。

KKBOXが、ヘッドフォンで利用できる「DTSエフェクト」を採用

 また、今後の展開としてKKBOXがマイクロソフトのARヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」にも、'17年をめどに対応することを予告。独自の操作性を活かしたアプリのデモが行なわれた。

HoloLens対応をデモ

KKBOXがヘッドフォン向け「DTSエフェクト」を採用

 台湾をはじめとするアジア最大の音楽配信サービスであるKKBOXが、映画やホームシアターなどのサラウンド音声技術で知られるDTSと提携。DTSの新たなヘッドフォン向けステレオオーディオ技術「DTSエフェクト」を導入する最初のサービスとなる。

アプリのアップデートでDTSエフェクトが利用可能になる

 「DTSエフェクト」は、ヘッドフォンから聴こえるステレオ音声が、頭の中心で定位する状態を緩和し、ライブ会場のスピーカーなどのように、広がりのある音で聴こえることを目指しているのが特徴。イコライザで音質に変化を持たせるのではなく、元の音を活かしたまま、前方または周囲から聴こえるように切り替えて利用できる。

DTSエフェクトの特徴

 なお、既にDTSが展開している「DTS Headphone:X」とは異なり、サラウンドではなくステレオ音声向けに開発している。また、専用の音声コンテンツやヘッドフォン/イヤフォンでなくても、KKBOXで配信されている全楽曲と、手持ちのヘッドフォンで利用できる。

 DTSエフェクトはON/OFF可能で、再生画面の右上にあるDTSロゴをタップして設定。3種類のサウンドエフェクトを用意しており、より広いサウンドフィールドで音を楽しめる[ワイド]、目の前にアーティストがいるように、前方から聴こえる[フロント]、高音と低音を際立たせたバランスの取れたステレオ効果で音の細部を感じられるという[トラディショナル]から選べる。また、実際に使う機器に合わせてヘッドフォン/イヤフォンのどちらかも選択する。

DTSエフェクトの設定画面

 KKBOXは、DTSエフェクトの採用を記念して、おすすめの楽曲をジャンル別にセレクトした「DTSエフェクトを楽しむためのプレイリスト」を公開。ライブハウスのロックや、ジャズバラード、映画音楽、ヒーリング・環境音楽、J-POPなど、ジャンル別のプレイリストがある。

KKBOX対応デバイス拡大。'17年にはHoloLensも

 「KKBOX」は、日本を含むアジア6カ国で展開。スマートフォンなどマルチデバイス対応で、国内では2,000万曲以上を聴き放題で楽しめる。離れたユーザー同士で同じ楽曲を聴きながらチャットを楽しむ「Listen with(一緒に聴く)」機能なども利用可能。

 10月に大規模なリニューアルを実施しており、ディープラーニングによって、ユーザーの好みに合わせた音楽を提案する「Discover」機能を採用。対応デバイスを拡充し、カーナビなど車載端末のAndroid Autoと、Apple CarPlayへの対応も開始している。このほかにも、Apple TV、Xbox、Apple Watch、Android Wearといったデバイスにも対応を広げている。

Apple TVや、Chromecastなどに対応
Apple Watchからも操作可能
車向けにCarPlayとAndroid Autoにも対応
Xboxとも連携

 KKBOX Japanの八木達雄代表は、「一生のうちに人が出会える曲を1曲でも増やすことを目指して環境を整備している」とKKBOXの方針を説明。車やリビングなど、様々な場所で聴けるように対応デバイスを拡大していることなどを紹介。

KKBOX Japanの八木達雄代表

 さらに、今後はマイクロソフトのAR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である「Microsoft HoloLens」にも対応予定。正式な対応時期は明らかにしていないが、'17年の開始を見込んでいる。なお、既報の通り、HoloLensは開発者・法人向け予約注文が、オンラインストアMicrosoft Store上で12月2日より開始される。

HoloLensでの動作に今後対応予定

 HoloLens用のアプリとしてKKBOXが動作し、ヘッドフォンから音を聴くことが可能。指を動かすジェスチャーで、選曲や再生などの操作が行なえ、他のアプリを使用しながら、マルチタスクでKKBOXを聴くことも可能。現時点では、装着者が1人で聴く形となっているが、他のユーザーと同じ曲を一緒に聴くといった連携機能も計画している。

HoloLensで操作しやすいUIを採用している
HoloLens向けに開発中のアプリのデモ動画

Play-Fiに続き、DTSとのコラボが実現。Play-FiはAlexa対応も

 dts Japanの黒川剣代表取締役は、DVD普及などに合わせて発展したDTSの歴史と、クラウド化が進む音楽業界の変化に合わせて、パートナー契約をKKBOXと結んだ背景などを説明。

dts Japanの黒川剣代表取締役

 DTSとKKBOXの連携は、ワイヤレスマルチルーム再生が可能な「DTS Play-Fi」に、いち早くKKBOXが対応していることから既にスタートしており、数ある音楽配信サービスの中でも差別化に積極に取り組むKKBOXの姿勢に共感し、今回の新機能であるDTSエフェクトでの連携も決まったという。

 Play-Fiは、無線LANを使って音源を対応オーディオ機器にロスレス伝送できる技術。スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器から、DTS Play-Fi対応スピーカーなどに音声出力が行なえる。異なるブランドやメーカー間の製品でもシームレスな相互操作を実現。マルチルームで複数台のスピーカーからロスレスサウンドを楽しめる。

 音楽サービスでは、KKBOX以外にSpotifyやTIDAL、Amazonプライムミュージックなども対応。9月には、オンキヨーとパイオニアがハードウェアのパートナーとして参入し、サウンドバーやAVアンプなどで順次対応を進める。

DTS Play-Fi対応のスピーカーなど

 dts Japanの黒川氏は、今後のPlay-Fiの展開として、Amazonの「Alexa」プラットフォームにも'17年に対応すると予告。音声アシスタントなどを特徴とするAlexaに対応することで、Amazonが米国で発表したスピーカーの「echo dot」などを使って、声による操作でPlay-Fiが利用可能になるという。

AmazonのAlexaにも今後対応予定