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パナソニック、GH5やTechnics新ターンテーブル発表。ディズニーとプロジェクションマッピングで協業

 パナソニックは現地時間の4日、「CES 2017」のプレスカンファレンスにおいて、次世代ミラーレスカメラと位置づける「LUMIX GH5」や、Technicsブランドの新製品として、Gクラスの新たなターンテーブル、スピーカーシステム、ステレオインテグレーテッドアンプを発表。さらに、プロジェクションマッピング技術におけるディズニーとの協業や、エネルギー分野におけるテスラとの協業も発表した。

会見の冒頭には松下幸之助氏のエピソードに触れた

GH5やTechnicsの新製品を発表

 コンシューマ向け製品については、パナソニック コンシューマエレクトロニクスのマイケル・モスコビッツプレジデントが説明。

パナソニック コンシューマエレクトロニクスのマイケル・モスコビッツプレジデント

 モスコビッツ氏は、パナソニックが、「顧客の声を聞く」、「新技術への投資」、「高品質な製品を提供する」という3つの点を重視してきたことに触れながら、いくつかの新製品を紹介した。

 最初に、「CIO」と略す、カウンタートップ・インダクション・オーブンを紹介。「健康的な食事を2時間もかからずに調理できる製品」とし、「グリルやローストなど、6つの調理モードを利用し、ステーキや鶏肉、ジャガイモ、野菜を簡単に調理できる」とした。レシピについては、allrecipes.comと提携して提供する。

 また、Technicsブランドの新製品として、Gクラスの新たなターンテーブル「SL-1200GR」、スピーカーシステム「SB-G90」、ステレオインテグレーテッドアンプ「SU-G700」を発表。「これまで14品目のTechnics製品を投入してきたが、伝説的なブランドを、さらに強固にする3つの新製品を投入する」と述べた。Gクラスの新製品は、2017年中の発売を予定している。

Technicsの新たなターンテーブル「SL-1200GR」

 さらに、次世代ミラーレスカメラと位置づける「LUMIX GH5」を正式に発表。ミラーレス一眼カメラとしては世界初となる4K/60p動画記録や、4:2:2 10bit 4K動画記録、6Kフォトの提案といったGH5ならではの特徴を訴求。「これらの機能はプロのビデオカメラでのみ採用され、1万ドル以上のコストがかかっていた。だが、それを身近にすることができる」とした。

会見会場に展示されたGH5

 そして、「パナソニックはイノベータであり、発明者でもある。そして、100年近く革新を続けてきた。これからも顧客に必要なものを提供し続け、次の100年においても、顧客の声を聞き、求められるものを提供していく」と述べた。

GH5を壇上で紹介するモスコビッツプレジデント

「パナソニックとテスラは、エネルギーの新たな歴史を開く」

 パナソニックノースアメリカ BtoBマーケティング担当バイスプレジデントであるローレン・サラータ氏は、あと1年で、パナソニックが創業100周年を迎えることに言及。創業者である松下幸之助氏が、自転車のランプ製造から事業をスタートしたことや、「生産、販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」を使命として打ち出し、現在に至るまで、革新的な製品を開発してきたことなどに触れながら、「パナソニックは家電製品の製造だけに留まらず、統合ソリューション企業となり、とくに北米ではBtoB市場に焦点を当てたビジネスを行なっている。パナソニックは、全世界の人々の生活の質を豊かにし、改善するための技術を持っている」などと切り出した。

パナソニックノースアメリカ BtoBマーケティング担当バイスプレジデントのローレン・サラータ氏

 続いて登壇したパナソニックノースアメリカのジョゼフ・テーラーCEOは、「パナソニックは、北米においては、非コンシューマービジネスで事業を拡大してきた。その成果の1つとして、テスラモーターズのギガファクトリーにおいて、リチウムイオンバッテリセルを生産することを発表する」。「パナソニックとテスラは、エネルギーの新たな歴史を開くことになる」と宣言した。

パナソニックノースアメリカのジョゼフ・テーラーCEO
テスラのギガファクトリーでのリチウムイオンバッテリーセルの生産について発表

 また、薄くて、曲げることが可能なリチウムイオンバッテリを開発し、これを手に持って紹介。スマートカードやウェアラブル機器、衣類などに電力を供給できるようになり、IoTの普及に貢献できると位置づけた。

手で曲げることが可能なリチウムイオンバッテリーを紹介

 ここでも、約85年前に、松下幸之助氏が競合製品よりも10倍長い寿命を持つ自転車用ランプバッテリを開発したことに触れ、「パナソニックはエネルギー資源の開発を続けており、今では、リチウム電池と電気自動車用リチウムイオン電池の世界最大のメーカーになっている」とした。

 また、米コロラド州デンバーにおいて、2015年からスタートしたスマートシティプロジェクト「CityNOW」の取り組みについても説明。デンバー市のマイケル・ハンコック市長が登壇し、「スマート街路灯が、都市を明るくし、安全を実現している。さらに、エネルギー効率の向上によるコスト削減も実現している。新たに、デンバー国際空港につながる道路に沿ってLEDサインを設置する。また、デンバー国際空港の近くに、マイクログリッドと蓄電池の実証実験施設を建設する予定である。これにより、デンバーから停電や停電の脅威を排除し、エネルギーの未来をより安全かつ持続可能にし、住民にとってより住みやすく、ビジネスによる投資にもっと魅力的なものにすることができる」などとした。

デンバー市のマイケル・ハンコック市長

パナソニックのプロジェクションマッピングがディズニー公式技術に

 パナソニック AVCネットワークス社の榎戸康二社長は、2017年4月に、AVCネットワークス社から、名称を変更するコネクテッドソリューションズ社が、アビオニクス、エンターテインメント、製造、小売、物流、公共の6つの領域にフォーカスしたBtoB戦略を推進していることを示しながら、「エンターテインメント事業では、リオデジャネイロオリンピックの開幕式よび閉幕式において、7年間に渡りトップシェアを持つ高輝度商業用プロジェクターを活用したプロジェクションマッピング技術、システムインテグレーション技術、ビデオ制作技術によって、パナソニックならではの成果を発揮した。この技術は、2020年の東京オリンピックを待つことなく、ダラスカウボーイズの本拠地であるAT&Tスタジアム、チャーチルダウンズ競馬場、テキサスモータースピードウェイのほか、現在建設中のアトランタブレーブスの本拠地になるサントラストパークなど、全米の競輪場、競技場、スタジアムに導入されている」などとした。

パナソニック AVCネットワークス社の榎戸康二社長

 さらに、「リゾート施設とテーマパークにもこの技術は活用できる」として、ディズニーとの提携を発表。会場には、ミッキーマウスがゲストとして登場した。

光ID技術であるLinkRayを使って、スマホにミッキーマウスを表示
会場にはミッキーマウスが登場した

 米ディズニー コーポレートアライアンス担当バイスブレジデントのカルロス・カストロ氏は、「今年夏には、パナソニックの業界最先端のプロジェクション技術を利用した次世代のアトラクションを実現することになる。パナソニックともに、エキサイティングで 革新的な新しいおとぎ話を考え続けていくことになる」などと語った。

米ディズニー コーポレートアライアンス担当バイスブレジデントのカルロス・カストロ氏

 パナソニックは、ウォルトディズニーパークス&リゾーツの「公式プロジェクション技術」として認定され、フロリダ州レイクブエナビスタのウォルトディズニーワールドリゾートと、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランドリゾートにおいて、パナソニックのプロジェクションイメージングテクノロジーを駆使したアトラクションが展開することになる。

 榎戸社長は、「今回の提携により、パナソニックブランドは、何世代にもわたる信頼を獲得することになる」などとした。

3人が並んでパナソニックとディズニーとの協業を発表

既存の1~2世代先になる車載向けインフォテインメントシステム

 続けて、パナソニック オートモーティブシステムカンパニーのトム・ゲッパートプレジデントが登壇。パナソニックにとって、北米最大の事業となるオートモーティブ事業について説明。テスラとのギガファクトリーにおける協業に言及する一方で、パナソニックが取り組む「スマートモビリティ」についても説明した。

パナソニック オートモーティブシステムカンパニーのトム・ゲッパートプレジデント

 ゲッパート氏は、「旅行者の感性に合わせて、スマートなモビリティを提供することができる」と前置きし、クアルコムとGoogleとの連携によるAndroid搭載のインフォテイメントソリューションのコンセプトを発表。サイズや解像度が異なるディスプレイでも、各種アプリを最適に表示し、目的地までの案内や、音楽ファイルの再生、車内の空調コントロールを実現することなどを示した。「これは、既存のインフォテインメントシステムより1~2世代先になるもので、安全で、直感的な体験が可能になる」という。

 また、「PORTAL」と呼ぶ次世代の自動車コックピットを紹介。ドライバーを顔認証する機能や、個人ごとのオーディオ設定、レストランのオーダーが行なえる機能などを提供するという。この技術においては、IBMと協業している。

PORTALと呼ぶ次世代コックピット

 第4世代のUConnectシステムに対応したインフォテイメントシステムの提供や、自動運転の時代を視野に入れた対面型のキャビンをコンセプト発表。コロラド州で高速道路を活用した車-車間および車-路間接続による新たな運転支援システム「ROAD X PROJECT」に取り組んでいることなどにも触れた。コロラド州交通局ディレクターのシャイレン・バット氏は、「この技術の導入により、事故を80%減らすことができると予測している」とした。

自動運転の時代を視野に入れた対面型キャビンのコンセプトを発表
コロラド州交通局ディレクターのシャイレン・バット氏

 プレスカンファンス全体を通じて、BtoB関連の話題が中心となったが、その一方で、2018年に創業100周年を迎える節目に向けた発言も多く、100周年に向けての同社の方向性を改めて強調したプレスカンファレンスであったともいえそうだ。