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エソテリック30周年、「AK4497」デュアルモノのDAC「D-05X」とSACDトランスポート「P-05X」

 エソテリックは、ブランド誕生30周年を記念したセパレートプレーヤーとして、SACDトランスポート「P-05X」と、旭化成エレクトロニクス製32bitプレミアムDAC「AK4497」をデュアルモノで4基搭載した「D-05X」を3月1日に発売する。価格は各70万円。

右からSACDトランスポート「P-05X」、DAC「D-05X」

 VRDSメカニズムを初めて搭載した1987年の初代「P-1/D-1」から、2001年の「P-70/D-70」、2005年の「P-03/D-03」、2016年の「P-02X/D-02X」などと続いてきたラインナップに位置づけられ、「10年のロングランを達成した銘機P-05/D-05の系譜を継ぐ。P-02X/D-02Xの開発成果を余すところ無く受け継ぎ、次なる30年のスタートに相応しい、ハイエンドオーディオの新しいマイルストーン」としている。

SACDトランスポート「P-05X」

 「P-05の登場から10年に至るESOTERICの歩みを総括し、ほぼ全てのコンポーネントをオリジナルモデルから刷新した」というトランスポート。

SACDトランスポート「P-05X」

 ドライブメカはVRDS-NEO「VMK-5」。高精度アルミニウムとポリカーボネート素材を使ったハイブリッド・ターンテーブルを採用。ブリッジ部は、内部損失の高い高剛性BMC(Bulk Molding Compound)素材とスチールを組み合わせたハイブリッド構造で、回転振動を大幅に減衰。スピンドルモーターは回転検出信号を使った高度なサーボコントロールで、信号読み取り精度を高めている。トレーの開閉からディスククランプまでの動作は、独自技術の差動ギア方式で滑らかになっている。

 ディスク読み取りの心臓部には、Grandioso P1と同じ軸摺動型ピックアップを搭載。レンズを移動させたときにレーザーの光軸が常に垂直方向を維持し、高精度な信号読み取りが可能という。クロック回路にもGrandioso P1、P-02Xの開発成果を投入した。

背面

 出力端子として、独自のLVDS(Low Voltage Differential Signaling)デジタルインターフェースである「ES-LINK4」を採用。デジタル処理のほとんどはトランスポート側で行ない、HDMIのマルチコンダクター構造を活かし、変調をかけずにオーディオデータ、LRクロック、ビットクロックをそれぞれ差動で高速かつワイドレンジにDACへと伝送。DAC側に信号復調、オーバーサンプリング処理などの回路負荷をかけない「Pure D/A」で、さらに高品位なデジタル伝送を可能にするという。

 出力端子として他にも、従来バージョンのES-LINK対応デュアルXLR端子、同軸デジタル端子も搭載する。BNCのクロック入力も装備。

 シャーシには肉厚アルミニウムを多用。上位モデルと共通設計の「精密感溢れる優雅なラウンドフォルムに進化した」という。スチール製のベースプレートには、レーザーによる精密なスロット加工を施し、独自のピンポイントフットで3点支持。有機ELディスプレイを全面に搭載。肉厚アルミパネルを使ったリモコン「RC-1301」も付属する。

 消費電力は16W。外形寸法は445×359×131mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は13.5kg。

DAC「D-05X」

 フラッグシップ機「Grandioso D1」から受け継いだDAC設計思想を凝縮。すべての回路コンポーネントをオリジナルD-05から刷新したというDAC。

DAC「D-05X」

 DAC回路は、D-05の倍の物量となる差動4回路/chで、旭化成エレクトロニクス製32bitプレミアム2ch DAC「AK4497」を、各チャンネル2基(4回路/ch)、ステレオで4基(計8回路)搭載。「圧倒的なリニアリティと低ノイズ化を実現した」という。DSD信号のダイレクト処理のほか、PCM信号を34bit解像度でアナログ変換する34bit D/Aプロセッシング・アルゴリズムにより、「きめ細かく滑らかな質感と高解像度を両立した」とする。

 デジタル入力端子として、ES-LINK4に対応したES-LINK端子を搭載し、384kHz/48bitまでのPCMや、DSDの入力が可能。さらに、XLR×2系統、RCA×1、光デジタル×1、USB入力も装備。USB DACとしては768kHz/32bitまでのPCM、22.5MHzまでのDSDが再生可能。アシンクロナス伝送にも対応する。再生ソフトは「ESOTERIC HR Audio Player」で、エソテリックのページから無料でダウンロードできる。

 同軸と光入力は192kHz/24bitまでのPCM、2.8MHzまでのDSD(DoP)をサポート。XLR×2は、192kHz/48bit(ES-LINK3)、384kHz/24bit(Dual AES8Fs)、DSD 5.6MHz(DoP、Dualモード)など、ハイサンプリング/ハイビット入力もサポートする。

 オリジナルFsでの再生に加え、PCM信号を2/4/8倍にアップコンバートする機能も装備。PCMからDSDへの変換機能も備え、独自のアルゴリズムでDSD 22.5MHzへアップコンバートし、「より滑らかな音楽再生が可能」という。

 アナログ出力はXLR×1、RCA×1を装備。BCNのクロック出力も備えている。通常のライン接続(XLR、RCA)に加え、独自の伝送方式「ES-LINK Analog」を新たに採用。後述する、ハイスピードで強力な電流供給能力を誇るHCLDバッファ回路を活かした電流伝送方式で、信号経路のインピーダンスの影響を受けにくく、信号をピュアに力強く伝送できるというもの。対応機器は2017年2月時点で「Grandioso F1」。接続ケーブルは一般的なXLRケーブルだが、独自伝送方式のため、対応する機器以外では利用できない。

 なお、通常のXLR出力ではピンアサイン変更が可能で、デジタル領域で位相反転するため、無接点方式で音質の劣化が無いという。2番HOT/3番HOTの選択ができる。

 アナログ出力回路の出力バッファアンプ回路には、物量を投入した「ESOTERIC-HCLD」を採用。電流出力能力が高く、応答速度を表すスルーレートが2,000V/μsの高性能素子を搭載。このバッファ回路をチャンネルあたり2回路搭載し、XLR出力の場合は差動、RCAではパラレル(並列)駆動させることで、瞬間的な電流供給能力を最大に高めている。

 消費電力は25W。外形寸法は445×360×131mm(幅×奥行き×高さ)。重量は14kg。

背面