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Technics、DAC内蔵プリメイン「SU-G700」とフロアスピーカー「SB-G90」

 Technicsは、DAC内蔵ステレオプリメインアンプ「SU-G700」と、スピーカー「SB-G90」の2機種を発表した。5月19日発売で、価格は「SU-G700」が23万円、「SB-G90」が1台で249,000円。いずれも「GRAND CLASS」シリーズの製品となる。

両脇がスピーカー「SB-G90」、中央左からステレオプリメインアンプ「SU-G700」、アナログターンテーブル「SL-1200GR」

DAC内蔵ステレオプリメインアンプ「SU-G700」

 独自のフルデジタルアンプ「JENO Digital Engine」(JENO)エンジンを採用したステレオプリメインアンプ。音声データをデジタルのまま入力段からパワー段まで低ジッタで伝送・処理するのが特徴。高精度なジッタ削減回路と高精度PWM変換回路も備えている。

DAC内蔵ステレオプリメインアンプ「SU-G700」

 電源部にはスイッチング電源の出力電圧を安定化し、ノイズの発生や高調波歪を抑えた独自技術「High-Speed Silent Hybrid Power Supply」を採用するとともに、BOX構造のシールドケースで囲み、ケース天面には銅シートを使うなど、ノイズ対策を徹底している。

 電源部には、専用カスタム電解コンデンサを採用。基板レイアウト・シャーシ構造の最適化など、細部にわたる作りこみにより、「鮮明かつパワーのある音を実現した」とする。

投入技術の概要

 「LAPC」(Load Adaptive Phase Calibration)も搭載。これは、出力段のローパスフィルターに伝送する際に、スピーカーのインピーダンスによって周波数特性に乱れが生じるというデジタルアンプの欠点を防ぐためのもの。LAPCでは、スピーカーを接続した状態でアンプの周波数振幅位相特性を測定し、理想的なインパルス応答にするスピーカー負荷適応型アルゴリズムを開発し、補正処理を行なうことで、振幅と位相双方の周波数特性を平坦化。空間表現豊かな音表現を可能としている。

 微小信号を扱う入力部、大電流を扱うパワーアンプ部、電源部など、さまざまな回路が一つの筐体に入っているが、相互の干渉を防ぐため、筐体内部をインナーシャーシによって3つに分割。各ブロックを独立させることで、互いの影響を排除している。

 シャーシ構造はボトムシャーシを2mm鋼板と1.2mm鋼板を重ねた2層構造とし、天板には1.6mmの厚い鋼板を採用。分割のための仕切り板も補強材として機能させることで剛性を高めている。また、オーディオ信号や電源の伝送経路を最短となるようレイアウトにもこだわり、低インピーダンス化や伝送ロスの低減化なども追及した。

 定格出力は140W×2ch(4Ω)、70W×2ch(8Ω)。入力はUSB×1、同軸デジタル、光デジタル、アナログのライン入力を各2系統、Phono(MM)を1系統装備。USB入力はPCMで最高384kHz/32bit、DSDは11.2MHzまで対応。同軸デジタルは192kHz/24bit、光デジタルは96kHz/24bitまでサポート。出力はアナログライン出力とアナログプリ出力、ヘッドフォン出力を各1系統搭載。

背面端子

 外形寸法は430×428×148mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約12.3kg。フロントはアルミパネルで、大型2連針メーターを採用。ボリュームアッテネーター機能により小音量時のより細かな調整ができるなど、操作性も高めている。消費電力は85W。

スピーカー「SB-G90」

 3ウェイ4スピーカーのフロア型スピーカー。エンクロージャはリアバスレフ型。ドライバはいずれも新開発で、25mmドームツイータと16cmミッドレンジユニットによる同軸2ウェイユニット×1、16cmロングストロークコーン型ウーファ×2を搭載している。

スピーカー「SB-G90」

 ユニットの固定に、新開発の「重心マウント構造」を採用しているのが特徴。一般的なスピーカーはユニットがエンクロージャー前面のバッフル板に固定されるが、ユニットの重心位置と固定位置が離れているため、ユニット自身の振動で音の濁りが発生しがちになる。

重心マウント構造の概要。左が通常のスピーカー、右が重心マウント構造。内部にある、黄色く強調されたサブバッフルにユニットを固定している
スピーカーのカットモデル。上下からMDFのサブバッフルが伸びており、そこにユニットが固定されているのが見える

 そこで、エンクロージャ内部にサブバッフルを設け、そこでユニットを固定。ユニットの重心位置で固定・支持する事で、振動板が振幅したときのユニット自身の不要な揺れを低減。音の濁りを抑制したという。

 バッフル面にネジ止めなどはせず、密閉するためにスポンジとゴムを使ってバッフルの穴とユニットの隙間を塞ぐような構造になっており、振動が直接バッフルに伝わらず、エンクロージャー自体の不要な振動を低減する効果もある。「ユニットの性能を最大限に発揮し、粒立ちの良い音、鮮明でリアルな音場再現を実現した」という。

ウーファ。エッジの周囲はゴムで覆われているが、これによってユニットを保持しているわけではなく、密閉するために使われている
ユニットの裏側を見ると、スポンジが見える。これによって振動をバッフルに伝えないようにしている
同軸ユニット

 サブバッフルに加え、水平補強板も内蔵したクロス構造とし、角の部分にも補強を加えることでエンクロージャーを高剛性化。また、サブバッフルをユニットごとに独立させ、互いの振動の影響を最小限とし、内部の空間もツィータ、ミッドレンジ、ウーファ、ネットワーク用に独立。互いの影響を低減している。

 全ユニットの振動板には、トーンを統一するため、アルマイト処理を施したアルミを使っている。同軸ユニットのツイータはアルミドームタイプで、シミュレーションにより最適化した新ドーム形状により100kHzの広帯域再生を実現。

 ミッドレンジの内径部分とツィータプロテクター間はエッジレス構造とし、スムーズな音の放射を可能にした。さらに、ミッドレンジの振動板をコーン型とすることで振動系全体を軽量化。ユニットの応答性を向上させている。

 ウーファは16cmユニットを2個搭載。磁気回路は高い駆動力を生み出すダブルマグネット、ロングボイスコイル、銅リングを採用するなどのロングストローク設計で、大振幅まで低歪みでレスポンスに優れた低音再生が可能という。

 周波数帯域は27Hz~100kHz。クロスオーバー周波数は480Hz、3.2kHz。インピーダンスは4Ω。推奨アンプ電力は定格40~200W。外形寸法は302×375×1,114mm(幅×奥行き×高さ/スパイク使用時)、質量は約32kg。

エンクロージャ内が仕切られ、ネットワークも個別の部屋に入っているのがわかる
スピーカーターミナル