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カロッツェリアxのDSPを手がけたエタニ、カーオーディオ「ETANI ONE」開発。OTOTEN出展
2017年5月8日 15:16
音響分析装置や信号処理機器を手がけるエタニ電機は、実測データをもとに完璧な音場補正が出来るというハイレゾ対応の高級カーオーディオプレーヤー「ETANI ONE」を開発。搭載した車両を、5月13日、14日に東京国際フォーラムで開催されるAVイベント「OTOTEN 2017」に出展する。展示会場はガラス棟 B1F ロビーギャラリー。
パイオニアが、カロッツェリアブランドで2004年に発売した車載用のDSP搭載デジタルプリメインアンプ「RS-A9x」。その後、RS-A90x、RS-A99xと変わりながら、約10年にわたりシステムが提供された。その中核となるDSP技術は、エタニ電機が開発を担当したものだという。
その技術を今の時代に合うよう進化させ、「Xシリーズの後継として、音の世界に新しい革新を起こそうと企画した」のが「ETANI ONE」と位置付けられている。
ETANI ONEの大きな特徴は、実測した音場特性を元に、位相を含んだ周波数特性を補正する新技術「Wave EQ(波形等価)」を採用した事。この補正により、「聴いたことのない新しい自然さに溢れた音を生み出す」という。
エタニは、音響機器向けの測定器を手がけ、様々なカーオーディオ機器と合わせて使用する測定系を含むチューニングシステムも各メーカー向けに提供。そこで培った技術を用いて、ハイレゾ領域まで、再生音場の実測データをもとに音場補正を行なう。
チューニングステムはDSPユニット本体に組み込まれており、インストーラー実績のあるユーザーを対象に公開する。また、利用する際にはETANI ONEに関するトレーニングコースを受ける必要があるという。
Wave EQは、高精度なDSPを使った“畳み込み演算”を行ない、音圧エネルギー周波数特性(F特)だけでなく、再生波形の波面を揃えるための位相周波数特性も一気に補正。全周波数でタイムアライメントを合わせた事になるほか、スピーカー用のデバイディング・ネットワーク演算も同じ演算の中で行なえる。
これにより、波面を揃えたままで、グラフで描いた任意の周波数特性の再生音を楽しむ事が可能。ボーカルの周波数領域を選び、そこだけ音圧を2dB上げるといった事も可能になる。
また、音圧が平坦ではなく、位相が回転してしまうスピーカーを使っている場合、Wave EQで補正すると「同じスピーカーなのに違った音が再生される」という。
DSPだけでなく、ハイレゾ対応のミュージックサーバー・プレーヤー機能も搭載。USBコネクタにストレージを接続し、その中のファイルが再生可能。192kHzまでのハイレゾデータに対応。DSDは11.2MHzまでの再生が可能だが、PCMへの変換再生となる。192kHz以下の信号は、全て192kHzへアップコンバートして処理。よりなめらかな信号に変換し、内部処理はダウンコンバートせずに192kHzで行なわれる。DACは192kHz/32bit対応のものを搭載している。
低ジッタのクロックモジュール、オーディオ用回路部品、磁性体を使わないシャーシ構造、新開発の250kHzサイン波で動作するスイッチング電源なども搭載する。
再生周波数範囲は10Hz~88kHz。デジタル入力は同軸、光を搭載。RCAステレオのアナログ入力も装備。
操作は、ユーザーが持つ端末のブラウザから可能。ミュージックサーバーとしてUSB接続したストレージ内の音楽ファイルを選んだり、再生の操作が可能。周波数特性をグラフィカルに描いて、再生特性に切り替えたり、音質の設定メモリーの選択機能、音像定位位置の微調整なども操作できる。
自動音場補正機能も用意。エタニ製の校正データ付きの別売マイクを本体に接続し、各スピーカーの音場特性を測定、補正係数を自動で作成するもので、これをベースにカットオフの微調整などができる。
運転中の操作用リモコンも備え、音量調整、曲送り、入力切替、音質の選択などが可能。0.5dBステップの高精度ボリュームは、丸いツマミで操作できる。
搭載するパソコンを安全に維持するため、バックアップ用の無停電電源も内蔵。アイドリングストップ車での、エンジン停止から起動などによる電源の変動に対応する。
「OTOTEN 2017」には、リンカーン・コンチネンタルとベンツC200の2台を出展。パワーアンプは全てクラスD。ユニットにはカロッツェリアXシリーズなどが使われる。